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2 夢から覚める時

——誰かが話してる。


黒いロープを被り手の甲に赤い刻印が刻まれている男と黄金のような輝く綺麗な髪をしている女性。


何を話しているのかは聞こえずわからない、

けど女性がとても心配そうに男性を引き止めているように見える。

それに対して男性は優しく笑うだけ。


よくわからないがその笑顔を見ると胸がざわつき、無性に腹が立つ、今すぐ殴ってやりたい衝動に駆られる。

彼と話していた金髪の美女の悲しそうな顔を見るととても切なくなって、でもなぜか懐かしくなる。

今すぐ抱きしめてあげたい、

しかし手を伸ばしても彼女には届かない。


瞬間目の前が真っ暗になった。


「はっ!」


目を開けるとそこには彼女ではなくいつも見慣れた天井が写っていた。


「……夢?」


頬を触ると濡れていた。

頬を触った手の甲を見るとそこには


「なんでこれが……」


夢で見たあの男と同じ赤い刻印が刻まれていた。


「あれは、夢じゃない?」


「ユノー遅刻するよー」


神父の声にハッと時計を見ると既にいつもの時間より過ぎていた。


「やばっ!?」


ユナは布団から飛び出て急いで用意する。

学校にはギリギリ間に合った。



日は暮れて辺りは暗くなっていた。


「あの先生、雑用を人に頼み過ぎ……結構遅くなったな早く帰らなきゃ、みんなお腹すいて待ってるなきっと」


孤児院の夕食は基本みんなで食べるルールなのでみんな文句を言いながらも待ってくれている。


駆け足で孤児院に帰るとそこにはなぜか魔法騎士がいた。

魔法騎士はユノに気づくと近づいてくる。


「あ、あの……」


魔法騎士はユノを見ると顔をしかめ腕を掴み引っ張っていく。


「い、痛っ、な、なんですか!?」


尋常じゃない力にユノはされるがままに引っ張られる、ユノを引っ張る男は孤児院の扉を開けてそのまま中に入ってく。

そしてユノがそこで見たのは兵たちに囲まれている神父とジックだった。

ジックは半泣きで神父に慰められていた。


「ジック、エリン、神父!?」


駆け寄ろうとするが一人の男が前に立ちはだかり道を遮る。


「……一体なんなんですか、あなた達」


「我々は魔法騎士だ……すまないが我々と来てもらおうか、君には容疑がかかっている」


「……なんの容疑ですか?」


「容疑は国家反逆罪だ」


「……はっ?」


言っている意味が分からなかった、何を言ってるんだこの人達は、ユノは呆然とするしかなかった。


「さぁ、来てもらおうか」


手が伸ばされる。


ユノは思わずその手を払う。


「何かの間違いです、僕は普通のこどもですよ?」


「これは国からの命令だ、残念ながら君は逆らうことはできない」


「なんですか、それ……」


理不尽な言葉に胸が締め付けられる、怒りが全身を支配する。


「僕は––––」


「君はこの国にとって危険人物なのだ」


「違うユノはそんな子ではない!」


「神、父?」


立ち上がり声を荒げる神父、こんな声今まで聞いたこともない。


「神父、その心意気は聖職者として素晴らしいと思います、けれどこの子をかばうと貴方も罪に問われますよ?」


男は腰に携えている剣に手をかける。

しかし神父は動じず一歩前に出る。


「わかった! 行く、着いて行くから、その人達には手を出さないでください!」


ユノは反射的に言葉が出た。

着いて行ったら確実にユノは犯罪者となる。下手したら死刑だ、そんなのは嫌だしまだ死にたくもない。

——けど、けれど、家族が死ぬのはもっと嫌だ。

血は繋がってないけどあの人達は僕達の家族なんだ。

——エリン、ごめん、約束破っちゃうね


「いい判断だ、では道中暴れられては困るので君には眠っていてもらう」


ユノは視界がブレるのを感じそして暗転した。

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