第5話 女の人の手はさらさら
前回の続きみたいな感じです。
夏日の受難は続く............。
「まったく。何であそこまでするかね」
俺はほっぺたを膨らましながら言った。
「いやーごめんごめん夏日が可愛かったから」
「しかも、明里ねえまでしてきたし」
「悪かったって、夏君」
今俺たちは本来の目的である俺の身の回りの物を買うために明里ねえの運転する車に乗っている。
座席の並びはは運転席の明里ねえ、助手席の冬火に後部座席に右から歩、俺、春木の順番だ。今の心情を表すために腕を組みたい所だが、あいにく今俺の手は歩と春木が片手ずつ触っている。ときおり「柔らけー」や「さらさらだー」などの声が聞こえる。
なぜこんな事になっているのかというとそれは数十分前までさかのぼる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ちょっ、あ、やめ」
「「よいではないか~」」
コイツら……やっと脚が痺れなくなったと思ったら、次は俺の体触るのに変えてきた。
「だからやめい」
「うわ!? 全然肉付いてないじゃん」
と、いいつつ俺の腹をつまむ冬火。
「ほっそいしさらさらだあ」
と、いいつつ俺の脚を触る明里ねえ。
「ほんとにやめて……」
俺は涙目になりながら抗議したが聞こえていないのか血走った目をしながら俺の体を触っている冬火と明里ねえ。その目が俺の体を舐めまわすように見て、ある一点で止まった。
「ひっ」
じわじわと寄ってくる手。
「「うわ、柔らかいしおっきい」」
「きゃあ!?」
二人で左右のを揉みながらまったく同じ感想を言った。咄嗟に変な声が出て恥ずかしい。
「ちょっ、だ、だからやめてって言ってるのに……」
「ぐへへへ。よいではないかー」
気持ち悪い笑い方をしながら言う冬火。
「そうそう、減るもんじないんだしー」
それに続く明里ねえ。二人がかりで抑えられ、男の時でもそんなに強くなかった俺の力はさらに弱くなっているみたいで全然動けなかった。
「「おい。ねーちゃん何やってんだ」」
そこに救いの声が。二つの影が二人の変態にゲンコツをキメた。
「「いったあああ!?」」
悶え苦しむ変態達。その後ろには歩と春木の姿が。
「おっ、お前ら! 助かった!」
変態達から離れるために二人にそのままダイブした。
「にっ兄ちゃん!?」
「えっ!?」
何か俺を見て慌ててるようだがそんなのは気にしなかった。
「助かった……」
「「よしよし。変態に絡まれて怖かったな(ね)」」
そう言いながら俺の頭を撫でる歩と春木。
「いつまでされるかと……」
暫くの間歩と春木に抱きついていると、
「で、兄ちゃん、服を着ようか」
「男子にはキツい格好だ」
と、春木と歩。
「え?」
俺の格好? ……あ、いつの間にかタオルが取れている。とりあえず近くにあった毛布にくるまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そんな事があって俺は歩と春木に何かしてほしい事はあるかと聞いてみるとしばらく二人で話し合った後「「手を触らして」」と、言ったので今に至る。聞いた時は拍子抜けしたものだ。胸ぐらいなら触らせれたのに。
本人達いわく、「「女の人の手をまじまじと触る機会がないから」」らしい。
次回からやっと買い物編です。このペースだと入学式とか学校の日常とかはいつになることやら。気長に見て貰えたら嬉しいです。