第35話 部活
「では、今から野球部の紹介を始めます。
えー野球部は──
今日は部活動紹介を聞くために体育館に一年生が集まっている。あーだめだ。話ずっと聞くだけだと眠すぎる。
「こら、ちょっと夏日。起きてなさい」
後ろに座ってる冬火に言われた。分かってはいるんだよ。眠くなるだけで。あーまぶたがー
「ほら、夏日。次はバドミントン部だって」
体育館のステージ上では野球部が発表を終え、バドミントン部の発表が始まろうとしていた。基本的に顧問の先生紹介して、活動日時言って一言添えるだけだから紙媒体で貰った方がいいのではないかと思うけど、そうもいかないのだろう。
「へーバドミントン部おもしろそうだね」
俺が寝ないように話しかけてるだろうが、残念ながら眠気に負けそうだ。しかし、部活なぁーあんまり遅くなると家の家事出来ないからなぁ。面倒くさそうだし入らなくていいか。
「しかし、部活多いね」
そうなのだ。かれこれ一時間半はやってるがまだ終わりそうにない。応援団に演劇部に写真部活に文芸部に茶道部に野球部に剣道部に柔道部に少林寺拳法部にバスケットボール部に卓球部に硬式軟式テニス部にサッカー部に水泳部にバドミントン部にバレーボール部に軽音楽部に吹奏楽部にソフトボール部などなど……同好会も含めたらまだまだある。
さすがに多い。聞くほうの身にもなってくれ。おかげで俺以外でも結構寝てるやつがいる。
「お、次で最後だって」
やっとか。なになに? 美男美女部? なんだそれ。部長、副部長と思しき男の人と女の人が出てきた。部活の名前の通り美男美女だな。しかし、一気に体育館の空気が変わったな。部活名で面白半分で聞こうとしてたのが、美男美女の登場により本気でみんなが聞こうとしてるのが分かった。美男美女恐るべし。
「私たち美男美女部は、お互い切磋琢磨しあってさらに自分たちを美しく魅せるため結成されました」
おおう。成り立ちすごいな。
「自分の見た目に自信のある方だけではなく、綺麗になりたい、自分に自信が持ちたいなどなど様々な方を募集しています」
なるほどなぁ。意外としっかりしてそうだ。
「夏日入ったらいいじゃん。美女として」
入るか。あんなのは見てるのがちょうどいいんだよ。
「そこの銀髪の方、入りませんか?」
「へ?」
女の人の一言で一斉に注目を浴びる俺。残念ながら一年生で銀髪は俺だけだ。話しかけてくるとは思わなかった。
「あなたほどの素質の持ち主なら、もっと上を目指せるはずです。いつでも待っているので興味があれば」
「は、はぁ」
とりあえず曖昧に答えた。
「すごいじゃん夏日。直接話しかけられるって」
なんでこうなるかな。
「以上で部活動紹介を終わります。これより部活動見学の時間に入ります。それぞれ部活の人の指示に従って行動してください」
どうやら自分達で気になった部活のところに行って、見学させてもらえるらしい。
「なにいこうかなー。夏日は?」
「俺は部活入らなくていいかな」
「えー」
さて、このあとは自由時間で勝手に帰っていいらしいので俺は帰る。
「そこの銀髪の女の子」
「はい?」
「野球部のマネージャーになってくれないかな」
帰ろうと体育館から出ようとしたところで野球部の人に捕まった。
「あ、ずるいぞ! 僕たちバレーボール部はどう?」「テニス部は!」「茶道部はどうでしょう?」「水泳部もあるよ!」
なんだこれ。野球部が俺に声かけてるのを見た途端、他の部が一斉にこっちにきた。
「えーと、部活入る気がないので。すみません」
『えぇ……』
そんなに一気に落胆しなくても。俺に部活入る気がないと見るや否や部員を集めるためか、蜘蛛の子を散らすように帰っていった。
「わー夏日すごかったね」
「そうだな。なんだったのか」
「夏日人気者ぉー」
はいはい。
遅れて本当申し訳ない。
投稿頻度も落ちてるし……




