美少年アドニスを助けちゃうよ
始まってしまったJKトリオの転移旅。アテナの目からビームは何とか食らわずに済んだようですが...
翼「あー、びっくりした!リンゴをむしゃむしゃ食べてる桜の背後から,アテナが鬼の形相で迫ってきて、いまにもビームを出しそうに目が光ってたよ。」
紬「さて、私たちはどこに転移させられたのでしょう?」
桜「なんか似たような地中海っぽい世界ね。あくせくしないでも食べ物が空から降ってくる感じ。」
翼「そんなぬるい世界があるわけない。古代ギリシャのヘシオドスも“労働と日々”という詩を書き残しているじゃない。世界史で習ったよ。」
紬「ねえ、あれ見て!あの美女と美少年!…… 尊い!」
桜「ねえ、紬、何で顔を真っ赤にして興奮してるの?」
紬「あの美女は美の女神ヴィーナス、あの美少年はアドニス!」
翼「ヴィーナスってローマ神話での呼び名で、ギリシャじゃアフロディーテだっけ?」
紬「そうです。夫であるヘーパイストスを裏切って、オラオラ系の軍神マルスと不倫し、さらに美少年アドニスをペルセポネと取り合った、愛と欲の境界線が曖昧な女神。」
桜「うわー、サイテー。」
翼「ねえ、あれって元祖オネショタだよね?」
紬「そうです。まさにその通りです。」
桜「あの美形ショタ、献身的なおねえちゃんをほっといて狩りに行っちゃったけど。」
紬「そして猪に股を抉られて死ぬのです。死んでアネモネになるのです。」
桜「やらせないよっ!美少年はそのまま育ってイケメンになる。その芽を摘むなんて、天が許してもこの一条桜が許さない!」
翼「そうだ、そうだ!二宮翼も勝利の舞で桜を応援する。」
桜「え?場外でチアダンスだけ?」
翼「だって軍神マルスだよ。喧嘩して勝てるわけないじゃん。」
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青「ギリシャ神話の次は神話ネタのシェイクスピア叙事詩か。」
神「ふふふ、私の術式に抜かりはないぞ。死にそうな危機に瀕したら自動で転移することになっている。」
青「行き先は?」
神「ランダム。」
翡翠「女神様、相変わらず雑。」
神「アテナの目からビームな、あれ結構痛いぞ。」
青「浴びたんかい!」
神「実はアテナになぞかけ勝負を挑んだ。」
青「は?唐突だな。」
神「私は言った。“アテナよ、なぞかけ勝負だ、お題を言え”と。」
翡翠「知略の女神に対してずいぶんと大胆ですね。」
神「やつは答えた、“技”と。」
青「言いそうだな。知略と技の女神だ。」
神「なので私は言ってやったよ。“技とかけまして質量と解く。その心は...”と、そこでアテナは卑怯にも目からビームを出しおった。」
青「おまえ、紺野ぶるまのように下ネタに持ち込む気だっただろ?」
神「ご明察。その心は、サイズもないとテクだけじゃ満足できない。」
翡翠「サイテーですね。」
神「アテナはそれを瞬時に予測して聞く前に目からビームだ。暴力でゲームを破壊したので私の勝ちだな。」
翡翠「そんなことより、女子高生トリオ、大丈夫なのでしょうか?」
神「そういえば、翡翠、おまえ、かつてアドニスを助けなかったっけ?」
翡翠「はい。さすがに私もマルスと喧嘩する気にはならなかったので、アドニスがマルス&猪のところに到着する前に天使のセレスさんとフェリシアさんを呼んで馬ごと空に持ち上げてもらい、アマゾネスの国に保護してもらいました。」
青「翡翠ですら戦いを躊躇するマルスが待ち受けるのに、勢いで出撃した桜と翼は大丈夫なのか?」
翡翠「美少女戦士世代ではないので大丈夫でしょう。現代女子高生は、喧嘩やお仕置きはしません。」
神「もしどうにもならなそうだったら、私が出向いてこっちに連れてきて、エラの店のボーイにしよう。女性客が増えてエラも喜ぶ。」
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桜「先回りしてマルスを説得しよう。」
翼「話が通じるかな?」
桜「ギリシャ神話の世界だけどシェイクスピアの叙事詩だから英語でOK。」
翼「そう言う意味の“通じる”じゃない。」
紬「ねえ、待ってよ。ふたりだけで飛び出して行かないで。私という軍師がいないと勝てる戦も負けるよ。」
桜「えーっと、紬って軍師ポジションなの?」
紬「美少年についての知識量は誰にも負けません。」
翼「それ...役に立つのかなあ?」
桜「まあ、三人寄れば文殊の知恵っていうからね、うちら3人集まれば最強っしょ。」
「あ、いたよ、あそこ。マルスと猪。おっきい!」
桜「ヴィーナスってああいうタイプが好みだったんだ。意外。」
翼「美女と野獣っていうから、案外テンプレなのかも。」
桜「なるほどねえ。乙女にはわからない世界だわ。」
紬「こんにちは、マルスさん。」
桜「あっ、紬、作戦もなしに勝手に話しかけるなよ。」
マルス「何だ、おまえたちは?」
