白タイツのテントの悲劇
ビビッドなドレスで舞踏会に乗り込むJKトリオ。さてどんな活躍を見せてくれるのでしょう?
桜「あれ?何か思ってたのと違う。」
翼「全然きらびやかじゃないね。」
紬「まだ電気が発明されていないから薄暗いんだよ。その結果、貧乏くさい。」
桜「せっかく映えるドレスを着込んできたのに、布地の光沢が輝かないじゃないか。」
翼「自撮りでフラッシュ焚いたら目立つしなあ。」
紬「嘘ドレスなんだから記念に残さなくても良いよ。」
桜「あそこに義母と姉たちがいるよ。」
翼「なんか浮いてる、ってか場違い感が目立つね。」
紬「周りが貴族だらけだからね。」
桜「あ、シンデレラだ。やっぱバフだよ、あれ。オーラが出てる。」
翼「おお、儚いマジックオーラ、消えてしまえばただの人。」
紬「さて、攻略対象..ってか、乙女ゲーじゃないからうちらが落とすわけじゃなくて、偶像破壊の対象になる王子はどこかな?」
桜「いたぞ、あそこ。女に囲まれてにやけてる。」
翼「あー、あれは生理的に無理だわ。」
紬「なんか股間が異様に膨らんでない?」
桜「この時代のファッションなんじゃない?大きな逸物。」
翼「願望の表示が露骨すぎて笑えない。」
紬「でも他の男性客の股間はふつうだよ。」
桜「きっと王子の母あたりが事前に通知を出したんだよ。ドレスコードとして股間を盛るのは禁止――王子は例外――と。」
翼「うちら貴族じゃないし、この世界の人間でもないから、ちょっとくらい無礼に振る舞ってもOKだよね。」
紬「あの股間をいじろう!」
桜「ちょっと、紬!それ、違う意味に聞こえるから!」
紬「なんかそういう病症があった。えーと、プリアピズム。」
桜「うわ、その画像、エグい!」
翼「ムッシュー・プリアープと呼んだら怒るかな。」
桜「うーん...バカだと逆に喜ぶかもだけど。」
紬「うちらの安全を確保するため、シンデレラに入れ知恵してそう呼ばせよう。」
桜「お、出たな,知略の軍師。」
紬「シンデレラ、どう考えても教養がないからギリシャ神話とか知らないので、素直に従うよ、きっと。」
桜「よっし、プリアポス作戦の開始だ。」
****************************************
女神「何だ、あの紬というメガネっ娘、医学情報を検索してるつもりでエロ情報を集める無自覚なむっつりスケベか?」
青水「誰も見てなければ誰でもそうなる。」
翡翠「私は絶対なりません。」
**************************************
桜「なあ、翼。王子にムッシューって呼びかけたらまずいんじゃないか?」
翼「あ、そうだった。プリンスかな。」
紬「フランス語だとプランスだね。」
桜「紬、おまえときどきフランス語の知識を垣間見せてるけど...」
紬「へへえ、実は親の趣味でフランス語を習わされてる。」
翼「ほほう、ご令嬢っぽい。」
紬「うちら、受験はするけど,ガチ勉強しないじゃん。早慶未満の私立文系。だから今のうちからバフで強化するってのが親の方針なの。」
桜「なるほど、大学に入ってから一目置かれるやつだ。短期留学とかも楽しそう。」
翼「あ、オーラをまとったシンデレラだ。行こう。」
桜「リュシル、楽しんでるか?」
リュシル「こんなきらびやかで華やかな世界、生まれて初めてです。来れて良かった。」
紬「リュシル、良いことを教えてあげる。あそこに王子がいるけど、そばに行って“Prince Priape!“って呼びかけなさい。好感度が爆上がりするから。」
リシュル「ありがとう。やってみるわ。」
シンデレラが王子に近寄ったので3人も後に続いた。
リュシル「ボンソワール、プランス・プリアープ!」
王子「お、おう。マドモワゼル、お姿に似合わず大胆ですね。(股間の詰め物の効果が現れたか?)大きなモノ(grande chose)はお好きですか?」
