ある商店の看板娘
うららかな春の日の光と風が吹く明るいレンガ畳の道にある、小さい商店の黄色い髪の店員に
「こっこんにちは! コリンさん!あっあの、私と付き合ってください!」
と告白の言葉とともに、綺麗な薔薇の花束を青年が差し出してきた。
コリンと呼ばれた店員はふわっと笑うと言った。
「お気持ちはうれしいのですが、僕は、あなたの気持ちには答えれらないんです。ごめんなさい」
「そっそんな! せめて理由だけでも教えてくれませんか? 私に理由があれば直しますから!」
食い下がる青年にコリンはそっと近づき言った。
「その、実は僕には好きな人がいるんです。店の方やお客さんたちには内緒にしてるんですが」
コリンは申し訳なさそうな顔をした。
コリンの顔を見て、青年は悲しそうな顔をしながらすごすごと帰っていった。
その様子を見ていた、黒混じりの赤髪の目つきの悪い店員が奥から顔をのぞかせた。
「コリン、お前またなのか。お前は看板娘になりそうだと思ったが、予想以上だな」
「またってな、リリアお前のせいだろ。なんで俺がこんな格好をして接客なんかしなくちゃならないんだよ。なんか男が寄ってくるし」
「そりゃあ仕方がないだろ、お前は、この私に貸しがあるんだからな、色々してやっただろうあと貸した金の分はきっちりと働け」
リリアという店員はきっぱりと言い切った。
「はいはい、分かりましたよーー。でも、本当なら俺が女の恰好なんてしなくてもいいと思うんだけどなーー。看板娘にはリリアがなればいいのに。でも、リリアって女らしくないから仕方がないかーー」
「お前は、男らくないだろ」
すかさず返された言葉に、コリンは肩をすくめると、ため息をついた。
その時、カランカランと音がして
「すいませーん。コリンさんいますかーー?」
とお客さんがやってきた。
「やっぱり、お前は人気者だなーー。頑張れよコリンさん。」
お客さんを見て、リリアは飄々とした顔で言った。
コリンはリリアの発言に顔が引きつりそうになるが、直ぐにいつもの看板娘の笑顔になりお客さんを迎えた。
「いらっしゃいませーー、今日はどうされましたか?」