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追加話1 日焼けは大敵!

「もしもーし」

『ん? あれ間違え……あ、そっか女の子になってたんだった』

「なにが?」

『なんでもないよー』

「それで電話した目的は?」

『明日みんなでお花見行こー』

「急だな」

『さっき思い立った』

「それで電話してきたと」

『そうそう。それで、夏君にお願いがあるんだけど』

「持ってくご飯を作ってとか?」

『正解~お願い出来る?』

「はいはい」

『ありがとーじゃあ明日9時ぐらいに迎えにいくねー』

「ほーい」


 ──────────


「桜綺麗だねー」

「ここに来たのも久しぶりだな」

「よっしゃ遊ぶかー」

「俺もー」

「運転疲れたー夏君膝枕してー」


 ああもう、もたれてくるな鬱陶しい。

 明里ねえの運転で家から四十分ほどの大きな公園に来た。この公園は県内でも結構桜が有名な公園で、芝生の生えた長方形の広場の周りを桜が囲むように植えられている。

 今日の天気は快晴で絶好のお花見日和だ。

 満開の桜の木の影にレジャーシートを敷いて荷物を置くと歩たちはバドミントンをし始めた。


「は?」

「おねーさん美少女に膝枕してもらうのが夢だったんだ」

「何だその男みたいな夢。嫌だ俺も歩たちと遊ぶ」

「膝枕してくれないと帰り運転出来ないー」

「なんでそうなるんだよ」

「お願い」

「はぁー仕方ないな」

「やった」


 仕方なく俺が正座するとすぐに膝の上に頭を乗せてきた。運転を引き合いに出されると言うことを聞くしかない。


「うおっ、上向くと視界全部おっぱいで何も見えないとは。それに柔らかっ、なんだこれ。あ、そうだ触ってもいい?」

「触ってもいいか聞くなら触る前に聞け」

「おお、なんだこの重量感」

「持ち上げられると少し楽だな」

「もっと触ってていい?」

「だから触りながら聞くんじゃねえ。もう十分だろ」

「えぇーじゃあ、腰触ろっと」

「やめろ服の中に手を入れるんじゃない」

「やめなーい」


 はぁぁぁ、面倒くさい。肌着の上から横腹を揉んでくる。

 俺が女になってから明里ねえが急に触ってくるようになり、鬱陶しい事この上ない。


「鬱陶しい……他のやつにしろよ」

「だってー歩は嫌がるしー春君はお年頃だしー冬ちゃんにはたまにやってるしー何の心配せずいつでもこんなこと出来るの夏君しかいないんだよー」

「俺も嫌がってるしお年頃なんだが」

「そんなの知らなーい」

「はぁぁぁ……それで、冬火は何をしてるんだ」

「夏日の髪型いじってる」


 俺が明里ねえを膝枕している後ろに座り、俺の髪型をバリエーション豊かにしている冬火。


「せっかく来たんだから遊べよ」

「日焼けしたくないの」

「別にいいだろ日焼けなんて」

「女子に日焼けは大敵なんですぅー

 春は紫外線が夏と同じぐらい強いんだよ? 日焼け止めも塗らないで遊ぼうとしてる夏日がおかしいの」

「冬火はほとんど肌出してないから別に気にしなくてよくないか」


 冬火は花柄のロングスカートに薄手の白のトップス、その上に紺の上着を羽織っている。

 トップスも上着も長袖で肌が出ている所なんて、首周りと足首辺りぐらいで日焼けを気にしないといけないとは思えない。

 ちなみに俺は足首が見えるぐらいの長さの黒のぴっちりとしたズボンに七分袖の白Tシャツのみで、今日は天気がいいから上着は着てない。


「分かってないなーほとんど肌を出してないからこそ出てる所には特に気をつけないといけないの」

「夏君ー日焼け止めは塗ろうよー」

「面倒臭い」

「この夏君の真っ白い綺麗な肌を日焼けさせるのはもったいないよー」

「仕方ないなー面倒臭がりの夏日のために私が日焼け止め塗ってあげる。ほら目瞑ってて」


 冬火は明里ねえを膝枕していて動けない俺の正面に回り込み、日焼け止めを自分のバッグから取り出した。

 クリームタイプの日焼け止めを指の先に出し、俺の顔の両ほお、額、鼻、あごの五ヶ所に付けると両手の手のひらで優しく塗り広げ始めた。


「ちょっと上向いてて」

「ん」


 顔が終わると首を手で包むようにしながら手に出した日焼け止めを塗られた。


「はい。次は手出して」

「今度は違うの使うんだな」

「体の部位によって日焼け止めの向き不向きがあるからね」

「へー」


 俺の左腕を取ると袖を二の腕まで捲った。

 次に肘から手首にかけてジェルタイプの日焼け止めを容器から直接腕に塗ると腕全体に塗り広げていった。


「量多くないか?」

「これで適量なの」

「へー」


 冬火は同じように右腕も日焼け止めを塗った。


「あとは足首かな。立てれ……ないか」

「冬火、交代」

「はいはい」


 いつの間にか俺の膝で寝ていた明里ねえの頭を場所を代わった冬火の膝に乗せた。


「よいしょっ──おっとっとっと」

「大丈夫?」

「久しぶりに立ったから足がガクガクする」

「生まれたての小鹿みたい」


 正座して明里ねえを膝枕していたせいで足が痺れた。しばらくすると痺れが収まってきた。


「今度は私の横に立って」

「へい」


 手に出した日焼け止めを足首周りに満遍なく塗る冬火。正直足首とかどうでもいいのだが、冬火に何て言われるか分からないので大人しく従った。


「よし、出来た」

「やっとか。じゃあ遊んでくる」

「待って。

 塗ってからすぐ日向に出たらダメだよ。最低三十分ぐらいは待たないと日焼け止めの効果が出ないから」

「え」


 やっと塗り終わったと思えば待たないといけないだと……!

 歩たちが目の前で遊んでるのに……


「日焼けは大敵だからね」

「えぇ……」


 女子って面倒だなと思った瞬間だった。

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