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第77話 テスト勉強

「分かってると思うが、二週間後のテストに向けてそろそろ勉強するように。じゃ、解散」


 そう言うと、颯爽と教室から出ていく司馬先生。

 同じ様に教室から出ていく人を始め、教室には友達と固まって話す人や明日の授業の準備をする人などがいる。


「勉強するよ」


 俺も帰ろうと荷物を背負って立ち上がった所で、冬火に手首を掴まれる。


「……」

「……」


 意味もなく見つめ合う。

 冬火の顔には「付いて来い、拒否権は無い」と書かれていて、この場から逃げる事が出来ないのを本能で悟った。


「――ぐっ!」

「こら」


 だからと言って諦めるつもりは全くなく、どうにか手を振り払って逃げようとするが手首を掴む力が強くてびくともしなかった。


「……」

「そんな顔してもダメ。ほら行くよ」

「嫌だぁぁぁ」


 連れて行かれるまいと踏ん張る俺をずるずると引きずりながら歩く冬火。


「歩ぅぅぅ助けてぇぇぇ」

「はぁ、仕方ねぇな」


 助けて貰う為に近くにいた歩へ空いている方の手を伸ばす。

 歩は物凄く面倒くさそうに伸ばした俺の手を掴むと、冬火の隣に並んだ。

 冬火と歩によって両手を挙げたバンザイの姿勢で引きずられる俺。


「おい。助けて貰う流れだっただろ今のは」

「俺も勉強しようと思ってな」

「裏切り者ぉぉぉ!」

 

 引きずる人数が二人になった事で俺の抵抗はほとんど意味を成しておらず、一部始終を見ていたクラスメートには何故か微笑ましいものを見る目で見られている。


「何してるの夏日ちゃん……」

「見て分からないか。助けてくれ」

「……ちょっと僕には無理かなぁ」


 視線を上げて冬火を見ると言う奏。


「ふんっ!」

「ちょっ、夏日ちゃん!?」


 完全に人で判断してきた奏にイラッときた。腹筋に力を込めて下半身を持ち上げると、太ももで挟み込む様にして捕まえる。


「こうなったお前も道連れだ」

「勉強しようと思ってたから別にいいけど……その体勢、ツラくないの?」

「キッツい」


 両手は冬火と歩に掴まれたまま太ももで奏の腰を辺りを挟んでいる為、宙ぶらりんの状態を腹筋だけで維持している俺。

 物凄くツラい。腹筋がプルプルと震えて今にも限界が来そうだ。


「ならやめなよ……」

「これにっ、耐えたら、何かになれる気がするっ!」

「筋肉痛になるだけだと思うよ」

「んっ、はぁ……んんっ! くっ、負けないっ!」

「女の子が人前で出しちゃダメな声が出てるから早くやめて」


 そう言ってしゃがみ込むと、俺の足首を掴んで拘束を解く奏。

 いつもなら俺に触れるのを躊躇するので、それが気にならない程嫌だったらしい。


「ほら、一緒に勉強しよ?」


 こてん。と頭を倒して言うと立ち上がった。

 ぐぅ、可愛いなコイツ。


「行くぞ夏日」

「こうでもしないと勉強しないんだからするよ夏日」

「嫌だぁぁぁ」


 冬火と歩、お供に奏を加えて俺は連れて行かれるのだった。


――――――――――


「冬火、ここ教えて」

「ん、どれどれ……」


 教室二つ分ほどの広さに丸机が沢山置かれたラウンジに連れてこられた。

 周りには俺たちと同じ様に複数人で固まって勉強している人もいて、それなりにガヤガヤしている。


「ここはね、この公式を使うといいよ」

「あーなるほどな。サンキュ」


 歩と冬火の話し声を聞きながら、出された課題を本を見て黙々と解く。

 よし、これ終わらせたら帰ろう。一つ終わらせとけば冬火も何も言わないだろう。


「な、夏日ちゃんが真面目に解いてる……」

「それ解いても帰らせないからね」

「……チッ。はぁーあ、やる気無くなった」


 持っていたシャーペンを机に投げ出し、椅子にもたれかかる。

 冬火の言葉に気を取られて反応出来なかったが、地味に酷い事を奏に言われた気がする。


「奏よ、俺でもやるときはやるんだぞー」

「ほめん。はふはひにひいすひた(ごめん。流石に言い過ぎた)」


 俺の斜めに座る奏の頬をむにむにと引っ張る。めちゃめちゃ柔らかい。

 コノヤロー、好き勝手言いやがって。


「分かればよろしい。……そこ、教えてやろうか?」


 ふと、奏の進み具合が気になって見てみると、一つの問題で何度か消した跡があった。

 問題を見た感じ俺でも解けそうなので、声をかける。


「夏日ちゃん分かるの?」

「今日はやけに失礼だな」


 声色で思いっきり疑われていた。

 奏の中で俺はどう思われてるのだろうか。


「いやでも、この問題難しかったよ?」

「夏日はこう見えて結構頭いいんだよ奏くん」

「こう見えては余計だ」

「じゃ、じゃあお願いします」

「うい」


 冬火の一言余計なフォローが功を奏したのか、未だに疑うような目ではあるものの、俺に聞く気になったようだ。

 いくら何でも信頼されてなさ過ぎじゃなかろうか。


「えーと、まずは」


――――――――――


「これで、答えが出るな」

「凄く分かりやすかった……」

「だろう?」


 奏に教え始めて数分、答えが出た。

 最初は疑っていた奏が、教える内に俺を見る目が変わったのが中々気持ちよかった。

 

「本当に頭いいんだね……ごめん、普段がアレだから勝手に悪いと思ってた」

「普段がアレ」

「夏日は行動で損してるとこあるよな」

「ふふん」

「褒めてないと思うし、そういう所じゃないかな……」


 呆れられた。

いつぞやに投稿した短編の宣伝をば

書いてしまったものの、本編には適さないと考え短編として投稿した物で、生理の話がメインです。

苦手な方は無視して下さい

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