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11:初陣・決断

ヒャッハーようやく第一戦ですよー

11


「現状報告!ライル!」

「此方へ向かってくる領主の兵士は50そこそこだ。全員騎兵。法衣を着てるのもいるから聖騎士みたいなのもいるんだろう。その後ろに150、此方は騎兵、魔道騎兵と男性兵で構成された部隊だな。

 此方のほうが本体だろう。聖騎士交じりは最終勧告だろうな」


 ライルにより察知された領主の兵士たち。その動きを聴いたリュートはすぐにまとめ役クラスを召集した。そして現状を聞いている。


「フォード!」

「エルフの里のほうには結界の強化を行うよう通達を出したぞ。エルフの里に流れていた元男性兵士がこちらに来てくれた。総勢15ぐらいだがデューククラスの経験は持っているだろう。跡で顔を合わせる。後はハーフエルフ、そしてエルフ狩りに反感を持つエルフたちが20ほど」

「親方!」

「応、ドワーフの里から新品の剣を10振りもって来た。使いたいやつは使え。後は此方もぶん殴りてえってやつが20いる。得物ももってきてある…隠しだまもな」


 そして、自分達がいるフォードの家の前、ひと塊になっている女たちのほうに声をかける。


「リーシャ。部下達は使えるか」

「総勢5名。他は向こうにつきました。申し訳ございません。しかし、力こそ劣りますが魔道に関しては劣らないと自負はあります」


 さあどうする、とリュートは思う。リーシャの部下の残りが5名。元下士官が15、エルフが20ドワーフが20。そして今ここにいる面子と集落の顔ぶれで20前後


「フォード。リーシャたちとここに残れ。十中八九やってくることを考えると双方に対処できる位置にあんたが必要だ」

「うむ。大規模にじゃな」

「ライル。森の中に侵入してくるやつがいたら魔法でぶちぬけ…たぶん俺らのうちもらしになるだろうが」

「最初は大将とぶつかるからなあ」


 リュートは考える。深く、深く、意識を強く集中し、思考に没頭していく。考えろ、考えろ考えろ…


「親方。親方はエリスと俺と迎えに出ます。ドワーフたちと男性兵はついてきてください。エルフ衆は森の中に潜んで。戦闘が始まったら一気に撃ち始めて結構です。狙いはつける必要はありません」

「応。本当にいいのかい?そんな重要な位置」

「かまわないさ」


 リュートは全員の前に出る。身につけているのはドワーフによって打ち直された騎士の鎧だ。漆黒に彩られたその鎧を着込み、声を発する。


「いいか!ここから先は俺たちは悪役となる。

 やつらが俺になにを望んでいるかは知らない。

 やつらが俺になにを思っているかは知りたくもない。

 俺らは恨みを買おう。それまでの流れをぶち壊し、新しい流れを作り上げよう

 共に笑える世界を作ろう。共に歩める世界を作ろう。共に目指せる未来を作ろう!


 それを目指すことを悪だというのなら!俺は喜んで悪になろう!総員配置につけ!簡単に死ぬなよ!」


 その台詞と共にまとめ役、そしてそれに伴いそれぞれのまとめる部隊が散っていく。

 森の中に消えたエルフたち。そしてライルと数名。

 そして森の中を進んでいく50に満たない手勢だ。

 リュートを先頭にエリス。そして親方が続き、その後方に男性兵士とドワーフたちが続く。結界のふちを抜け、森の外へ出るとそこには森を遠巻きに囲む兵士たちがいた。全て女性兵士。

 そしてその中の一人、白を基調とした鎧をつけた騎兵が前にでて声を上げる。よく通る声だ。そんなことを考えつつ彼女の声を聞く。


「英明王閣下に告げる。其方に入った神官家次期当主エリス様、近衛第一部隊隊長リーシャ様の身柄をお返し願いたい。それと共に閣下を王都へお迎えするために参上した、如何か!」

「応えよう、私は汝らと共にあるわけにはいかない!

 我らは男も、女も、亜人も、ともにある世界を欲する。我らは君達の女性絶対主義に反抗する!君達の求める二名も同意した!彼女らは我らと共に女王制に対して抵抗を行う。それでも俺を奪い去ろうというのなら…西の村の子供らのように!奪い去り捻じ曲げ、作り変えるといい!」

「女王陛下に反抗なされるとは本当ですか!?」


 驚愕の声を持って、聖騎士はエリスに向かって声を向ける。


 エリスは思う。かつてのことを。

 エリスは思う。はじめて魔法を使えたときのことを。

 エリスは思う。はじめて他の魔法使い達と出会ったときを。

 エリスは思う。リーシャとあったときのことを。

 エリスは思う……女王に始めて拝謁した時のこと。そして、そのときの喜びを。

 

 だが…もうそれが正しいとは思えなかった。


 外では血反吐を吐いている男性たちがいた。女性達は目を向けない。

 外では虐げられていた男性兵士たちがいた。女性達は目をそらす。

 外では虐げられていた子供たちがいた。  女性達は目を向けない

 外では酷使されていた亜人たちがいた。  女性達は目をそらす。


 そんな世界は、正しくないのだと。


「<<光矢>>」


 エリスは杖を聖騎士に向け光の矢を放つ。そして、声高に聖騎士に対して宣言する。


「私の主君はこの方です!英明王リュート様ただお一人!女王陛下に対する忠誠など、私のうちにはもはや微塵もない!子供らを、亜人たちを、人を無為に迫害する陛下に対しての忠誠などもはや失せた!立ち去りなさい聖騎士!私に、私たちに文句があるのならば!弓馬をもってお受けいたします!」

「承ろう…残念です」


 そう言って聖騎士は去っていく。そして…相手の旗が動き始めた。本体と合流はしているだろう。

向こうは総勢200近く、此方は100に満たない。ざっと倍以上の差がある。だが…何とかなると。


「―――――放て!!!!」


 リュートは一言を発す。戦闘開始の言葉を

 そしてエリスのほうを見て、いいのか、と。

 それにエリスのほうも返す。いいんです。


 互いの声が響き始めて戦闘が開始される。殺し合いだ。


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