第21話 自己紹介!!
「もういいだろ」
「ええーもうちょっと」
「邪魔」
「はーい」
ぞろぞろと自分の席に帰る女子達。男子が入ってこないようにガッチリ壁になっていた。歩だけ女子の壁が出来る前に俺の髪を横から取って触っていた。髪が長いから隣の席とか余裕で届くんだよな。歩は男子から嫉妬と憎悪の視線浴びてたが。
「ゴホン、えーじゃあお前達には自己紹介をしてもらおうか。その場で立って、名前と趣味、あとは好きな食べ物。それから、聞いてた人は挙手でその人に質問」
うわぁ。これはキツいなぁ。質問されなかったら嫌だなぁ。
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ついに俺の番がやってきた。
「紅月夏日。趣味はゲームと読書です。義務でいつも料理作ってます。好きな食べ物は、たけのこと和菓子です。
えーと、質問は……多いな」
だいたい手を挙げる人が、一人に対して最大でも五、六人だったのが、全員が挙げている。……ん? おい、歩、奏、冬火。お前らは挙げなくていいだろ。
……いや、先生?なぜあなたまで。
「じゃあ、そこの人」
とりあえず適当な人をあてた。
「はい! 入学式で一目見たときに一目惚れしました! 付き合ってください!」
「は?」
何言ってんだこいつ。周りでは「ちっ、先越された」「キャー!告白だー!!」「滅べ」などと言っててうるさい。
「すぐに無理なら、まずは友達からでも!」
「無理。付き合う事は一生ない」
「そんなぁ!」
崩れ落ちるそいつ。「やったぜ」「ざまぁ」「後で吊すか」と周りの男子が言っている。仲いいな。お前ら。
「はい次。君」
「わ、私? やった!どうしたらそんなに髪の毛さらさらになるの?」
周りの女子からの「気になる」って視線が凄い。
「特になにも。シャンプーも安物だし、特別な洗い方もしてない」
「えっ」
「夏日がさらさらなら私もさらさらになるはずなんだよねーどうしてここまで差が出るのか」
「そんなぁ……」
明らかに落胆する女子達。 元からだから仕方ない。
「そこの人どうぞ」
「お、俺か!体重を教えて下さい!」
「えーと、体重は四十六キロ」
再びざわざわする教室内。「軽すぎじゃない!?」「勇者かよ」「うわぁ……」俺に聞いてきた男子は、決死の覚悟で聞いてきたのだろう。目がマジだった。……なら聞くなよ。男子からは尊敬の眼差しで、女子からはゴミクズを見る目で見られてる。
「じゃ、じゃあ。今日の下着の色は!!」
俺が気にせず答えるためだいぶ思い切った質問をしてきたそいつ。男子からは英雄を見る目でみられ、女子からは汚物を見る目で見られている。それでいいのだろうか。女子が話してくれなくなるぞ。「そ、それ聞いちまうのか……」「うわ……キッモ」「さすがにそれは」
「えーと、今日はk──むぐ」
「おい。そこら辺にしとかないとどうなるか分かってる?」
言おうとしたら後ろから冬火に口を抑えられた。めっちゃその、禍々しいオーラ出てますけど。後ろからの威圧感がヤバい。
「夏日がなんでも答えるからって調子のったらだめだよ?」
『す、すみません……』
イケイケな感じで言ってた男子たちが一斉に謝った。凄い光景だなぁ。
「えーあんまり調子のるなと私からも言おうか」
先生からの援護射撃。そして、女子からの冷たい目線。質問者を中心にイケイケだった男子が縮みあがっている。
そんな感じで俺の自己紹介は終わった。
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「はぁーもう。夏日のせいで、私に対する質問全部夏日関係だったじゃん」
「そんな事言われてもなぁ」
「「女子って怖いな(ね)」」
帰り道、俺達は冬火の愚痴を聞くハメになった。俺の次に冬火の自己紹介があったのだが、俺に関する質問しか言われなかったからだ。
「夏日が辺に興奮させるから」
「そんな事言われても。ちょ、いひゃいいひゃい」
「この怒りを夏日のほっぺたで解消してやる」
「ひゃめろ」
「なんでこんなに柔らかいんだー!」
「いひゃいんだっへ」
「夏日のせいで俺も大変だったなぁ……夏日を肩車してたの見られてたから殺されかけたぞ」
「僕だって、女子に囲まれてたよ」
歩は自己紹介の最中、ずっと親の仇みたいな目で男子から見られてたな。あと、所々しゃべりながらボロ出すやつが悪い。幼なじみとか手触ったとか火に油を注いでどうする。
奏は……うん。強く生きろよ。
「夏日ちゃんに可哀想な人を見る目で見られた」
「「奏(君)……うん」」
「ちょ、二人まで!?」
このあと、奏が拗ねてそれを馬鹿にしてたら、何もしゃべらなくなったので、奏の手をとって俺の胸に押し付けると真っ赤になりながら必死に手をのけようとしたが、動かせないように力を入れているとどんどん赤くなり、見ていて面白かった。
ようやく、入学式編終了です。
進みが本当に遅くてすみません。
間にもう何話か挟んでようやく学校編に
なるかと思います。
投稿速度どうにかせねば............




