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拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 




「ギライヤ・リックディアス、貴女との婚約を破棄する。何か言いたい事があれば、この場で聞いてやろう。」



 まああれだ。卒業パーティーってヤツだ。

 そして定番の公開婚約破棄ってヤツをしているんだな。

 という事は………

 どうやら乙女ゲームへ異世界転生していたらしい。


「何も言う事はないのだな?」


 しかしだ。コイツ何言ってんだ?

 さっきから聞いていれば、嫉妬であの女を虐めていたとか、本気でそう思っているのだろうか?


「逆にお聞きしますが、この私が()()で、そちらの女性を虐めたとお思い?」


「そうだ!!彼女には何の落ち度もない!彼女は君の取り巻きにいろいろ言われ、泣いていたのだぞ!それだけではない。彼女を悪質な者達に襲わせるなど、言語同断だ!!」


 熱血に語る殿下を、冷めた目で見ながら私は言う。


「まずそうですわね。彼女に落ち度がないと、本気で思ってらっしゃるの?婚約者のいる男性の身体を、ベタベタ触る事は落ち度でないと?ところかまわず騒ぎを起こし、泣き喚く事も普通だという事かしら?」


 私はマニキュアの塗られた指先を見ながら言うと、


「そういう事ではない。だいたい常日頃から貴女は傲慢だ!それに襲う事は犯罪だろう!!」


「私が傲慢とは、フッ…… 貴方に言われたくありませんわ。それにその襲うって、私がそんな事するとお思いなの?そんなまどろっこしくて、不確かな事しませんわ。だって失敗する可能性が95%はあるはずよ。そんなバカなやり方する訳ないじゃない。本気で私がやるなら、彼女はこの場にいないわ。そんなバカな事を、本気で私がしたとお思いなの?それも嫉妬だなんて面白い冗談ね。」


 会場全体が、とっても静かになった。

 殿下に至っては、口を開こうとして閉じた。

 そうだよな?お前が一番の被害者だもんな??

 お前が一番、私のやり方を知っているはずだろう。

 側近のお前達もそうだろう?

 お前らも知らないはずないよな?


「わ、私は今までの事を謝って頂ければいいのです。謝って下さい、ギライヤ様!」


 何かが身体全体を包もうとするが………


消去(キャンセル)


 ピンクの靄が消え去る。

 なるほどなぁ……… そういう事なのか!

 私は凄く納得し、うんうんと頷いた。


 やっぱり乙女ゲームって、そういうモノなんだろう。

 一人の女に群がるとか、生物的にも可笑しいと思っていたから。


 その後はもちろん近衛騎士達が、殿下やヒロインさん?そして側近を拘束。

 卒業パーティーはお開きとなり、後日改めて行う事になる。



 ****************



 私の名前はギライヤ・リックディアス。

 所謂異世界転生って事をやっている。

 気がついたらこの世界にいた。そして何もなかった。

 神らしき人が説明するとか、土下座するとかそんなモノ何もなし。

 ならモブって事でいいのかね?

 だが……… 私は公爵家生まれだった。

 ついでに長女で一人っ子である。


 “フム……… なら領地を発展させるってヤツか?”


 家名も別に落ちぶれている訳もなく、貧乏でもない。

 かといえばお金ザクザクでもなけりゃ、ド田舎領地でもないのだ。

 公爵家だけど、可もなく不可もなし。

 そんな家に生まれたのだ、私は。



 前世の私はどんな人物だったか?

 そこまで興味はないだろうから、省かせて貰う。

 ただ一言で言えば、生物が好きな人間だった。

 動物園・水族館・昆虫博物館・恐竜博物館………

 ホント前世では、好きと興味で溢れていた世界だった。

 そしてこの世界では、更に興味を引く生物で溢れかえっている!

 人だけでも、魔族・獣人・エルフにドワーフ………

 上げ連ねるだけでもたくさんの種類が存在するのだ。

 もちろんそれ以外の生物も星の数ほど存在している。


 “クソッ……… 何故私は人間なんだ?!”


