第38話 カレーカレー
「なんでそんなに集まってくる」
「ちょっと気になって~」
『うんうん』
俺がカレーを作っていたら、女子男子問わず俺の周りに集まってきた。ただただ邪魔。
「自分たちの仕事に戻れよ」
「少し味見させてよー」
そのうちの一人が味見させてと言ってきた。はぁ? どれも使ってるものは一緒だから味見したところで味は変わないだろ。丁寧にスプーン持ってこなくていいから。
「じゃ、ちょっと貰うねー」
「あ、おい」
「……え、なにこれおいしい。全然味が違うんだけど」
そんな事あるわけねぇだろ。普通に作っただけだぞ。
「じゃあ私も」
「おい」
それに便乗して冬火もやりやがった。
「うん。いつもの夏日のカレーだ」
だろーな。
「え? これが普通……?」
「うん。そうだけど」
「嘘……」
「ほんとほんと」
「私も貰っていい?」
「好きにしろ」
班の人数より多い量作っていて、どうせ歩が食べるだろうと気にしていなかったから量はある。もうどうでもよくなった。なんでみんな準備がいいんだ。あらかじめ味見しようとしてたのかよ。
「うわ……なにこれ……」
「俺も貰っていいかな?」
あーもうめんどくさい。味見したいって目で見てくるやつばっかりだったから、仕方なく皿二つにカレーを入れて男子と女子に渡した。
「ほら」
「おお」「やったぜ!」「わーい」
テンション高いなお前ら。
「うわなにこれうっま」「うお……」「うわぁ……」
自分の作ったものをおいしいおいしい言ってくれるのはうれしいな。だけど普通に作っただけだから変な気分だ。
「これを毎日食べれる冬火ちゃんうらやましい」
「夏日の料理はおいしいからね」
「おぉー」
謎の歓声。
「どれどれ私も貰おうか」
「うわっ先生」
いつの間にかジャージ姿の司馬先生が後ろに立っていた。うわー何でも似合うこの先生。
「どうぞ」
「ふむふむ……うっま。なにこれうっま」
素が出てる出てる。辛うじてサバサバしたお姉さんみたいな口調だったのが、驚きからか完全に男口調になっている。
「えーと、紅月。どうやって作ったんだ?」
「どうって普通に作ったんですけど」
「え」
そんな引かれても。
「ふつーに野菜と肉切って炒めて水入れてルー入れただけです」
「夏日の切り方とか火の加減、材料を入れるタイミングとかじゃないですかねー」
「なるほど」
冬火の言葉に納得した様子の先生。
「紅月には今度料理を教えてもらおうか。家で作れるようになったら最高だからな」
「はあ」
「あ、そうだ夏日ちゃん。うちの班カレーまだ途中だから手伝ってほしいな」
「いーよ、いーよ。夏日の料理の腕の見せどころだね」
「見学させてもらおうか」
おい。冬火勝手に話進めるなよ。
「夏日あとは私にも出来るしいいよね?」
「……はいはい。分かった」
「やった!」
抵抗するのも面倒だ。それにあとは米を待つだけだからな。誰でも出来る。
結局そのあといろんな班でカレーを作る手伝いをさせられ、そのたびに先生がついてきていた。先生……真剣なのは分かるけど気が散って仕方なかった。
それはそうと飯盒で炊いた米のおこげがおいしかった。




