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絡み合う奇跡



『愚か者が、そのような重い体が動くわけがない! 死ね死ね死ね死ねイネッッ!!』



 怒った、否、怯えたバルサーリオットが魔力ビームを放つ、しかもその性質は今までバルサーリオットが使っていたものとは異なっていた。


テルミヌスが魔法耐性のあるアダマンタイトやミスリル、オリハルコンを素材とするのを見て、バルサーリオットは単純な魔力では有効打にならないと判断したのだろう。魔力ビームを物理的な熱エネルギーに変換し、熱線でテルミヌスを攻撃した。



「無駄だ! サイキックシールド!」



 何千、何万という熱線のビームが降り注ごうと、テルミヌス・オートマキアに届くことはない。妹達の超能力は物理的な攻撃に対して異常な強さを持っている。つまり、テルミヌス・オートマキアは物理攻撃も魔法攻撃も効かない、まさに無敵と言える性能だ。まぁ、相手も無敵みたいなもんだが……


だが、このテルミヌス・オートマキアにも欠点があるみたいだな。



「このテルミヌス……機動力低いな……動かせるけど、体がすごく重く感じる……」

【大量のアダマンタイトを使ったからそれが凄く重いみたい。繊細な回避行動とかはできないかも……加速してしまえば速度は出ると思うけど。まぁ、ショートジャンプで誤魔化すしかないかな】



 ディアの分析通りの性能なら、こいつはまさしく重戦車って感じの性能だな。燃費は悪くないけど、動かすのに癖がある。



『馬鹿な、こんなものが存在していい訳が無い!! 貴様は、貴様達は理不尽だ!! 世界が、世界が成立しないっ!!』



 発狂したバルサーリオット、勇者レギオンは攻撃を続ける、魔法、物理、二種のビームを織り交ぜて、俺を、テルミヌスを攻撃する。だが、その全ては避けるまでもなく、いとも容易く無効化される。バルサーリオットは絶望だろう。



「俺はお前の世界に招かれた、だからもう、お前の居場所は分かる。その意味は分かるな?」


『やめろ! やめてくれぇ!! ワレは! ワレはこんな所で終わっていい存在ではない……! 世界で最も必要、なくてはならない存在、ワレを消せば、世界を呪うようなものだ! だから、だから、やめてくれぇええええええええ!!!』


「安心しろ、痛みも苦しみもなく、一瞬で終わる。アグニウィルム! 力を借りるぞ!」


【──アクティベート、アグニウィルム!】


「──テルミヌス・アルプス・オートマキア・シエラアウローラ・ドラグライズ!」



 テルミヌス・オートマキアをさらにドラグライズ。



「カラーテル、力を借りるぞ。カラートゥス!」



 俺が使ったカラーテルの否定の魔力、それは自分の心、未来を信じようとしない、弱気な心の否定だった。ただのまじないのようなもの、だけど勇気をくれる。否定も使い方次第で希望を見られる。そんな事実が、自分自身を信じる根拠になる気がした。



「──リミットブレイク・ソウルフォージ・アセンション!!」



 テルミヌスの胸から奇跡の力が放出される。魔法と超能力が完全に融合した新しい力が、世界の壁を超えて、勇者レギオン、バルサーリオットへと到達する。


『──なんだ、これは、温かい? 何故こうも、穏やかな──あっ──』



 バルサーリオットの影が、アバターがデスランドから消失する。そして、勇者レギオンの本体の一部がデスランドの大地に戻ってきた。白く輝きながら、細かな粒子となって、消えていく。



「ねぇ、ジャンダルーム、バルサーリオットはどうなったの?」

「エローラ、俺が使ったあの力は、祈りだ。バルサーリオットに取り込まれた人々の魂はもう、元に戻ることはなかった。あのままバルサーリオットをただ倒したら、魂を壊されてしまった人々がまた生まれてくる時、新たなバルサーリオットとして生きようとしたと思う。だから、俺はみんなの魂を浄化して、まっさらな状態にした。魂の赤ちゃんみたいな感じかな」



 バルサーリオットの行った魂の書き換えは魂の汚染と言える。この汚染をどうにかするにはリセットするしかなかった。でも、それだけじゃ、悲しいと俺は思った。



「できるだけいっぱい、良いことを思い出した。大切な人と再会できたこと、友人と騒いだり、美味いものを食べたり、小さなものから大きなものまで、幸せを。その感覚を祈りに、彼らを転生させた。次は良き人生で、ありますようにって」


「──あれ、ジャン兄さん? ここは……」


「オーブ! 目が覚めたか。戦いは終わったよ。イモートを憎む怨念達は、もういない」

「そっか、終わった……んだ。兄さん、僕は、僕は!!」

「オーブ、どうやらまだ終わりじゃないみたいだぞ?」


「──え? ジャン兄さん? 何を言って、敵はもう倒れたんじゃ──」



『ありがとう、礼を言う、解放してくれた』


『ありがとね~! ありがとー! わーい──』



 色んな声があった。バルサーリオットから解放された彼らには記憶がないはずだった。まっさらな魂達。その魂には何も刻まれていないはずなのに、彼らは俺にお礼を言っていた。記憶がなくとも、魂には色がある。それぞれの声がある。まっさらな状態で、彼らは純粋な感謝の気持ちを、俺達に伝えてくる。



 何十万、何百万、何千万、数え切れない程の大勢の魂達が一度に感謝を、祝福の心で空間を満たした。怨念は反転し、俺の祈りを聞き届けた。世界を祝福し、己も幸福の中で生きたい、そんな大きな沢山の願いが、生まれた。



「う、嘘だ……これは、本当に、現実、現実なの……? 兄さん」


 オーブがボロボロと涙を流す。


「ああ、俺もびっくりだよ」



 ピエルレの力によってデスランドの死の境界は曖昧な状態にあった。生と死、その境界はどこにあるのか、そんな状態だったからこそ、なのだろう。


死者が蘇った。デスランド開拓拠点でエーレックスによって虐殺された人々、そして──



「トラン、兄さん……!」



 俺に協力してくれた幽霊だったトラン、オーブの兄も蘇った。トランだけではない、オーブが心配で見守っていた、他の死者達も蘇った。



「大規模な転生によって生まれた膨大なエネルギーが、人々の願いを叶えたようなのだ。パパはレーラルーム神の生まれ変わりの力で復活したけど、人々の転生の力で人間が蘇生するとは……ピエルレおばさんの力の影響もあって、ということなのだ? っふっふっふ、流石はわれのパパなのだ!」



 え? そういうことなの!? イモータルブレイカーの言う事が本当なら、俺がバルサーリオットに囚われていた人々を転生させたから、この現象が起こったのか?


このままじゃ可哀想だからって俺がやったことが、こうなるのか……え? 待って、冷静に考えるととんでもなくないか? なんか、今後面倒くさいことになりそうだけど……まぁ、まぁまぁまぁ!



「ほらみんなテルミヌス降りるぞ。オーブ、行って来い兄ちゃんの所へ。こうなりゃ祝いだ! 宴だ、祭りだ!」



 今はいい感じになったことを喜ぼう。すでに疲れてるんだ俺は。考えなきゃいけないことは後回し、宴で騒いで忘れよう。そうしよう!





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