 もしもドラゴンだったら、時間と力を駆使して、ありとあらゆる生物を調べ挙げたのに!

 それなのに一番非力な人間に生まれ変わるとは!!

 コレが不幸と言わずして何というのだ!!!



 そんな事を考えている人間に、更なる不幸が襲う。


「第二殿下の婚約者ですか?」


「そうだ。結婚後はわが家に入られる事になる。」


「お父様、私まだ5歳ですわよ。もう結婚後まで人生設計決まっておりますの?面白くも楽しくもありませんわ。死んでもよろしくて?」


「「ギライヤ?!」」


「私常々思っておりますの。何故人間に生まれたのかしらって?なのになぜそんな面倒な、男の嫁にならなくてはなりませんの?」


 私は自分の両親の顔を見ながら話す。

 記憶を思い出したのは4歳の時、本来なら乳児に罹る病を4歳で罹り重症化。

 そこから前世を思い出し、この世界の生物を調べようと胸をときめかせていた。

 だって魔物の図鑑はあれど、弱点と素材の有効活用ばかり、人に至っては目で見た違いと能力のみ。

 なんかもっとこうあるでしょう!と言いたくなる様な代物だった。


「私とっても忙しいのですわ。人生費やしても、何処まで調べ上げられるか瀬戸際ですのよ。断わって下さいまし!」


 結婚する相手は、私の事を理解できる男に限る。

 更に領地経営が出来る文官型、王子など以ての外だ。


「いい話だと思わないの?王子様と結婚するのよ。一度会ってみない?会ってみたら素敵な方かもしれないわよ?」


「そうだぞ、ギライヤ。会ってみたらどうだ?」


 なんか食わず嫌いをしている子供に対する話し方だ。

 大体会って、更に面倒な事にならないか……

 不満タラタラのまま、第二殿下に会う事になった。




 実際会ってどうだったかというと、普通のお子様だ。

 5歳の子にしては利発でしっかりとした子だとは思う。

 だけど、だからどうなんだって思う。

 こちとら大人の思考だからな、誤魔化しも隠しも致しません。

 だって私忙しいから、コチラの世界の生物を調べたいの。

 時間は有限なのだ。


「殿下に会ってどうだった?」


 私はフルフルと首を振り拒否を示す。

 だいたい50も近い精神年齢なのに、5歳はないだろう。

 いくら生まれ変わっても、前世の価値観や感情が簡単に覆されるはずもないのだ。

 殿下自体がどうかではない。それ以前の問題だった。


 その後陛下と謁見し、そこで前世の話をする。

 するとなんちゃって婚約者になる事をススメられた。

 婚約したフリ、王妃教育するフリをし、前世の知識を必要に応じて話をする。

 その代わり見返りとして、資金提供や交渉など、その他の雑多な事を引き受けてくれるという。


「それ位の年齢と高度な知識があれば、教育をする必要もないだろう。むしろいろんな事を調べ、世界の不思議を紐解いて欲しい。この世界はいろいろと事が大雑把だろうからね。(笑)」


