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王子、うるさい!  作者: 大木戸いずみ
63/117

63.マイズ家

「お姉しゃま~~!」

 オスカーの家に着くなり、メリッサは私の腕に飛び乗ってくる。私は彼女が落ちないようにしっかりと抱き上げる。

 勿論、今日は一人で来た。ヘレナも王子もエディ、イーサンもいない。そして、正直、メリッサはヘレナにとられたくないっていう独占欲も少しある。

「メリッサ、お姉しゃまのこと大好き!」

 元気だなぁ。小さい子ってなんでこんなにパワフルなんだろう。

 ……でも、もし推しのアイドルが目の前に現れたら、猛ダッシュして抱きつくかもしれない。ということは、私はメリッサのアイドルって立ち位置でオッケー?

「今日は来てくれて有難う」

 メリッサより少し遅れて、オスカーが出てくる。

 何だろう、この笑顔……、色んな女の子たちが落ちていくの分かるような気がするわ。

 偏見だけど、女たらしの男の子って大概が本当の恋を知らないって感じだよね。 

 ……でも、オスカーにはヘレナがいるし。本当に好きな人が出来たのに、それでもまだ色魔でい続けているの?

 男心というものは、よく分からない。

 いっそのこと全員の心の声が読めれば……、それはそれで面倒なことになりそうだから、嫌だな。


「何して遊ぶ~?」

 メリッサは私の腕の中で目をキラキラさせる。

「メリッサがしたいことをすればいいよ」

「じゃあ、またお話して!」

「私が作ったお話で良いの?」

「うんッ!」

 彼女は満面の笑顔で答える。

 ……眩しい。純粋な子ども笑顔ほど眩しいものはない。メリッサも大人になったら多少腹黒になってしまうのかと思うと少し悲しい。

 オスカーも幼い頃から女たらしってことはなかっただろうから、きっと何か過去があったんだよね。

 …………なんで思い出せないんだ!!

 暇つぶしだったけど、それなりに真面目にゲームしてたはずなのに。オスカーのイベントもきっちりこなしたはずなのに。

 まぁ、そのうち思い出すかな。

 それに今、私が思い出して、オスカーをどうのこうの出来るわけじゃない。彼の過去を知って励ますのはヘレナの役目だし。……それは、きっともう終えているのだろうけど。


「豚の太ももはこうして肉離れになったのでした」

 私がどんな話をしてもメリッサは楽しそうに笑ってくれる。

 その笑顔が最高に愛おしいし、ずっと眺めておける。なんなら、この笑顔を写真にして待ち受け画面にしたいぐらいだ。

「なんか、よく分からない話だったけど面白かったよ」

 何故かオスカーもソファに座りながら私の話を聞いている。

 別に聞かれてまずい話をしているわけじゃないけど、何故か少し気まずい。

 そんなに私とメリッサを二人っきりにするのが心配なのかな……。前世の記憶戻る前のキャシーも流石にこんな小さい子に意地悪はしないでしょ。

「他のお話もして!! お姉しゃまのお話が一番面白いの!」

 そんな期待した目を向けないで。私、もうそろそろネタが思いつかないよ……。

 馬の鼻息で空まで飛ばされたお姫様の話でもしようかな。いや、でもオチが思いつかないし。

 メリッサの期待を裏切れない! どうしよう!

「そうだ、キャシーはヴァイオリンも上手いんだぞ」

 困っている私を見て、オスカーが私に助け舟を出してくれた。

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