第46話 ラジオ体操
「くあぁぁぁ」
「でっかい欠伸だな」
「仕方ねぇだろ、昨日寝たのが遅かったんだから」
「夜更かしは美容の大敵だぞ」
「オカンか。寝たくても寝れなかったんだよ」
今の時刻は午前六時半。
わざわざラジオ体操をするために広場のような所に集められる俺たち。
続々と人が集まってきている。
「それで、女子部屋はどうだった?」
「どうって、ただただ疲れた。俺たち付き合ってると思われてたぞ。そんな訳ないのにな」
「まあ、普段の夏日の距離の近さを考えたらそう見えるだろうよ」
「だからって行動を改めるつもりはないがな」
「勘弁してくれ……男子が怖いんだよ」
「知らん」
「えぇ……」
「ったく、何で私までせねばならんのだ。誰だよこんな行事考えた奴は」
「あ、先生」
「おはようございます」
俺たちが話していると、後ろから司馬先生が歩いてきた。
愚痴を垂れ流してる割にはちゃんとジャージを着ていて、しかもめちゃくちゃ似合っている。
「ん? 紅月に真矢か。おはよう」
「思いっきり愚痴が聞こえたんですけど」
「愚痴の一つぐらい言いたくもなる。女には準備があってだな。こんな事をするために何時に起きた事か。考えた奴はバカなんだろうか」
「そう言う割にはちゃんとジャージなんですね」
「変にダサい服着て舐められても困るからな」
「俺らTシャツに短パンだけどな」
「だな」
周りを見ると俺たちの様な格好はあまりおらず、体操服かジャージが多い。
特に女子はみな体操服で、着替えもせずに来たのは俺だけのようだ。
「この年でTシャツで人前に出るのはキツい」
「この年って、先生まだ二十代ですよね?」
「そうだが、女同士でも女性に年を聞くのはよくないぞ」
「はーい」
「お、そろそろ始まるみたいですね」
体育の先生を筆頭に何人かの先生が前に出てきて、「手が当たらないぐらいに適当に広がれー」と指示を出している。
「先生は行かなくていいんですか?」
「ああ。私の仕事はお前たちがちゃんとやってるか見る事だからな」
「なるほど」
「真面目にきっちりしろとは言わんがサボるのは許さんぞ」
「「はーい」」
結局先生は俺らの隣でラジオ体操をし始め、ラジオ体操が終わると颯爽と帰って行った。
久しぶりの司馬先生登場です。
カッコイいお姉さんのジャージ姿いいですよね。




