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王子、うるさい!  作者: 大木戸いずみ
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6.攻略対象者

 馬車って、超遅くない? 

 私は大きくてご立派なお屋敷を前にそんなことを考える。

 ここまで来るのにかなりかかった。馬車の中は話し相手がいることもなく、もちろん一人だ。退屈しのぎになるものが一つない。

 要は、めっちゃヒマ。

 馬に直接乗る方が絶対に楽しい。乗馬出来たら、西部劇ごっことか出来そうだし……。

 

「ようこそ、おいでなさいました」

 丁寧にお辞儀をして、執事が出迎えてくれる。

 イーサンと仲が良かったら、彼が出迎えてくれたんだろうな。むしろ今は敵同士だもんね。こんな歓迎されない場所へ、よく毎回来れたな。

 私は執事に案内されながら、ミシェル家を見渡す。

 やっぱ、綺麗だよね。一体どんな庭師を雇ってるんだか。ミシェル家は、色とりどりの花が咲き誇る美しい庭園が有名だ。

 赤い眼鏡でシュッと細身の怖そうなベテラン女庭師とか、逆にギャップ萌えを狙って、白いひげを生やしたたれ目の肥えたおじさんとか? 

 ……まぁ、何でもいっか。

「こちらです」

 そう言って、沢山の貴族で賑わった庭へ案内された。

 

 私が来た瞬間、あからさまに空気が変わる。

 お洒落な上級貴族のお茶会だから、ボンジョールノとか言った方がいいのかな、とか思ってたけど、とてもそんなの言い出せる雰囲気じゃない。

 来るなって感じの雰囲気よりも、何故か皆私を見て驚いている様子だ。

 もしや、私招待されてなかったとか?

 仮にそうなら、恥ずかしすぎる。穴があったら入りたいなんて状況じゃない。穴が無くても、掘って今すぐ埋まりたい。

『……いつもと随分雰囲気が違うな』

 あ、王子の声だ。

 周りをぐるっと見渡す。金色の髪が目に入る。

 王子の髪は金色だから太陽の光に反射して輝き、一瞬ハゲてるのかと思ったことは口に出さないでおこう。

 彼の周りには攻略者達が勢揃いだ。

 イーサン・ミシェル、宰相の息子で頭脳明晰な彼を口うるさい眼鏡青年と想像した人間は多いだろう。

 だが、そんな想像を見事裏切る。物静かでさらさらの灰色の髪とその少したれ目の緑の瞳。まさに優しい好青年。文句のつけどころが無くて困る。唯一の欠点は、私のことを嫌っているというところ。

 そして、その横にいるのが、エディ・モーセス。

 燃えるような赤い髪に、力強い茶色の瞳。

 エディは攻略対象者達の中では最も身長が高く、運動神経がとんでもなく良い。魔法よりも筋肉! ってタイプの人間だ。馬鹿っぽく見えるが賢い。そこがまた悔しい。私は賢そうに見えるのに馬鹿だったのだ。一番最悪なギャップだ。

 最後が、オスカー・マイズ。

 紺色の髪を耳にかけて、藍色の色気のある目を向けてくる。

 彼を一言で表すと、女たらし。チャラいし、本気の恋を知らないって感じのプレイボーイだ。ヒロインに恋している自覚がないパターンの男。それが厄介なんだよね。

 まぁ、言うまでもなく皆そろいもそろって美形だ。

 おにぎりは米で作るように、乙女ゲームは美形で作るものなのだ。 

 ああ、そうだ、忘れてた。あの王子の腕をギュッと握っているか弱そうな女がヒロインである。

 王子の髪よりも少し薄く透明感のある金髪に、ラブリーなピンク色の瞳を持つヘレナ・パーカー。

 美少女、めっちゃ可愛い。超可愛い。まじでアイドルのセンター余裕でゲットできそうな可愛さだ。

 と、ここまで言い終えた後に言っておきたい。女の可愛いは信用するな。

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