第68話 買い物前
先にこの話に来た方
前話も投稿しているので、そちらもどうぞ
「ん、ふあー」
ゴールデンウイーク前最後の登校日、明らかに誰も集中出来ていない事を分かってか、どの授業もほとんど進む事なく先生の雑談の時間となっていた。そんな雑談を聞く事数時間、ようやく昼休みになった。
「夏日ちゃーん!」
「邪魔」
「いいではないかー」
座りっぱなしで凝った体をほぐすために立ち上がって大きく伸びをしていると後ろからおっさんが抱きついてきた。
「そうだ夏日ちゃん、ゴールデンウイークにデートしない?」
「え、嫌」
「ひどっ。私と一緒の何が嫌なの!?」
「セクハラ紛いの事するやつと一緒にいたいと思うか?」
「そんな事してないじゃん!」
「お前の脳みそはニワトリ並か?よーく日頃の行いを思い出せ」
「うぇーん冬火ちゃんー夏日ちゃんの当たりが強いよぉー」
「はいはいよしよし。真面目にちゃんと言えばいいのに……どうしてふざけるの。当たりが強いのは私も日頃の行いだと思うよ」
「冬火ちゃんまで……夏日ちゃん、ダメ?」
先程のふざけた調子ではなく、しっかりと俺の目を見て話された言葉に俺は押し黙った。
「お願いしますっ」
「……仕方ないな」
「ありがとう夏日ちゃん!!」
「だから抱きついてくるんじゃねぇ!」
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ゴールデンウイーク初日
「お、来た来た。夏日ちゃ……ん?」
「なぜ疑問系」
時刻は朝九時、大型ショッピングモール前に集合した俺達。今日なにをするか聞いてないんだよなぁ
「あっ、ちゃんと夏日ちゃんだ。えっと、今日は化粧してるんだね」
「あーこれは冬火にやられた」
「そっか、冬火ちゃんか……冬火ちゃんナイス」
「今日はよそよそしいけどどうしたんだ?」
遊びに行くなら化粧させて!と冬火に迫られ仕方なく付き合った。そしてなぜかおっさんが会ってからというもの普段とは違う意味で落ち着きがない。こっちを見ようとしないし。俯いて何かぶつぶつと言っているおっさんの顔を覗き込むと、
「ひゃぁっ!?」
「うおっ、どうした調子でも悪いのか?」
「えっ?あっいや元気、いつも通り超元気」
「じゃあ、何だ」
「えーっと、夏日ちゃんって普段は残念美少女、手の届く範囲にいる美少女って感じなのに、今日は化粧と服装で素材のよさが際立って完璧の美少女で、ちょっとその、新しい扉が開きかけてる」
「新しい扉?」
「夏日ちゃんは気にしないで大丈夫。
ちょっと待ってね……どうしよう」
よくわからない事を口走ったと思えば悩み出した。本当にどうしたこいつ。
「……よし、夏日ちゃん抱きつかせて」
「はぁ?」
「ギャップに萌えてるだけだから普段の夏日ちゃんだと分かったら大丈夫……だと思う」
「まあ、それでお前の態度が直るなら。ほら」
今日一日こんな態度で接せられても困るため、手を広げて受け入れる体勢をとった。
「よし、行くよ。ギュー」
二十数秒後
「ふーこれでもう大丈夫なはず」
「ふーん、これでもか?」
人差し指で顎を少し持ち上げ、顔を近づけた。
「っ!? ……ふっ、はぁー大丈夫耐えた」
「どういう原理かは知らんが直ったならよかった。
それで今日は何をするんだ?」
「今日はデートするよ!」
「真面目に」
「夏日ちゃんとショッピングしたい。
そんなわけだからレッツゴー!」
「おいちょ、引っ張るなって」
おっさんに手を引っ張られ俺達はショッピングモールに入って行った。