リュシル「はい、大きな桃、大きなリンゴ、大きな焼き菓子、食べても食べてもなかなかなくならない。いくらでも入ります。」
桜「エグい,あの女、エグいぞ。」
紬「無限吸引、底知れぬ欲望。」
王子「そうですか。ならばぜひご馳走させてください。ささ、別室へ行ってたっぷり堪能しようじゃありませんか。」
王子の股間の詰め物が押し出されて膨らんだ。
翼「ヤバいよ、このままだとワンナイトの毒牙にかかる。」
桜「王子、お戯れを。この舞踏会、王子を目当てにこれだけの女性が集まっているのです。主役が別室に引っ込んでしまったら興ざめですよ。」
紬「少なくとも5~6人とダンスしてからエッチ...じゃなくてギャラントリーのお相手を決めるのが筋だと思いますけど。」
翼「ナイス!桜の大胆な機転と紬の怪しい理詰め。」
王子「そうでしたね。主賓の王族ともあろうものが冷静さを欠いていました。ご指摘ありがとうございます。」
桜「ダンスをするのにそのご立派な詰め物は邪魔になるのではありませんか。優雅な動きができなくなるかと。」
翼「別室で外してこられたほうがよろしいですよ。」
王子「確かに。有意義なご提案、ありがとう。ちょっと失礼して外してきます。」
桜「よっし、次はダンスで脱偶像化だ。どうする?」
紬「リュシルに嘘を吹き込んで王子が大恥をかく作戦。」
桜「どうやるんだ?」
紬「乙女としては言いにくいけれど、身体接触による性的興奮で陰茎が勃起。」
翼「つまりリュシルに“たわわ”を押しつけるのが宮廷舞踏会のマナーだと教える。」
桜「なるほど、紬らしいあくどい作戦だ。…… リュシル、こっちおいで。」
リュシル「何でしょう?」
桜「宮廷舞踏会が初めての君に大事なことを教えるね。宮廷舞踏会ではダンスのときにたわわなお胸を男性パートナーに押しつけるのがマナーなの。これをやらないと田舎者だと思われるのよ。」
リュシル「ありがとうございます。良かった,親切な方々とご一緒できて。」
王子が戻ってきた。音楽が始まった。王子が真っ先にダンスの相手を申し込んだのは、もちろんリュシルだ。ダンスが始まった。とても優雅とは言いがたい。エロい、ただただエロい。そして王子に異変が起こった。音楽が止まないのでダンスを中断するわけにはいかないが、前屈みになり、左右の太股を合わせようとしてへっぴり腰になり、それでもリュシルのたわわ攻撃は無慈悲に続けられる。桜たちは爆笑して拍手したい衝動に駆られたが何とかこらえた。舞踏会の参加者たちも、みなこの異変に気付いた。なにせ王子の衣装がこの事態にとって最悪だった。白いタイツだ。隠しようがない。タイツのテントだ。
桜「もう十分かな。」
翼「リュシルは何も気付いていないみたいだけど。」
紬「無垢って怖いわね。いや、私たちが汚れきってるのかな。」
桜「リュシルのほうはまだ勃起王子に対してロマンティックな感情を抱いてるみたいだけど。」
翼「王子ははっきりと悪意を認識した。」
紬「勃起の収束のように彼女に対する好意も縮む。」
桜「さあ、魔法が解ける前に帰ろうか。リュシルにも一声かけてあげよう。」
*************************************
女神「ぐぬぬぬ、何だ、あいつらは!深窓の令嬢じゃなかったのか?発想がビッチじゃないか!」
翡翠「お下品ではありますが効果的ではありましたね。公開処刑。私の調律よりもダメージが大きそう。」
青水「生まれたときからネットにつながって情報的に肥大した世代だからこんなもんだろう。王子、勃起乙!」
翡翠「青水さん、昔の2ちゃんねるみたいな話し方、やめてもらって良いですか?」
青水「この世界に来てイベントを3つこなしたぞ。これからどうするんだ?」
女神「そうだなあ...次のを最後にするか。」
王子の威厳が崩れたか、あるいは逞しいと感心...されるわけないですね。




