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拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
それからもいろんな事があったけど、まあまあ順調に調べられている。
惑明の交通路のおかげで、いろいろと文化交流が出来たからだ。
今まで遠回りをして行く国が、この道を使う事ですぐに行ける様になった。
最短で安全にいろんな国へ行く事が出来る。
中間地点には休憩都市が出来上がり、様々な文化が花開き凄い賑わいを見せている。
「あの頃のカオスな問題がウソの様ですね。」
「ホントだよなぁ。凄いよなぁ。」
「奇跡を見ているようです。」
「あの当時を知る者にとって、今はホント天国のようだ。」
今日はこの都市で『世界会議』が行われる。
以前は『惑明の森会議』と言っていたモノが、そのまま世界の問題を話し合う場として残る。
「しかしここの覆面総督は相変わらずか?」
「ハイ、おかわりなく過ごされています。誰も彼女が惑明の総督だとは気づきません。」
「あのさー、本人目の前にしてヒドくない。父様も何気に冷たい。」
「「アハハハ!!」」
のんびりとした穏やかな表情で、ソファーに寛ぐ陛下と父親のラグネス。
「ギライヤ、ここではリックディアス卿って言うんだよ。」
「お前達親子は似ているから、意味がないだろう。」
「ハイ、リックディアス卿♪」
「ノリノリだな。ギライヤも…… 」
今日もいろんな問題を携えて、各国の代表がやって来る。
そしてそれが終われば、お楽しみの飲めや歌えやの大騒ぎ。
それがこの『世界会議』の名物であり、賑わいを魅せる催しだ。
代表に選ばれる事はステータスであり、旨い料理を存分に味わえるご褒美もある。
さてなぜ無事に惑明の森に道が出来たのか?
それは各国の子供出生率に関係している。
長命な種族ほど出生率は低くなる。
それは仕方がない事で、ぶっちゃけ性欲のなさが問題だった。
どうしても研究家気質の者達が多く、探究心というモノに欲を刺激される。
それは抑制された精神の知識欲だ。
だがその反対に位置するのが、本能的精神の性欲。
「エルフと魔族の子供出生率に関して、自国でもいろいろと考えていたよな。混血らの人口比率がないと、国として立ち行かなくなる。年寄りばかりじゃ国として停滞するし、枯国にはなりたくないだろう。」
「さすがに枯国?それとも故国?は心に響くよなぁ。」
「全くですね。始め聞いた時は意味がわかりませんでしたが、枯れ果てる国になるか、故郷に思われるほど遠い時代の国になるかと問われたら……… わが娘ながら恐ろしい事言うなと思いました。」
エルフと魔族は似た気質だが、元の成り立ちが違う。
エルフは精霊から人へと進化した者達。
だから長になる者は精霊に近しい。
だからこそ血族の決まった長がいた。
逆に魔族は、人でありながら魔力の多い土地に住み着き、順応していった者達だった。
なので長になる者は、生殖機能がしっかりと発達した者がなる。
つまり子沢山……… 長が退任すると次の子沢山な者が魔王になるのだ。
子供が多い者ほど、国を考えているという証。
(ただし知性と能力も考え、種族間を考慮している。)
研究家気質は、国政に携わる事は難しく、国の仕事をサボりがちになる。
自分の興味のある事はしっかり動くが、それ以外の事に関しては疎かだ。
それはエルフも同じ様で、長の周りの世話人らは子沢山な者が多い。
周りをよく見て考える者じゃないと、国を治める事などできないのだ。
「その辺りの問題が解決したら、ホント今までの苦労はなんだったんだ、という感じで終わったな。」
「まぁ……… エルフと魔族は長命種ですし、頭もいいですからね。ヤルとなったら早いですね。」
「ラッキーって思えばいいんだよ。ありがとう助かりました。ってね。」
この二つの種族が主に動いた事で、一気に道は出来上がる。
名を付ける事は我らに譲り、後処理も丸投げで任せられた感じだ。
「道の場所はエルフが決めて、細々とした技術関係は魔族とドワーフの共同作業。細かい工事は我ら人族。大雑把で大々的な場所は獣人たち。適材適所の采配で、あっという間に出来上がったな。」
「その間に種族間の交流で、新たな子の誕生も数人あったおかげで、祝賀ムード満載でしたね。」
「やはりお互いの交流って大切なんだよ。違いが判れば、解決する手立てもわかる。」
「その通りだなぁ。」
「でもわが娘である事を忘れないで下さい。さすがにまだ子離れする気はありませんよ。まだまだ子供なんですから。」
突然違う話になって、どうしたんだ?と思ったら、
「そんなに目くじら立てなくてもいいでしょう、ラグネス。」
「随分前に婚約者はどうかと進めて、それを言うんだ?」
「それとこれとは別なんだ。何なんですか、図々しい!!」
さてなぜわが父ラグネスが目くじらを立てているのか?
その理由は、先程部屋に入って来た者に関係している。
「ラグネス、そんなにプリプリ怒ったら、シワが増えて老けてしまうわよ。」
「気安くラグネスと言わないで貰いたい!」
「アラ!!それならお義父さんとでも呼ぼうかしら♪」
「絶対にダメだ!冗談じゃない!!」
相変わらず言い争っている。
かの人物はニコニコしながら、私の頭を撫でている。
「今日もとってもカワイイわ。やっぱり赤が似合うわね♪」
彼の名はセディア・ガーナード・ライハルト。
オネェである。あ、間違えた!
