久々に帰還したので準備に余念がないJK旅団
ウルトラマンの死を回避させて、ヤニ臭い昭和東京から現代東京に戻ってきました。
女神「いやー、思った以上の働きだったねえ。合格合格。中級に昇格だ。」
桜「中級に上がれば何か特典はあるんですか?」
女神「何も考えてなかった。何か要求はあるか?」
翼「えーと、土曜日の午後に転移して同じ土曜日の午後に戻ってきました。こちらでは1秒も時間が過ぎていません。24時間後の明日、また転移ということになりますが、明日は日曜日。戻って来た翌日は月曜日で学校が始まります。放課後に転移して同日に帰還だと、学校生活に大きな支障が出ます。」
紬「なので、金曜日の午後までふつうの女子高生の生活をさせてください。そうじゃないと女子高生ではなくなってしまい、転移しまくるJKではなくて転移しまくる未成年になってしまいます。設定が弱すぎて誰も見向きもしません。」
女神「一理あるな。要求に同意しよう。学業に励むが良い。」
桜「ご理解ありがとうございます。今後も試練に耐えて成長すべく努力します。」
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青水「おお、女神よ、人間界の掟に通じていないおまえにしては良い判断を下したな。」
翡翠「学業をおろそかにしてはいけませんからね。あ、そういえば私も大学生でした。おろそかにされちゃってるじゃないですか。どうしてくれるんです、女神様?」
女神「おまえはロンドン大学に留学中に、こっちの仲間になって現実の時間と切り離されたんだから良いんだよ。むしろサービスタイムだ。時間を気にせず思索に耽れば良い。学生は学者への一里塚、大学は学校じゃないんだ。」
青水「確かに。大学の基本設計は、医師、聖職者、司法職、つまり身体、魂、財産を司る専門職の育成以外では、学者の再生産を目的としているからな。」
翡翠「つまり私はこの異世界で学問の研鑽に励んでいるというわけなのですね。」
女神「そうだ。おまえも初期と比べるとずいぶん成長しているぞ。」
翡翠「そういえばキャラの設定の幅が広がったような気がします。」
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桜「やれやれ、やっと戻ってきた。いつもと同じで転移先で流れた時間はノーカウント。私たちが今いるのは土曜日の昼下がり。」
翼「24時間後の日曜日にまた転移だね。23時間後にタイマーをセットしよう。」
紬「今回の24時間で補充しなきゃいけないのは何かな?」
桜「まずクリーニングに出した制服の回収。」
翼「トリスタンにもらった金貨と残ったエキュの換金。」
紬「金貨は慎重に扱わないとやばそうだから、とりあえずエキュだけ換金しよう。昭和のおっちゃんがやってた銀座の店に行くと2代目か3代目が対応してくれる。」
桜「何て店だっけ、二丁目の?」
翼「泰星スタンプ・コイン。今は切手の取り扱いをやめたので泰星コインだよ。」
紬「エキュはあと何枚残ってるの?」
桜「9枚。」
翼「ふふ、いくらになるか楽しみ。」
紬「昭和の三越食堂でたんまり食べてからそんなに時間が経ってないから、このまま換金に行ってOKだね。」
桜「そのあと渋谷のモンベルで、もっと何か役に立ちそうなものがあるか探してみよう。」
3人は昭和と比べて圧倒的に快適な令和のタクシーに乗って銀座へやって来た。
桜「こんにちは。コインを持ってきたので鑑定お願いできますか?」
店主「いらっしゃい。どんなコインなのかな?」
翼「18世紀末のエキュです。」
店主「おお、この銀貨は人気があるんだ。どれ見せてごらん。………… ふむふむ、これは状態が良いね。」
紬「ひいおじいさんの遺産分けで入手しました。私、価値がわからないので、コレクターの方にお譲りできればと。」
店主「良い心がけだね。趣味の品はコレクターへ、とても健全だ。さて、何枚あるんだね?」
紬「9枚です。」
