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転移しまくるJKトリオ――港区の実家は太い  作者: 青い水


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9/40

JK旅団、一分の隙もない

前回で継母はもう詰んだも同然の状態だったのですが、JKトリオは容赦ありません。

桜「それじゃ分担してちゃっちゃと進めよう。翼は白雪姫から親戚関係の聴き取り。紬は教会に魔女情報をチクる。私は7人のドワーフと城の攻略を相談する。」


翼&紬「ラジャー!」


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青水「このエピソード、始まったばかりですぐ終わりそうなんだが。」


女神「継母に逃げ場はなさそうだな。」


翡翠「慎重に進めないと、現代の道具が魔道具と判定されて逆に教会に捕まるおそれもありますよ。」


青水「あ、それはあるな。スマホの翻訳アプリ、教会で直に見せるとヤバいかも。」


女神「でもここからアドバイスできないしな。まあ、もし捕まって火あぶりになりそうになったら強制転移するから、そのときはそのときだ。」


***************************************


 紬は教会の前に立った。たぶんフランス語は通じるだろうが、話を通じさせるほどのフランス語の語彙がない。たぶん相手の言葉も聞き取れない。となると、スマホの翻訳アプリを音声で使うしかないが、あきらかに怪しすぎる。下手をすると魔女認定されて火あぶりだ。


紬「そうだ。こういうときはモブを使うのが定番。村人、それも少年か少女に手紙を託して教会に届けさせよう。それも複数。手紙の内容もコピペじゃなくて複数用意して、いかにも告発者が複数いるかのように工作する。子どもを手なずける餌はコンビニのお菓子。現代技術で作り上げた甘味はこの世界ではマーベラス、きっとイチコロだわ。」


***************************************


翼「ねえ、白雪ちゃん、私あまりドイツ語が話せない。なのでこの機械を使います。OK?」


白雪「ビッテ。」


翼「まず確認しておきたいのだけど、あなたのパパはどうしてる?元気なの?それとも...」


白雪「わからないんです。死んだという噂は聞かないけれど、お城にいたころもパパの姿は見たことがない。もっと小さいころは見たかもしれないけど,何も覚えていません。」


翼「死んでも情報を表に出さないか、厳重に幽閉してるかどっちかね。」


白雪「もし生きているなら、パパに会いたい。捕まっているなら助け出してください。」


翼「わかった。できるだけやってみるよ。白雪ちゃん、ここから近いところに親戚は住んでる?」


白雪「小さいときにお城を出てしまったので何もわかりません。」


翼「そっか、そうだよね。村や教会で聴き込み調査してみるね。」


白雪「よろしくお願いします。」


************************************


桜「善良なるドワーフの諸君、初めましてだな。私の名は桜、異世界から来た。白雪姫を助ける作戦のために力を貸して欲しい。」


ド1「もちろんだ。あんたらが来なかったら、俺らだけでお城にカチコミかけようと思っていたんだ。おれらの白雪姫を2回も殺そうとしやがって。」


ド2「もう腹の虫が治まらねえ。背が低いからってドワーフ舐めんなよ。力はヒューマンより上ってのがお約束だ。」


ド3「戦をおっぱじめようってんなら、武器はいくらでも作れるぜ。全員、戦士兼鍛冶屋だ。」


桜「わかった。諸君の気持ちは良くわかった。白雪姫を助けたいという気持ちは私たちも同じだ。ただ、闇雲に突っ込んで城の兵士と戦をするのはお勧めできない。無意味な血を流すのは愚策だ。しっかり作戦を立てて、あの王妃を追い詰めよう。そこで、まず必要なのは城の見取り図だ。白雪姫の父親がもし生きているならどこかに幽閉されているはずだ。助け出したい。それに見取り図があれば、王妃が逃亡を図っても追跡して捉えることができる。」