覆面総督である私の代理人を務めている。
更に元エルフの長だった者で、見た目もハイエルフらしくすこぶる美形である。
繊細な金色の髪に森を思わせる深い碧の瞳、神秘的な雰囲気を纏った様な人物だ。
だが今は見る影もなく、単なるオネェでしかない。
「ガーナード殿もドレスですか。いいのですか?」
「似合うからいいの。それにギラちゃんとお揃いコーデなの。側近らも許してくれたわ♪」
(あ、ホントだ!)
セディは薄紫のドレスを着ている。
スッキリしたエンパイアスタイルのドレス。
エルフにピッタリなドレスだ。
頭につけた花冠の装飾品が、女神様の様で皆思わず傅きそう。
絶対男と思う者はいまい。
その後もカオスな言い合いをする父たち。
実際は長年生きているセディにとって、父が言う事はどうでもいい事。
適当にからかいスルーされ、ガルガル言う父の威嚇で終わりを告げるのだ。
「ラグネス、お前獣人の血でも混ざってんじゃないのか?」
呆れた顔で言う陛下に、お父様は項垂れていた。
とにかくうちの父とセディは相性が宜しくないのだ。
そして関係者たちが集まり、世界会議は開催されるのだった。
そんな感じでいろんな所に、ウロンコロンしていた私。
一応なんちゃってでも、王子と全く会わないのはおかしい。
だから陛下へ学園に行く為、今後惑明体制の報告ついでに、ヒョイと顔を出し挨拶する事を忘れない。
「御機嫌よう、実は先週旅行に行きましたの。お土産ですわ。」
そう言ってお土産を側仕えの人に渡して、今から王妃教育だからといつものようにサヨナラをした。
しかし今日は何か思う事でもあるのか、呼び止められる。
「そう言ってホントは、父上の所へ行くのではないか?」
睨み付ける様にこちらを見つめる王子。
オヤ~?首を傾げ、ついでに周りを見ても、なぜかこちらに嫌な目を向けている。
“フ~~ン………”
普通ならココでは困惑な顔でもするべきなんだろうけれど、
“正直こうやって顔出しするのも、面倒くさいんだよなぁ。”
そう思っていた私は、ちょうどいい機会だと考える事にした。
「ならどうするのです?まさか私と陛下がloveな関係とか言わないで下さいね。年齢的に変ですよw」
私はそう言って、あっけらかんと笑ってやった。
「お前何様のつもりだ?」
怒った様子で、威嚇気味に言う王子に……
「そう言う貴方はなんなの?私が陛下の所へ行く。遊んで貰う為とでも思っているの?お子様ね。」(笑)
私は嘲る様に言ってやる。だってホントお子様なんだもの。
歳は幾つだ?もう13歳で、来年からは学園に行く歳になるのだ。
「殿下に対して、何と言う口の利き方ですか!」
殿下に一番近い位置にいる側仕えのメイドが、睨み付けて甲高い声で言う。
「そう言う貴女も公爵令嬢に対して、何と言う口の利き方かしら?」
私は不遜な態度で言うと、相手を挑発する様に意地の悪い微笑みを浮かべる。
「それに他の者達もそうね。どんな話をしてたか知らないけれど、さっきの態度は頂けないわ?」
見下す様に咎めるような口調で、私は静かに言った。
自分達の予想と違う態度に戸惑う、部屋仕えの者達。
そんな私の態度に、王子はフルフルと怒りに震え、拳を握りしめる。
そんな王子の様子を見て、やはりこの関係は潮時だなと思った。
手に持った扇をパッチンと閉じて、王子に向かって私は言う。
「そんなに気になるのなら、一緒に付いてくればいいじゃない?ついでに貴女達もよ。」
私はそう言ってきびすを返し、陛下の下へと向かって歩く。
もちろん王子は肩を怒らせて、私の後を付いて来た。
だけど他の者達は恐れおののき、逃げようとしている。
“アホだな♪”
だが私付きの騎士達が、ちゃんと取り押さえて連れて来た。
もちろん城の連中も、その様子を見ている。
これから何が起こるのか、戦々恐々した様子で眺めているのだ。
「お前は一体何をしてるんだ?」
執務室に行けば、陛下からの第一声はこれだった。
しゃちほこばった様子の王子は、慌てて頭を下げ挨拶をする。
でも私は挨拶をしない。だって……
「そのお前って、私?それともこの王子?」
私のズケズケとした物言いに驚く、王子と側仕え達。
王子なんか鯉の様に口をパクパクして、なんて間抜け面だ。
「どっちもだ!何なんだ、年の瀬でこの忙しい時に……」
そんな私のモノ言いに、威嚇する様に吠える陛下。
「その忙しい時に、訳の分からん、いちゃもん付けて来たんだよ、この王子は!私はただお土産を持参しただけだぞ。婚約者の交流ってヤツをしただけだ!」
王子は憎悪の籠ったような目で私を見つめていた。
側仕えの者は、目を見開いて茫然とし驚いている。
部屋仕え達は、蒼褪めた顔でガタガタと震え上げている。
なかなか面白い事になりそうじゃないか♪どんな話が飛び出すんだろうね。
私はワクワクと胸を躍らせ、唇を舌で濡らす。
そして髪につけていた髪飾りを、ソッと取り外した。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)
次回は20時です。