第66話 休みの日
春木視点
「兄ちゃんゲーム一緒に──えーと、寝てる?」
せっかくの休日なのに特に意味もなく部屋でゴロゴロするだけなのは無駄だなと昼の1時になって気づいた。気づくのが大分遅かった気がするけど。いろいろやることを考えた結果兄ちゃんとゲームをするために一階に降りてきた。その兄ちゃんはソファーで寝て……るよねこれ。
「凄い寝方だなぁ……」
横長のソファーの背もたれ部分に左足が乗ってて、右足はソファーから落ちて足先が床についてる。手も足と同じように背もたれに乗ったり床についたりしてる。そして、極めつけは顔の上に載ったスマホ。凄くシュール。
どうやったらこうなるんだろ。さらにTシャツに半ズボンの兄ちゃんは変な寝方のせいかTシャツが胸の辺りまで捲れて綺麗な白いお腹が見えてるのと、少しズボンがずれて水色のパンツが見えてる。
女の子がしたらダメな格好だ。
「スマホ触ってて眠くなった……のかな? 女の子でこの寝方はちょっとなぁ……直してあげた方がいいよね」
見た目が結構アウトだしお腹丸出しで風邪を引きそうだから直してあげるか。
顔に載ったスマホを避けると鼻先とおでこが赤くなってて、ちょっと可愛かった。流石に兄弟でもダメだと思いつつも寝る前に何を見ていたのか気になってスマホの画面を見てみると、
「可愛い……」
猫の写真だった。クッションの上で丸まって寝ているのが凄く可愛い。何となく丸まって寝る兄ちゃんを想像をしてしまった。頭を振って余計な想像を消し去り、まずはスマホを机の上に避難させた。
「えーとまずはお腹とパンツを隠すか……」
お腹を触ってみたい欲求を押し殺しなるべく見ないようにしながら捲れたTシャツをそっと下げ、パンツが見えてるのはタオルケットをかけて隠した。さすがにズボンを動かすのはちょっと……
「あとはこの手足を動かさないと。ごめん兄ちゃんちょっと触る」
寝てる人に言ってもあれだけど一応謝っておいた。まずは、背もたれに乗ってる左足のふくらはぎを持ってそっとソファーの上に乗せ、同じように右足もソファーの上に乗せた。サラサラで柔らかい……っ、煩悩よ消え去れ。考えたらダメだ。普段の兄ちゃんを思い出せ。
「よし、大丈夫」
普段の迷惑な兄ちゃんの言動を思い出し、煩悩を消し去った。静かにしてる時の破壊力がヤバい。次は手か。
「春木ーなにしてるのー?」
「姉ちゃん!?いやこれはえっと、その……」
兄ちゃんの手を動かそうと持ってる所をいつの間にか階段に座っていた姉ちゃんに見られた。ヤバいどうしようこの状況は確実に誤解される。
「あはは、そんなに動揺しなくても最初から見てたから大丈夫だよー」
「よかった……それに最初から見てたなら代わりにやってよ……」
「春木がどうするのかなー?って思って」
「ええ……」
「まあでも、春木が変な事しないのは分かってたからほっといていいかーってね。四苦八苦してる春木を見たかったってのもあるけど」
「姉ちゃんも性格悪いなぁ……」
「えーそう?」
ソファーで寝てる兄ちゃんの前に来て床に座り、兄ちゃんの顔にかかってる髪の毛を手でよける姉ちゃん。
「静かにしてるとほんとに可愛いなーうりうりー」
「うう……んん」
今度は兄ちゃんのほっぺたをつっついて兄ちゃんに嫌がられてる。嫌がる兄ちゃんが可愛いくて破壊力がヤバい。
「あんまり触ると起きちゃうしこれぐらいにしとくかー」
しばらく兄ちゃんのほっぺたを堪能していた姉ちゃんは立ち上がりクルッと回転して階段の方を向いた。部屋に戻るんだろう。
ここで自分が一階に降りてきた目的を思い出した。
「あ、そうだ姉ちゃん」
「なーに?」
「ゲーム一緒にしない?」
「仕方ないなー相手をしてやろう」
「やった」
この後しばらく姉ちゃんとスマファミ(大乱闘スマッシュファミリーズ)をしていると、兄ちゃんも起きてきて最終的には3人でした。寝起きの兄ちゃんは凄く弱くて、普段ゲームをしてないはずの姉ちゃんが結構強かった。
春なのに花見の話を書いてない事に気がついた。
ちょっとこの後にするのは遅い気がするのでこれまでの話のどこかに追加するかもです。