ド4&5&6&7「なら俺たちが城の修繕に来た体で調べてきてやるよ。どうせあちこち修繕が必要な箇所があるだろうから歓迎されるだろうよ。神父様が、できるうちに善行は積んておくようにと言ってたってことにすれば誰も疑わねえだろう。」


桜「頼む。王が幽閉されてるかもしれない場所も訊いてもらいたいが、露骨な質問をするとやぶ蛇か。」


ド1「兵士ならときどき酒場に来て踊り子のねえちゃんと仲良くなりたくて必死みたいだぜ。“こっち来て一緒に飲もう”とか言って冷たい目で無視されてる。」


桜「それは良い話を聞いた。踊り子を使えば情報が得られそうだ。それでは解散。見取り図をよろしく頼む。」


*************************************

紬「ねえ君、このお菓子食べてみなよ。」


少年「うわ、何これ!食べたことがないよ、こんな美味いもの。」


紬「ところで君、字は書ける?」


少年「うん、読み書きはできるつもりだけど...」


紬「じゃあ、この手紙を書き写して教会に届けてくれる?」


少年「えーと、書き写せるけど意味があまり良くわからない。」


紬「ちょっと心配ね。君の家の人、読み書きができる?」


少年「母ちゃんはできる、父ちゃんはできない、姉ちゃんは一番できる。」


紬「なら、お姉さんに頼んで書き写してもらって、それを君が教会に届ける、良いわね?」


少年「わかった。」


紬「誰に渡されたと尋ねられたら旅人のお姉さんと答えなさい。嘘じゃないから。」


少年「うん。ねえ、姉ちゃんにも食べさせたいからお菓子もうひとつちょうだい。」


紬「良いわよ、はい。」


*************************************


翼「ねえ白雪ちゃん、これから一緒に教会へ行って、神父さんとお話しましょう。」


白雪「教会って行ったことがないからなんだか怖い。」


翼「大丈夫、みんな優しいわ。私はドイツ語がろくに話せないので、神父様には白雪ちゃんからこう話して。“私は国王の娘です。7歳のときに継母に捨てられました。私の出生の記録はありますか?私のお墓が見当たらないようなので死んだことにされてはいないと思うのですが、教会の記録で私はどのような扱いになっているでしょうか?”」


