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追加話2 花より美少女

「そろそろ遊んできていいよ」

「やっとか」


 冬火に日焼け止めを塗られてから約三十分。ようやく遊ぶ許可が出た。

 歩たちはバドミントンをやめてフリスビーで遊んでいる。

 いろいろ持ってきてんだなぁー

 俺は立ち上がり、靴を履くと歩たちの方に走っていった。


「俺も混ぜろー」

「ん、夏日やっときた」

「じゃあ三人でやろっか」


 周りに人がいないのを確認すると俺、歩、春木で大きな三角形をつくった。


「夏日ーいくぞー」

「よっしゃこい──ぐはっ」

「おい大丈夫か!?」

「結構重たい音したけど兄ちゃん大丈夫!?」

「だ、だいじょばない……胸が思ってたよりデカかかった……」

「「ああ……」」


 歩から投げられたフリスビーを胸の前で取ろうとしたが距離を見誤り胸に強打した。

 痛い。めっちゃ痛い。

 しかも百均とかの柔らかいフリスビーではなく、ゴム製のちゃんとしたフリスビーだったので衝撃が重たかった。


「いってぇ……」

「兄ちゃん、ドンマイ」

「うわー痕になってるし」


 シャツの胸元を引っ張り中を見ると胸の上の方に綺麗に赤い横線が引かれていた。


「クッションになったりはしないんだな」

「体の一部だから痛いものは痛い」

「そりゃそうか」

「あーもう痛いなこのやろうっ」

「うわっ」


 春木にフリスビーを思いっきり投げて八つ当たり。突然投げてもちゃんと取る辺り流石運動部だなと思う。


「ちっ、取ったか」

「ちょっと兄ちゃん!?」

「ん?」

「ん? じゃなくて!」

「春木ー早くこっちに投げろー」

「はいはい……歩兄ちゃん今投げるよ」


 △▲△▲△▲△▲△▲△▲


「ふぅ、遊んだ遊んだ」

「おかえりー」

「まだ明里ねえ寝てるのか」

「地べたに置くのもかわいそうだったからいろいろ場所変えたりしてたけど限界だから早く交代して」

「汗でベタベタだぞ」

「明里お姉ちゃんなら喜びそう」


 時刻は十二時過ぎ。

 フリスビー以外にもバドミントンをしたり、サッカーボールを延々パスしたりしていると思っていたより時間が経っていた。ドカッと冬火の隣に腰を下ろすとすぐ明里ねえの頭を膝の上に乗せられた。


「冬火どうした」

「ま、まあね」


 プルプル震えながら足を動かそうとしてビクッとなりまた足を動かそうとするのを延々と繰り返す冬火。


「ふーん。そうか」

「ひゃぁっ!」

「ん、こっちか」

「ちょ、ちょっと夏日!!」


 冬火が今どうなっているのか察しがついた俺が冬火の足を突っつくと、凄くいい反応が返ってきた。


「はい。何でしょう」

「やめて」

「分かった」

「全く……大人しく止めるなら最初からしなければいいのn──きゃあ!?」

「隙あり」


 俺に説教している間に防御が薄くなった足を触ると面白いくらいに声を出した。


「だから止めてって言ってるでしょうが!!」

「つい」

「ん……うーん」

「「あ、起きた」」

「あーあ、冬火が大きな声出すから」

「夏日が悪いよね」

「ふぁぁぁ……なんだこれ、目の前に壁が」

「おい、明里ねえしっかりしろ」


 起きたと思ったら変な事を言いながら胸を下から突っついてきたり押し上げたりしてきた。

 どうやらまだ寝ぼけてるようだ。


「んー? ……ああ、夏君か」

「やらせといてといて忘れるなよ」

「ごめんごめん。あ、そうだ一つお願いしていい?」

「なんだよ」

「このまま顔の上におっぱいのせて」

「は?」

「顔で夏君を感じたい」

「うっわ……」

「あ、本気で引かれた。いやでも誰だって大きいおっぱいに埋もれるのが夢──ムグムグ」

「気持ち悪いから黙ってろ」


 明里ねえを喜ばせてしまうのは癪だが手っ取り早く黙らせるために言われた通り顔に胸を押し付けた。

 こいつ……さらっと両手で揉んでやがる。


「ムフフ……」

「明里お姉ちゃん喜んでるね」

「救いようのない変態だな」

「……ぷはぁー匂いも柔らかさも堪能したぁー

 ちょっと汗で湿ってるのもよかったよ」

「いつから明里ねえは変になったんだ……前はそんな事なかっただろ……」

「夏君ーお腹空いたー」

「はいはい。春木ー歩ー飯食うぞー」


 ▲△▲△▲△▲△▲△▲△


「おお、夏君頑張ったね」

「朝早く起きて超頑張った」


 大きな保冷バッグから出したのはこれまた大きなタッパー。中身は朝五時に起きて作った大量のおにぎりと揚げ物類を別々に詰め込んだ昼ご飯。

 作り方は簡単なものの量が多くて大変だった。


『いただきます』

「はい、どーぞ」

「唐揚げにエビフライにオニオンリングにフライドポテトにウインナーか。花見って感じだな」

「夏日、野菜は? 流石に揚げ物だけってのはないよね?」

「ない」

「え……」

「そんなこの世の終わりみたいな顔するな嘘だ嘘。ほら」

「おー!」


 保冷バッグの中から取り出したのはこれまたタッパーに入った野菜スティックとそれらにつけるソースの入った容器。

 野菜スティックは人参とブロッコリーの茎を棒状に切って、アスパラガス、スナップエンドウと茹でただけのお手軽料理。

 ソースは味噌とチーズの二種類だ。


「すごいおしゃれじゃん夏日どうしたの」

「ちゃんとしたの作ろうと思ってたけど、揚げ物とおにぎりで力尽きた」

「あ、そんな理由」

「夏君ーおいしい」

「そりゃあ野菜スティックは間違いないだろうな。大量に作りすぎたかと思ったけど歩と春木がいるから大丈夫そうだな」

「唐揚げ最高。うまい」

「おにぎり最高。おいしい」

「そりゃあよかった」



 昼ご飯を食べた後、どうにか連れ出した冬火に明里ねえ含めて五人で遊び、帰りの車の中では明里ねえ以外全員が疲れて寝る事になった。

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