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「ピエトロ。元気かな?」――
「ピエトロ。元気かな?」
「ドン・ニコロ。お会いできてうれしいです」
青年は差し出されたドン・ニコロの手にキスをした。
「司祭さまは?」
「申し訳ありません。お風邪をめしていて、お休みしています」
「それはいけない。軽いんだろう?」
「はい。わたしも付きっきりになるつもりでしたが、ドン・ニコロにだけは挨拶に行くようにと」
「光栄なことだ」本心からそう思った。「それで、ウズラは落ちたかね?」
「はい。お見せしますか?」
「いや、大丈夫だよ。そうだ、いい帆立貝が届いている。温野菜に沿えれば、力もつく。司祭さまも肉を食べるのはしんどいが、帆立貝なら食べられるだろう?」
青年は本当にうれしそうに笑い、帆立貝の礼を言った。