白雪「わかりました。私も教会の記録でどうなっているのかぜひ知りたいと思います。」


翼「それでは参りましょう。」


***************************************


桜「こんにちは。私は桜。あなたがこの店の踊り子ね。」


踊り子「そうよ、踊り子のアグネア。毎晩おひねりが飛ぶわ。」


桜「兵士たちの人気者なんでしょ?」


アグネア「そうみたいだけど、ウザいから相手にしない。」


桜「そこを何とかお願いしたいんだけど。ほら、これあげる。果汁グミだよ。うちらの学校で流行ってるの。」


アグネア「何これ!噛んだ瞬間に果汁の味と香りが甘さにとろけて口中に広がる!」


桜「これ、全部あげるから、兵士たちとちょっと雑談して、王様がどこにいるのか聞き出してもらいたいんだけど。」


アグネア「お安いご用だわ。」


************************************


白雪「というわけで、教区簿で私の記載はどうなっているのでしょう?」


神父「16年前に国王と亡くなった王妃との間に生まれた、とだけあり、それ以降の記載はありません。16歳になっているはずです。


白雪「そうですか。では国王はどうなっています?生きてらっしゃいますか?」


神父「葬儀を執り行った記録はありませんのでご存命かと。」


白雪「それを聞いて安心しました。私は国王の娘です。」


神父「おお、あなたが....!村人の噂では森で迷子になってそのまま行方知れずになったとか。」


白雪「はい。でも親切なドワーフたちに助けられ今日に至っています。」


神父「それは何よりです。あなたに神のご加護がありますように。」


白雪「私の親戚は、たとえば王の兄弟姉妹などはいるのでしょうか?」


神父「王の妹君は隣国に嫁いだはずです。名前はヒルデガルト様。」


白雪「ありがとうございます。血のつながった人間が近くにいるということを知っただけで心が軽くなりました。頼れる親戚、ありがたいものです。」


****************************************


桜「作戦は上手く行ってる?」


翼「バッチリよ。白雪姫と王の生存は教区簿で確認できた。叔母が隣国にいる。」


紬「モブ村人3人を協力者にして告発状を教会に届けさせた。異端審問の始まりね。」


桜「こっちは城の見取り図をゲットした。7人のドワーフのおかげだ。そして、酒場の踊り子が魅了のスキルを使って兵士から王の居場所を聞き出した。グミ一袋でスパイ誕生。王は西の塔に幽閉されている。そしてさらに、踊り子は兵士を味方に付けた。継母が簒奪者なのでそのうち討ち取られることになるから、継母を守って抵抗するような真似はするな、と言い含めた。これで兵士との荒事はなくなった。」



**************************************


女神「おいおい、手際が良すぎるじゃないか。必殺仕事人かよ。」


翡翠「何だか負けた気になったので飲まずにいられません。青水さん、今度はスコッチを。銘柄は...もう何でも良いです。」


青水「おやおや、翡翠さん、ちょっと荒れ気味なのかしら。」


翡翠「おかまバーのママみたいな口調、やめてください!」


*************************************


桜「それでは王の救出と王妃の捕獲、これから作戦を実行します。城外では異端審問官と聖堂騎士団の精鋭が待ち受けています。仮に継母が逃げてもここで捕獲。城内へは私たち3人と白雪姫、そしてドワーフ7人組が突入します。突入と言っても戦闘行為はありません。ドワーフさんたちは工兵として鍵や扉の破壊をお願いします。」


翼「隣国へは早馬で特使を送りました。ヒルデガルト様がお越しくださるでしょう。」


紬「私たち、継母に何て名乗ろう?この世界に厨二病という概念はないので、思い切り厨二病的な名前を名乗ると絶対ウケる。」


桜「そうだなあ...ブレザーが紺色だから紺色旅団!」


翼「だっさ!悪いけど却下!」


紬「JK旅団は?JとKが何を意味するのかは不明なのが不気味。」


桜「お、なんかそそるかも。翼、これドイツ語にすると?」


翼「JK-Brigade だよ。ヨットカー・ブリガーデ。」


桜「よし、それにしよう。」


*************************************


女神「あーあ、ガチガチに固めて最終局面に行っちゃったよ。」


翡翠「何とみごとな手際。」


青水「こいつらが日本の上層部になった社会が怖い。」


*************************************


桜「この扉だ。ドワーフくんたち、頼むよ!」


 ドワーフが破壊したドアの向こうに痩せ衰えた王がいた。


白雪「お父様!」


王「し、白雪なのか?」


白雪「会いとうございました!」


 抱き合う父と娘。クールなJK旅団も思わずもらい涙だ。


桜「よし、王は無事に保護した。継母を捉えに行こう!」


翼&紬&ドワーフ「おーっ!」



紬「待って!あそこ、逃げようとしてる。」


翼「逃がさへんで!」


 50メートル走8秒の桜が軽々と追いついた。


桜「はいゲット!おとなしくお縄につかんかいっ!」


翼「悪いけど拘束させてもらうよ。決してほどけない現代技術、結束バンドだ。」


紬「舌を噛んで自殺されると後味が悪いから、捨てようと思っていた使い古しのパンツを口に詰めてTシャツで猿ぐつわだ。」


白雪「ねえパパ、この世で一番美しいのは誰?」


王「白雪や、それはおまえ以外にいない。」


 ドワーフたちは鬨の声を上げ、それからうれしすぎて号泣した。



さんざん悪さをしてきた継母、見るも無様な姿で異端審問官に引き渡されます。この人、本当は魔女じゃないのかもしれないけど、まあ果たして上手に抗弁できるかどうか。JKトリオにとっては知ったことじゃないですね。

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