二話 推し
推し
みんなって推しはいる?
アニメやアイドルなどなど、割れるよね。
うちのクラスは、ほとんどがアイドル推しが多い。アニメ推しはいるはいるけど、男子が多い。私は、男子と喋れんから語れない。
というか、私、今年このクラスの男子と喋ってない。一度も。昔喋った子もいるけど
クラスが2年も離れたのかな…
喋ろうとするとめっちゃ気まずい空気になりそうだから喋ってない。
しかも、その人は、私の苦手な人とつるんでるから尚更、喋ろうと思わない。
まぁ、こんな話は置いといて、私も推しがいる。アニメもアイドルも
推しはいるけど、クラスの中にもいる。
その人の名前はティラノサウルス。
ティラノサウルスの本名は克樹 翔矢
黒の短髪で身長が高い。
皆に優しく、礼儀正しい。
クラスの内ではモテモテのモテ子。だけど、他クラスでは不人気。
“女癖が悪い”とか“優順不断”などなど、色々言われてる。けど、私は、ティラノサウルスが女癖が悪いとは思わないんだよね。
だって、ティラノサウルスは……
ホモだもん。
男に抱きつくし、キスする寸前まで顔を近づけるし、偽の婚姻届を鼻ちぎれ男に渡した。
鼻ちぎれ男についてはいつか紹介するね。
とにかく、ティラノサウルスは女癖が悪いって言うよりかは、男癖が悪いの方がしっくりくる。
でも最近、すごく気になることがある。
それは………
やたらと目が合う。これは、私の勘違いかもしれないけど、1日1回以上は目が合う。
自分がティラノサウルスを
観察してるから目が合う。
ということもあるけど、それ以外に、これっと言った原因はない…多分。
もしかしたら、あの時かな…?
あの時とは、私が美術の時ポスカラで絵を
塗ってた時
「あっ、髪の毛にポスカラが着いちゃった…」
前の私は、髪が腰ぐらいあって、良くポスカラに髪が着くことが多かった。
先生にその事ついて言うと、先生は、大きな声で
「また着いたの〜?」
って言う。うちの美術担任の先生は皆に聞かれたいか知らんが、よく大きな声で喋ってくる。そのせいで私は目立ちたくないのに目立ってしまう…しかも悪い方の。
「えっと…風なんたらさん」
「風鈴だ」
授業が終わると私の噂をしてくる男子もいた。その内の中の1人がティラノサウルス。
私は、自分の噂が聞きたくないからさっさと
美術室から抜け出そうとした時
「あの、風鈴さん」
って話しかけられた。でも私はただの噂されてると思って、そのまま無視して教室に帰った。
「ティラノサウルスに話しかけられてたけどいいの?」
「うん、いい!」
と、言い切った。
後から和香ちゃんから詳しく聞くと、ティラノサウルスは私に話しかけてくれたらしい。
それなのに私は、無視ちゃったから今思うと本当に申し訳ない。ごめんな、ティラノサウルス。けどこれは、もう結構前のこと。
ティラノサウルスも覚えてないだろうし。
また次なにか話す機会があったら、
ちゃんと話そ。
まぁ、昔話はこの辺にしといて、
ティラノサウルスには可愛い所がいくつかある。例えば、授業。
「もし、自分の子供が、幼稚園、保育園に預けるとしたらどっちにするか周りと相談して」
今日の一時間目の授業は家庭科。
私達、中学3年生の家庭科は、主に育児のことについて学んでる。今回は幼稚園、保育園について授業でやってる。
「のんちゃんは、どっちに預ける?」
「私は、保育園かな。だって、保育園は、6時時ぐらいまで預けられるじゃん?
後、私はお仕事とかしたいし」
「確かに、幼稚園だと2時ぐらいまでしか
いられないもんね。でも、私は、幼稚園かな?だって家から近いし」
そう話していくうちに、先生から“やめ”の声が聞こえて、その場の皆が一瞬で黙った。
「それじゃあ、発表してくれる人」
「はいっ!」
「克樹くん」
「僕は、幼稚園を選びます」
「なんで幼稚園なの?」
「子供に早く会いたいからです」
「えっ、自分が?」
「い、いえ!自分の子供がです!」
周りから絶対嘘だろw、自分でしょwという
クスクス話が聞こえてくる。
私も、正直思った。だって、本人は、顔を真っ赤にして必死に誤魔化してるもん。
嗚呼、可愛すぎん?
ティラノサウルス推しからしたら、
もう、ご馳走だよ?
やばい、ニヤニヤが止まらん。
「うひひひ」
「風鈴ちゃん、顔」
「あっ」