第45話 恋バナ
「恋バナの時間です!」
「いぇーい!」
「うぇーい!」
「フー!!」
消灯時間になり、寝ようとしてたらこれだ。うるさい。俺は関係なさそうだから寝る。
「あ、夏日ちゃん寝たらダメだよ」
「おやすみ」
「そのまま寝たら私が夏日ちゃんの布団の中に入って、抱きつきながら耳元でずっと話かけるよー」
「寝させろ」
「こういう時は恋バナするものでしょ!」
「興味ねぇから」
「それでも参加しないとダメなの!」
えぇ……
「さて、それでは仕切り直して。夏日ちゃん。歩くんとはどうなの?」
「どうって?」
「またまたーそれでどこまで進展したの?」
「はぁ?」
「付き合ってるんでしょ? キスぐらいしたの?」
「付き合ってねぇぞ」
「へ?」
「は?」
俺の一言で部屋の中の空気が凍りついた気がする。「嘘でしょ!?」みたいな目で見られても。女子達が一斉にこっちを見てきた。
「え、付き合ってるんじゃないの?」
「そんな事一言も言ってないと思うんだが」
「えっ、じゃあこれまでのイチャイチャは?」
「イチャイチャなんてしてないと思うが」
気持ちが全部顔に出てるぞ。は? 何言ってんだこいつっていう目で見られた。
「……まぁ、そこはいいや。本人がそう思ってるなら。……歩くん可哀想に」
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「へっくしょい!!」
「大丈夫?」
「風呂上がった後半裸でいたのがまずかったか」
「服着たら? って言ったのに……」
「のぼせかけてたんだから仕方ない。風邪引いて明日何も出来ないとか嫌だぞ」
「気をつけなきゃだね」
「そうだな。お前らも気をつけろよー」
『へーい』
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「夏日ちゃんと歩君が付き合っていないという衝撃の事実が判明したわけだけど、じゃあ、2人の仲がいい理由は?」
「普通に幼なじみで腐れ縁なだけだか」
「それだけ?」
「……まあ、もういっこあるけど」
「ん? なんて?」
「何でもねぇ」
「えー気になるぅ」
「気にするな」
流石に性別変わるとか言っても信じてもらえないだろう。
「えー」
「ほら今度はお前の話をしろよ」
「私? 私は別にないかなぁ」
露骨に話を逸らしたが、これ以上聞いても何も言わないのが分かったのか何も言われなかった。
「何かあるだろ何か」
「本当に無いんだよー人の恋バナは大好物です」
「不公平じゃねぇか」
「まあ、夏日ちゃんの話はみんな気になると思うし、まだまだ聞きたりないからもっと聞くからね!」
「はぁぁぁ」
お前らも「うんうん」じゃねぇよ。早く寝させてくれ。
結局寝たのは三時間後だった。