店主「ふむふむ、では鑑定しよう。………… うむ、状態が良いので1枚3万円で買い取れます。」
翼「それで結構です。」
店主「それでは27万円、どうぞ。」
桜「ここではもっと古い時代の金貨なども扱っていますか?」
店主「はい、もちろんです。希少な金貨はコレクターたちの垂涎の的ですからね。」
桜「もし倉の中で発見したら持ってきます。」
店主「楽しみに待っていますよ。」
翼「やった!こんなにたくさんの渋沢栄一が大集合している姿、見たことがない。」
紬「最近の優良企業の初任給、このくらいらしいよ。」
桜「それを聞くとありがたみが薄れるけど、とりあえずひとり9万円で山分けだ。」
翼「机の引き出しに入れておくのが何となく心配。家族に見つかって問い詰められると。」
紬「翼、あんた銀行口座持ってないの?」
桜「それは良くないな。スマホですぐに口座が作れるから作りなよ。」
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女神「転移があいつらの週末バイトになってる。」
青水「まあいいじゃないか。けっこう過酷なミッションをクリアしてるんだし。」
翡翠「私もさまざまな世界をタイムトラベルしてきましたけど、持ち帰って現代で換金という発想はありませんでした。なんだか悔しい。青水さん、チーズケーキと白ワインください。」
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桜「モンベルに来たけど、ジオラインメッシュの上下、もうひとつ買っておこうか?」
翼「賛成。今回はマッパで洗ってまた着たけど、そんなチャンスはそう転がっていない。」
紬「転移するときはジオラインメッシュのスポブラとパンツで出撃して、交換用にワンセット持って行けば無敵。」
桜「キャンプクッキング関係は、消費したフリーズドライを買い足すだけでいいかな。」
翼「リゾットの他にいろいろあるよ。白米とか五目ご飯、そして味噌汁。」
紬「ミネストローネ、カレー、そしてフリーズドライフルーツ。」
桜「まるで宇宙食みたい。楽しそう。」
翼「あとスコップ。おっきなお花を摘んだら必要になる。我らが分身を土葬する。」
紬「上手いこと言うね。でもそれ大事。」
桜「我ら人類をホモサピエンスならしめたもの、それは火。火を作る道具を複数持っていこう。」
翼「このスライドガストーチ、敵の威嚇にも使えそう。全員分買っておこう。」
紬「着火剤と固形燃料もないと、生木からの焚火はうちらには辛い。」
桜「モンベルはこんなもんかな。」
翼「次は薬局。船酔いとお腹のゲリラ兵、あれは本当に辛かった。」
紬「酔い止めと下痢止め、吐き気止め、それから解毒剤。虫刺されの薬も買っていこう。」
桜「岩本博士に渡したカロリーメイト、20世紀の日本人にも喜ばれたアイテムだから、たくさん買っていこう。何かと役に立ちそう。」
翼「ロキソニンとビタミン剤もあれば安心かな。」
桜「それでは明日、9時に渋谷に集合ね。」
紬「ふう、また久しぶりにゆっくりお風呂に入って自分のベッドで眠れる。」
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青水「で、あいつらは次にどこへ転移するんだ?」
女神「言っただろう?私は転移先を指定しない。指定できるのは初級、中級、上級だけだ。行き先はランダムなんだよ。」
翡翠「私のときと違って本当に雑ですね。それにこのワイプ席、バーカウンターになっていて常時お酒を飲んでるじゃありませんか。」
女神「翡翠もずいぶんといける口になったし、これはこれで良いんじゃないのか。」
青水「その点に関しては俺も100%同意だ。酒を飲みながらJKトリオの奮闘を見る。楽しくてしょうがない。」
次がどこに転移なのかわからないけど、とりあえずできる準備は怠らないJKトリオ。軍資金も増えたので強気で準備できます。




