表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"开花"

掲載日:2026/04/07

「殺してくれるんじゃ、無かったんですか?」



白昼

草の上で泥に塗れながら、僕に組み敷かれている弟の顔は、僕から視て右半分が腫れ上がり始めていた


『どうして右なのか』と言うと、僕が右利きだからだ

左手は抵抗する弟を押さえ付ける為に、躰重をかけながら彼の頭を掴んでいる

僕は彼の顔のあちこちを打つ手を止めて、弟の僕に似ない綺麗な顔を視た


僕たちは血が繋がっていない

一般的には連れ子がいじめられる事が多いのかも知れないが、僕は連れ子の身分でありながら弟を呼び出しては殴っていたし、弟はそれを誰にもバラさなかった



「じゃあ」


「そうしてやるよ」


殴打を再開すると、弟は痛みから来る反射で顔を背け、両手で顔を庇い始める

弟の言葉が強がりだったのかは解らないが、この瞬間に感じる昏い悦びを引き立てる調味料である事だけは、間違い無く思えた


必然、弟が顔を庇って居る為、振り下ろした拳の多くは彼の腕や手の甲を打ち据えて居る

手に伝わってくる感覚で弟の指が何本か折れたのが解る頃、弟の白かった腕はついに力無く左右に垂れ下がった

打撲痕だらけのその姿は、本来なら視るも無残なものである筈なのに、血と泥に塗れた彼の皮膚の総てが、今なお優美なものとして僕の眼には映った


様々な感情が在ったが、いずれにしても僕は弟の顔に拳を振り下ろした

瞼が切れ、血液がきらきらと僕に跳ね返る

その雫が袖を濡らした為、僕は次の拳を落とす手を止めて弟に言った



「服が汚れてしまったな」



言葉の意図が明白である為、弟が動いたのは直ぐだった


まだ折れて居ない何本かの指が、辿々しく自らのシャツのボタンを外していく

弟がようやくシャツの前を開く頃には、僕はすっかり自分の服を脱ぎ終えて居て、投げ捨てる様にシャツを弟に投げ渡すと、衣服を引っ手繰(たく)る為に弟に近付いた


抗い難い甘さが、芳香の形でシャツの下に在る弟の素肌から感じられて、僕は戸惑った


血と

汗と

肌の匂いだ


僕はどうして良いのか解らず、狼狽えながら弟を視て居た




弟が、くすくすと笑いながら僕の頬に触れる



「兄さん」


「もっと楽しい事を」



「しましょうか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