1 同性でも痴漢になるのかしら?
ノリで書きたくなって……不定期更新かな(-ω-?)
いつもの朝、いつも通りに電車で通学している時に、それは起こった。
何だか、触られてるような変な感じを後ろに感じたけど、私みたいな地味女を痴漢する物好きは居ないだろうと気のせいと判断して最初のうちはスルーしていた。
……けど、流石に思いっきりスカートの中に手を入れられるとそういう訳にもいかなかった。
(はぁ……こんな地味子にイタズラとか、どんな物好きなんやら……)
ため息混じりに視線を後ろに向けるが、私が偏見で想像していた油ギッシュなおじ様やら、性欲を持て余した猿やらはそこにはおらず、何故か絶世の美少女がそこには居られた。
美しい長い銀髪と、涼やかな蒼い瞳、白い肌は本当に私と同じ女性というカテゴリーなのか疑問になるくらいに艶々しており、スタイルもツルペタの少し背が高めの男勝りな私なんかとは比べるのもおこがましい程にボン・キュッ・ボン!な感じで電車内の男性の目は彼女に釘付けであった。
……というか、私この人知ってるわ。
同じ高校で同じ学年の別クラスの有名人、水無月恋春さんだ。
んー?でも、こんな美少女が地味子にイタズラとかしないよね?え、じゃあ誰が?
私は他に容疑者を探すが、1番近いのは彼女で、その手は思いっきり私のスカートの中を縦横無尽にまさぐっておられた。
「……あの、水無月……さん……?その……何をしてるの……?」
気のせいと自意識過剰という単語がめっちゃ連鎖しているけど、流石に現在進行形でまさぐられていると、聞かない訳にはいかなかった。
心做しか小声になったのは、怯えてのことではなく、騒いで後で大火傷しないための予防線とだけ言っておく。
すると、私の問いかけに美少女様はニッコリと微笑んで答えた。
「おはようございます、私のことご存知だったのですね」
「ええ、まあ……」
むしろ、こんな美少女をご存知じゃない訳ないのだが、その美少女様の手が未だに私のお尻を撫でてるのは解せなかった。
というか、パンツに手を入れるのはマジで勘弁して。
弱々しくも水無月さんの手の進行を防いでいると、水無月さんは何処か恍惚したような表情を浮かべていた。
「ふふ……やっぱり、凄く好みです」
「えっと、何がでしょうか……?」
周りの乗客は皆、彼女の顔に視線が行くようで、手の方が私のスカートの中を縦横無尽に乱舞していても気が付かないようだ。
まあ、脂ギッシュな男やら中年のエロリーマンに触られるより100倍マシではあるけど、なんか変な扉を開きそうで怖くなる。
一応、私はノーマルなんだけどなぁ……
「菜月紅葉さんですよね?D組の」
「ええ、まあ……」
初見ではよく、もみじと呼ばれる私の名前を正しく把握してるということは、私だと分かってこんな行為をしているのだろうか?
というか、こんな美少女様に名前を覚えられていたことに驚いてしまう。
自分で言うものあれだけど、私は影の薄さにはかなり自信があって、人に覚えられないことに関してはプロ級(何のプロかは分からないけど)の腕前なのだが、この美少女様はしっかり私を見つけていた。
あ、でもボッチじゃないよ?
少ないけど友達はちゃんと居るから。
まあ、1人の方が好きではあるけど、ボッチだと色々面倒事も多いし対人スキルは最低限持ってるのよ。
……と、そんな現実逃避をしてる場合じゃないな。
「えっと、水無月さん……冗談とかだよね……?」
何としてもパンツの中をまさぐろうと藻掻く手を制してる時点でその可能性は低そうだが、一応やんわりと聞いてみる。
すると、水無月さんは少しキョトンとしてからくすりと笑った。
だよね、だよね。友達同士の悪ふざけとかだよね。
いつの間にこんな美少女様とフレンドになったのかは知らないが一件落着……
「いえ、勿論本気ですよ。私、菜月さんのこと食べたいんです」
……しなかったよ、ちくしょう!
え?何?美少女様は私をご所望?
斜め後ろに座ってる色っぽいOLさんとかじゃだめなの?
めっちゃ足セクシーだよ?お尻も多分私よりボリューミーだよ?
こんなツルペタで引っ込みまくりの荒野なボディーの何を欲してるの?
「えっと……」
何を言うべきか、そう、この場合の最適解は……
「優しく……してね?」
違う!絶対違う答えを選んでしまった!
これじゃあ、私痴女みたいじゃん!
ある意味恥ずかしい存在だけど、このセリフは絶対ノリノリで引くでしょ!
恐る恐る、美少女様の方へ視線を向けると、何やら美少女様は笑いを堪えているようであった。
「やっぱり、菜月さんは面白いですね」
ガシャン!と、駅に着くと、美少女様は嬉しそうに降りて行った。
これが、私と美少女様……水無月さんとのファーストコンタクトだった。
人目を惹き付けて降りていく彼女を見送りながら、私は同性でも痴漢って適応されるのだろうかと思いながらスカートを直すであった。