 やったー!最高な地位のスポンサーと協力者が手に入った。winwin♪




 それからはとっても充実した時間を過ごす。

 まず王城に自由に出入りできるから、いろんな書物を見る事が出来た。

 また、ありとあらゆる種族が交わる場所、種族内の話、種族間の違いなど聞く事ができる。

 お陰でいろんな事が詳しく判る様になった。

 いくら魔法があっても、肉体遺伝と精神感覚はあちらと同じ。

 遺伝子レベルで合う合わないはどうしても存在するし、精神面での好き嫌いも存在する。

 例えば獣人は本能的行動をするし、魔族は魔力で精神寄りな行動をしがち。

 エルフは自然派寄りだし、ドワーフは技術推進型だ。

 そして、合理的で全く主義主張がなく金銭寄りな人族。


「知っているまたは、感じている事を文書化しましたわ。これで種族間の主義主張による、話がまとまらない理由がよくわかると思いますの。」


「こうキッチリ枠に嵌められると明確になるな。」


「いつまでたっても平行線な理由が良くわかります。」


「無意味な主張ですよね。なんかいろいろと……… 」


 国同士の真ん中にある惑明の森。

 この森に道を作ろうと話はあれど、いつまで経っても着工しない。

 それは互いの主義主張が存在するから………

 でも道は欲しい。国同士の交流と物流の活性化が図れるから………

 だがその主義主張が意外にも幼稚だったりする。


「これどういう事ですの?なんとなく気持ちが良くない??」


「ああ、エルフと魔族の主張だな。頭の上の空論ばかりで埒が明かない。」


「この…… とにかく作ってすっきりしようも、意味がわかりませんわ。」


「獣人族の者は面倒がって、適当にしてくれと言っているんだ。だがすれば文句を言う。」


「材料と人足、それと酒が大量にあればいい。まだ前段階じゃなくって?」


「ドワーフだな。前準備は丸投げで、作れる状態で引き受けるという話だ。だが自己都合で作る事があるから監視が必要だな。」


 もう道作る以前の問題ではなかろうか?

 幼女が途方に暮れて、大人の話を聞く姿はとても滑稽だろう。


「馬鹿馬鹿しい……… 」


「「「………………」」」


 素直に思った事を口にした。

 だってね、それ以外言う事ないよね。

 それもその話を10年以上しているのに、全く進んでいないんだから!


「もう止めたら?一生できませんわ。絶対!」


 やるだけ無駄な事に時間かけたくないよね。

 絶対横やりやら妨害で、更にややこしくなる事間違いなしだ。


「労力と知恵の無駄遣い。放置でよろしい!ハイ、次!!」


 面倒事には関わりたくないのである。

 だって私忙しいもの。やる事が別にあるのよ。

 私の付き人が目を彷徨わせ、陛下や父親達を見ているけど反応ナッシング。


「で、では次はコチラの件ですが、要するに出産後の赤子の状態によるお話ですね。」


 その話の内容は生まれたハーフに関してだ。

 別の種族同士で交わり出産。

 そしてその赤子にいろいろと、問題やら恩恵やらがあるらしい。

 例えばエルフと人族だと、魔力が高くなる。

 だが場合によっては、極端に身体が弱く寿命も短い。

 魔族と獣人の場合は、戦闘狂や狂人と人格形成に問題が起こる。

 ドワーフだと、まぁ肉体的特徴が問題だ。

 ついでに酒狂いで、子供の頃からいろいろと大変らしい。


「どちらも遺伝子的に仕方ないのでは?本能型と精神型が交わればあり得ますわ。種族間の住処だって、こだわりがあり、食べ物だって好みがある。でもそれは種族の本能的欲求ではございませんの?ならばその部分に当て嵌めて、合わせていくしかありませんわね。」


 ヤレヤレ……… まさに振り出しに戻るだ。


「ぶっちゃければ……… さっきの道と同じ問題なんだよ。互いに主義主張のせいで、子供がその犠牲になってるだけ……… それこそ互いに尊重し合い調和しなければ、いつまでたっても解決しない。もうさっきの延長じゃないけどさ、同族間のみ以外は、避妊って事にした方がいいんじゃない?」


 茫然とした顔やら蒼褪めた顔。

 もうお嬢様言葉なしね。ウンザリなんだよ。

 何なんだろうね?同じ問題を孕んでいるとは思わなかった?

 種の存続なだけに…… 親父ギャグかよ。


「ホント大人は勝手だよ。可哀そうに犠牲になるのは弱い者達、子供達だね。」


 冷めた眼差しで言ってやる。

 私の見た目は可愛い5歳の幼女、かなり精神的に抉られるだろう。

 私はとっても意地が悪い性格だ。





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)


次回は18時です。

よろしくお願いします(*^^*)


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[一言] リックディアスw
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