12:初陣・戦闘
戦闘開始。
12
森の中からのエルフたちによる遠距離戦。
それがはじまってから、リュートとエリスは森の中に引く。
ドワーフたちと肩を並べ、伏兵となるのだ
「十中八九火を撃って来ますね。騎兵中心ですから火矢はないでしょうが」
「だな。俺たちをいぶりだすつもりだろう」
親方と肩を並べ、リュートはそんな会話をしだしている。
ふむ、とリュートは思う。
このままでは不味い、と。遠距離戦の威力は向こうに一日の長がある。
それは魔法に関しては向こうに利点がある。
此方の矢のほうが切れるのが早い。
「よし」
「お、おい大将!?」「リュート様!?」
リュートは立ち上がる。
矢の飛び交う中、その真っ只中に立ち上がり、敵を見る。
遠く声が聞こえる。
狙えと。殺せと。聞こえてしまう。リュートは苦笑した。
いい心がけだ、と。
「そうだな、敵は殺すべきだ。そうだな、お前はお前らは建前を一応口にした。つまりは結果生き残っていればいい。俺がしんでいたら男性兵士のせいにするか…もしくはエリスかリーシャか、どちらかに罪をかぶってもらうつもりだろう。
…っざけるなよ?」
リュートは前に出る。
丁度間合いに魔道騎兵が入っていたのか森の中に炎が撃たれ始める
森の中。その中に炎の手が上がっていく。一つ、また一つ。
その一つ一つは大きな手となり森を焼いていく。それを、火力が広がるのを感じながら…
リュートは前進する。周囲の魔法の狙いが自分に向けられていくのがわかる。それを感じながらなおも前進する。恐れるな。そう自分に言い聞かせながら。
走り始める。
自分が前進すれば、後ろは狙われない。そう思った。
親方は迷っている。前進も後退も。後一手が足りない。そう思う。
周囲は火で包まれている。自分達は火に強い。だが…エルフたちは違う。
火に巻かれながらも、炎にやけどをおいながらも意地で矢を撃ち続けている。
そこに、変化があった。
集落内。
火の手をみたフォードはリーシャたちに出撃を指示した。
「一人、森の奥に馬を誘導しなさい。後は…前進するべきじゃなあ…」
「…フォード様。貴方は?」
「これよりでかいのを放つ。君達は先行して合流しなさい。いいね?」
フォードはそういうと集落の中央に立って意識を集中し始める。
それを確認し、リーシャは前進。炎の中に歩みを進めていく…ご武運を。と残して。
フォードは内心ほほえましく思いながら、魔力を一点に集中し始める。
天
そこに少しずつ黒い雲が湧き出てくる。
少しずつ、少しずつ。一回り、また一回りと少しずつ大きくなっていく。
魔力よって精製された水分。そして魔道によって構築された雨雲の構成。
天候変化。
大規模な儀式魔法であり、一種の禁忌ともされる。
「…<<我らが前に恵みの雨を振らせたまえ
天よ我らの声が聞こえるのでしたら我が願い聞き届けたまえ>>」
「<<天召降雨>>」
一つ。
また一つと空からふってくるのが見える。
魔道の炎とはいえ燃え移ってしまえば、それはただの炎となる。
そのためリュートはフォードを最後方に配置した。
消火体制を整えるためだ。
兵士を取られるより、フォードの魔法で一気に消火したほうが人数は取られない。
そう考えて彼は待機させたのだ。
親方は、そしてエリスは消えていく炎を見て、指示を出した
「行くぞガキども!あの大将だけにいいところをとらせるな!」
「もう一度前へ!私たちはリュートさまを支援します!」
そこに前進してきたリーシャが合流する。
「私も続く…いくぞ」
エリスたちの脇を抜け、リーシャは前進する。
それをみて行動をしたのはライルだ。
「あんの馬鹿」
ライルはフォードの護衛に動き念には念を入れる。
戦場は動き始めた。そんな中、前進したリュートは…血煙の中にいた。
少し間が空きましたな。間一日ほどですが。