翼「JK-Trio from Japan!」
マルス「わけのわからんことを。」
桜「ちょっと、翼!ここはシェイクスピアの世界だよ。JKもハイスクールガールも通じないからね。」
紬「マルスさん、ここでアドニスくんを待ってるの?」
マルス「そうだ。神の怒りを思い知らせてやる。」
紬「なぜ怒ってるの?」
マルス「ガキの分際でヴィーナスの寵愛を受けているからだ。」
桜「子どもに嫉妬するなんてダサいですー。」
マルス「何だと!」
紬「ヴィーナスさんはアドニスくんに対する感情が母性なのか恋慕なのかわからなくなってるだけだと思うのです。ペルセポネさんと取り合いしたのも、子犬の取り合いみたいなもので、どっちも女神だから引っ込みが付かなくなっただけなのでしょう。」
桜「ヴィーナスさんのこと、まだ好きなら再アタックすべきだと思うよ。」
翼「ああいう曖昧な女は少し強引に迫られると弱いものなのです。レディコミで学んだ知識だけど。」
桜「自分のために血を流した男とかにめっちゃ弱い。」
翼「ドラゴンと戦って,少し噛まれて血が出て、それでも倒してドラゴン玉を抜き取ってアクセに加工してプレゼント。」
紬「ドラゴン玉って何なの?ドラゴンボール?」
翼「えっと...勢いで言っちゃった。」
紬「それを言うならハートストーンかな。ドラゴンの心臓に埋め込まれている魔石。」
翼「あ、それそれ。指輪やネックレスにできそう。」
桜「というわけです、マルスさん。こんなところで子どもを殺して輝かしい戦歴に傷を付けるより、よほどそのほうが建設的ですよ。」
マルス「ふむ、珍妙な3人娘よ、その言葉に理を見たぞ。ドラゴンを屠ってこよう。この猪はドラゴンをおびき出す餌に使うとしよう。それと、あれだな、わざと噛まれると好感度が上がるのだな?」
翼「そうです。自分のために流した血を見ると女はメロメロになります。」
マルス「感謝するぞ、三人娘。」
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青「みごとだな、あの三人。」
翡翠「私にはできない説得術です。ジェネレーションギャップを感じます。」
青「おまえと3~4歳しか違わないじゃないか。」
神「JKという特殊な種族だから、年齢の問題ではないな。」
青「なんかちょっと悔しいから酒でも飲もう。」
神「おまえはどんなきっかけでも、いやきっかけがなくても酒を飲んでいるがな。」
翡翠「私にもください。3~4歳の壁を実感したので飲まないとやってられません。」
神「初登場時は異国の美少女ポジションだったのに、今はまるでやさぐれOLだな。」
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桜「で、アドニスくん、どうする?」
翼「このまま放置するとトラブルの元になるよ。」
紬「私に任せてください。ただし条件があります。アドニスくんと手をつなぐ役は私で固定です。ふたりは後ろから護衛役として付いてくるように。」
桜「別に良いけどさ。で、どうするんだ?」
紬「デメテルさんに預けます。デメテルさんにとって一番大切なのは愛娘のペルセポネさん。そのペルセポネさんが大好きなアドニスくんなら、大事に育ててくれますよ。」
翼「Nice Idea!」
紬「アドニスくんはもうそこまで来ています。行きましょう。」
紬「アドニスくん!」
アドニス「誰?」
紬「救済の天使です。あなたを危機から救い,安全な場所へ連れてくるためにやってきました。」
アドニス「ぼく、危ないめに遭うところだったの?」
紬「そうです。恐ろしい神の怒りに触れるところでした。でももう大丈夫。私がその怒りを鎮め,違う道を示してやりました。でも、あなたはもうヴィーナスの元に留まってはいけません。」
アドニス「そうなの?別に良いけど。あの人、ちょっとウザい。」
紬「なので、安全で快適な新しい住処へご案内します。大切に匿ってくれますよ。ご飯も美味しいはずです。」
アドニス「あ、それうれしい。ヴィーナスはいつも同じご飯しかくれないから飽きていたんだ。」
紬「行きましょう、デメテルの神殿へ。」
桜「あいつ、こういうことになるとすごく饒舌だな。」
翼「美少年オタクだからね。」
桜「で、今度はペルセポネとオネショタか。」
翼「もう一枚のカードも加わるから、疑似姐さんのペルセポネと疑似ママのデメテルで一家円満。」
桜「なるほど~。一家円満か、それはハッピーエンドで大満足だ。」
翼「うちら、どうなるのかな?このままここに放置されると困るんですけど。」
桜「とりあえず送り届けたら、食糧をたくさんわけてもらおう。デメテルは豊穣の女神だから美味しいものをいっぱい持ってるはず。」
翼「だね~。クレープも作れるかな?」
翡翠さん、まだ若いのに、JKを見て少しやさぐれてしまいましたね。




