ボローニャの次はヴェローナ、女神は雑、細身で巨乳もあるよ
そう、女神は雑です。そしてめんどくさがり。なので転移先を使い回しがちです。
桜「あ、また似たような町の雰囲気だ。でも前回のボローニアとは違うな。」
紬「今回もみんなイタリア語を話してるよ。」
翼「とりあえず歩いてみよう。犬も歩けば棒に当たり、JK歩けばイベントに遭遇。」
紬「あ、あそこ。」
桜「既視感があるベランダ。」
翼「ベランダに女、その下の路上に男。」
紬「そして確定要素は...あいつらだけ英語を話してる。」
桜「さっきの法廷の話を書いたのと同じ人の作品だね。」
翼「シェイクスピアの二回戦。舞台は同じイタリア。」
紬「さっきはボローニャ、今回はヴェローナ、近い。」
桜「女神のキャラ、だんだんわかってきた。めんどくさがり屋だ。」
翼「ベランダの上にいるのがジュリエット、下にいるのがロミオ。ベタな構図。」
紬「ストーリー知らない。ウィキの騎士、あらすじはどんなの?」
翼「長い、面倒くさい。敵対する家の息子と娘が....」
桜「いや、ホント面倒くさそう。要するに悲劇の2人だね。」
翼「そゆこと。」
紬「と言うことは、あいつら、別れたほうが良くね?」
桜「だよね?このままだと死んじゃうんだっけ?」
翼「ちょっと待って…… 死ぬ。」
桜「ならば...別れさせて命を救おう。」
紬「ここから呼びかければ良いかな。さっきもバッチリ効果があったし、シュプレヒコールで行けるんじゃ。」
翼「悲劇になるから別れなさい?英作文レベルが面倒くさい。コールにならない。」
紬「面倒くさく考えるからだよ。別解で華麗に、それが数式の美学。良いかな?私に続け! Stop loving!」
桜&翼「Stop loving!」
このコールを聞いたジュリエットは目を丸くして驚き、ロミオは怒りに震えて剣を抜いた。
桜「あ、やばい。怒らせた。逃げよう。」
3人は大声で”Stop loving!”と連呼しながら得意の俊足で離脱した。
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青水「女神よ、おまえが雑に転移させるからあいつらの対処もどんどん雑になってないか?」
翡翠「しかも、前回のシャイロックと違って、今回は何の救済にもなってませんよ。むしろ悲恋に燃料を投下して燃え上がらせることになります。」
女神「フフ...ハハ....ハーッハッハッハ!たまらん!あの三流お笑いコント、見たか?Stop lovingだって、ヒーッヒッヒッヒ、腹が痛い。」
翡翠「女神様、女神らしくないというか、一周回って女神らしいというか、お子様スイッチが入ったんですね。」
青水「さっさと転移させてやれよ。ロミオの女子高生殺人事件なんて見たくないぞ。」
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桜「ヤバい、まだ追いかけてきている。」
翼「見つかったらレイピアでブスリ。」
紬「大丈夫、女神は私たちを見捨てない。」
桜「ホントだ!いつものが来そう。」
紬「行け、星の彼方へ!アストラル・トランスファー!」
桜「さて、今度はどこだ?」
翼「森の中。だけどいつも転移させられる汎用ヨーロッパのメルヘン森じゃなさそう。」
紬「夜じゃないのに、暗くないのに、空には満天の星と三日月。」
桜「神秘的というか神話的というか。」
翼「あっちのほうから女の鼻歌が。」
紬「あれ、お風呂に入ると出るやつだ。」
桜「日本じゃないから温泉はないよね。」
翼「泉の沐浴だよ。つまりギリシャ・ローマの神話世界。」
紬「あ、あそこ。女湯発見!」
桜「湯じゃないだろ。」
翼「あれは人間じゃないことだけはわかる。隠しきれない神格がにじみ出ている。」
紬「細身なのに巨乳。」
桜「う.....」
翼「見つかると神罰を食らうんじゃない?来た道をこっそり戻ろう。」
紬「だね。くわばらくわばら。」
足音を立てないように来た道を戻る3人の前にたくさんの猟犬を連れた狩人が現れた。着ている衣装から高貴な身分だとわかる。3人を見て何やら言ってるが、言葉がわからない。
桜「ねえ、何語かわかる?」
翼「この世界観からすると古代ギリシャ語かな。」
紬「当社のアプリは古代ギリシャ語をサポートしておりません。」
翼「現代ギリシャ語しかない。」
桜「ともかく、こいつがこのまま進むと女湯覗いて社会的に死ぬから、説得して引き帰らせよう。」
翼が現代ギリシャ語に翻訳した“この先に裸の女が沐浴してるので進んではいけません”がこの男性にはいまいち通じないようだった。
紬「さっきの女神っぽい女のそばに鹿がいたよね。そして頭上には嘘くさいほど見事な三日月。………… それを合わせて検索っと…… アルテミスだ。」
翼「それ、あかんやつや。この男性、アクタイオンというトロイヤの王子で、このまま進むと覗き見されたアルテミスが激怒してこいつを鹿に変え、さらに鹿になったまま猟犬に食い殺されるという残酷場面。絶対止めよう。殺しても止めよう。」
桜「殺したらダメじゃん。」
3人はジェスチャー大作戦に出た。スマホの翻訳アプリのせいで人類が退化させた技術を総動員した。
髪を洗う様子、両手でおっぱいボイーンを描く、音を立てるなの“シーッ!”...クオリティーはともかく必死さだけは伝わったらしく、アクタイオンは戻って行った。
桜「ヤバかった。でも人命救助はできた。」
翼「覗き見っていっても事故だよね。それでキレて殺人って....」
紬「現実にもありうるかも。たまにいる、そういう女。」
桜「アニメだとケロリンの湯涌シュートが定番だが。」
翼「アルテミスはブラコンで、兄様のアポロンしか認めていない。」
桜「そう言えば、さっき紬が聞き捨てならないことを言ってたな。」
紬「ん?何か言った?」
桜「細身なのに巨乳。そしてそのとき私をチラ見した。」
紬「えー、誤解だよ、それ。」
翼「今回は短いけど3つ続いた。そろそろ疲れた。」
桜「こんな神話世界の森の放置されたら何に遭遇するかわからない。」
紬「でも、そろそろ日が暮れそうだし、帰還させてくれる気配もないし、久々にキャンプしようか。」
桜「そうだね。充実してきたキャンプ装備の出番だね。」
翼「明日はアルテミスの泉で沐浴しよう。」
紬「おお、何か御利益があるかも。」
桜「だから私をチラ見して言うな!」
恐ろしい女神、アルテミス。でも試練の女神ならエヘラエヘラ笑いながら面と向かってディスりそうですね。




