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王子、うるさい!  作者: 大木戸いずみ
17/117

17.

「えっと、先に聞いておきたいんだけど、何するの?」

 恐る恐る聞く。

 奴隷のように扱われたらどうしよう。……いや、それでもヴァイオリンの為に頑張るけど。

「……そうだな、お前なんにも出来ないだろ?」

『散々甘やかされたお嬢様が出来る仕事なんてないよな』

 なにそれ! いや、確かにそう思うのはしょうがないけど、ムカつく。

「なんでも出来るわよ!」

「威勢だけよくてもな」

「王子ってクソ性格悪いとか言われません?」

「お嬢様、言葉遣いが……」

「キャシー・キルトン、なんだってやってやるわよ!」

「ほう、それは楽しみだな」

 王子は口の端を少しあげてニヤッと笑う。

 まさかこんなに意地悪王子だと思わなかった。見た目詐欺だ……。

「じゃあ、住み込みでメイドはどうだ?」

『絶対無理だろうし、まず続かないだろうけど』

 だから、心の声がもろ聞こえてるんですって!

「そうですか、やってやりますよ! あんまり私をなめないで下さいね」

『あのキャシーが使用人として働くことを快諾するとは……』

 絶対役に立って、ぎゃふんと言わせてやる。

 

 ……そう言えば、王子は一体なんの用で私に会いに来たのだろう。

 気付けば、私の話ばかりしていた。それに、ちゃっかり、いつものお茶会のようになっているし。

「王子はなんの用だったんですか?」

「ああ、すっかり忘れていた。これを渡そうと思って」

 彼はポケットから小さなハンカチを取り出し、私に渡す。

 ハンカチを受け取り、中身を確認する。

 ……なくしたお気に入りのブレスレットだ。どこでなくしたのか覚えていなくて、困っていたのよね。

「前の茶会で落としただろ」

「あ、有難うございます」

 私はそう言って、頭を軽く下げる。それと同時に一つに疑問が頭に浮かぶ。

 なんで王子直々に渡しに来てくれたんだろう?

「どういう心境で」

『少し様子を見にくるための口実でもあるしな』

 あ、まじか。

 てか、王子にこの質問しても意味ないか。どうせ心の声聞こえるもん。

 もしかして、私そこまで王子に嫌われてなくない? 

 ゲームの中のキャシーはかなり酷い扱いを受けていたけど、私、今普通に会話しているし。いつのまにか状況が良くなっているような気がする。

 このままいけば、私は国外追放にも死刑にもならないのでは?

 平穏無事に余生を過ごすことが出来る。

『……黒く艶やかで綺麗な髪だな。こいつに初めてあった時、一目惚れだったな。まぁ、まさかあんな性格の奴だとは思わなかったけど』

 は!?? え、はああぁぁぁ?

 待って、王子、私に一目惚れだったの? 私、そんな情報一切知らないんだけど。

 最初から嫌われていると思っていたわ。

 けど、確かに、考えてみればそうだよね、ヘレナとは幼い頃からお茶会で会っているのに、夢中ってわけじゃなかったもんね。

 いや、でもさ、まさか私に惚れてるとは思わないよ。誰も思わないよ。ノーバディーノーズだよ。キャシー驚きだよ。

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