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第12話 ハンバーグは神。異論は認めない。

夏日と優の会話が楽しくてめっちゃ捗りました。

「へー料理出来るんだな」


 最近の子供、しかも男子の(ゆう)ではあまり戦力にならないだろうと思っていたら、普段料理を手伝っているのが分かる危なげの無い手つきだった。

 俺の中で優の株が上がった。


「うん! お母さんの手伝いをよくしてる」

「へー偉いな」

「えへへ。夏姉ちゃんはエプロンが似合うね」

「そう? ありがとう」


 今は髪を冬火に料理の邪魔にならないように括って貰っている。髪が長いと大変だ。エプロンは男の時から使ってる物で黒い生地に白色の花火が書かれている俺のお気に入りだ。お店で見つけた時、一目惚れして即決した。女になって身長が変わってなく、そのまま着れてよかった。

 優にハンバーグに入れる玉ねぎを切って貰っている間に俺はミンチ肉を()ねる事にする。

 まず粘り気が出るまでよく捏ねたら調味料を入れ、またさらに捏ねる。そして、捏ねている間に優が切った玉ねぎをあめ色になるまで炒めたものを調味料がよく馴染んだら加える。そしてさらに捏ねる。捏ねすぎ。

 仕方ないけど、この工程があるからハンバーグって面倒くさいんだよなあ。手に付いた肉とか油とか取れにくいし腕痛くなるし冷たいし。でもちゃんとしないと美味しくならないからなぁ。

 炒めるのは冬火がやった。いくら手伝っていると言っても火を使うのは危ないし、ここは他人の家だ。火傷でもさせたら責任が取れない。そして全体的によく馴染んだら楕円形に成形する。その時にくぼみを作るのも忘れずに。

 何でくぼみを作るのかなぁと思って前に調べたら、

 ・火の通りを均一にするため

 ・肉が膨らんだ時

 ひび割れ防止の為で肉汁を閉じ込めるため

 なんかが理由らしい。少し賢くなった。結構俺はこんな感じの雑学が好きだ。役立ったり役立たなかったりするけど知ってて楽しいからな。

 そしてフライパンに火をつけ、温まったらオリーブオイルをひき両面に焼き色が付くまで強火で焼く。


「あれ?夏姉ちゃん」

「ん?」

「くぼみが上じゃないの?」


 俺は焼く時にくぼみを下にした。ふっふっふ。よく気がついたな。


「ふっふっふ。よく気がついたな。これには山よりも高く、海よりも深い理由があるのだよ」

「へーなに?」

「それはな、くぼみを下にする事で焼く時に密閉されて中がオーブンみたいになる事で中心が早く焼けて外側を焼き過ぎずにでき、上にする時より美味しく焼けるからだよ」


 ドヤ顔で熱弁する俺。


「ほーう。そうなんだ。今度お母さんにも教えるよ。夏姉ちゃんは何でも知ってるんだね」

「ふっふっふ。そうだろそうだろ」


 感心した様子の優。ふはは。どうだ。見直したか。気を取り直してハンバーグがだいぶ焼けたので(ふた)をして弱火で三分ほど蒸し焼きにする。

 そしたら取り出して皿に盛り付ける。よし。いい感じに焼けた。かなりいい匂いがしてお腹がなった。匂いにつられてソファーに座ってた春木と冬火もこっちに来た。


「わぁ~いい匂いだね~」

「そうだな~お腹空いた」

「夏日って本当に料理上手だね~」

「そこらの料理店みたいな料理作るよね兄ちゃんは」

「ふふっ、そうか~?」


 褒められて悪い気はしないので自然に笑みがこぼれた。


『かっ、かわいい!!』

「ん?」

「ちょ、夏日さっきの顔もう一回」

「夏姉ちゃんさっきのはヤバい」

「俺の心に刺さった」

「え?」

「褒められて照れながらも嬉しそうな何とも言えないかわいい顔だったよ」

「「うんうん」」

「そ、そうか」

「あああああ! 写真撮ればよかったああああ! 待ち受けにしたのに!」

「それはやめろ」


 とんでもない事を言い出す冬火。


「夏日のあの顔を見れただけで三ヶ月は頑張れる」

「そんなにか」

「だってねえ?」

「「うんうん」」


 そんなにか。そこまで言われるとどんな顔だったのか気になるじゃないか。

 そんな会話もそこそこに次はデミグラスソースを作る事にする。ケチャップやソース、しょうゆ、砂糖などを混ぜた物を中火で煮立たせ、とろみが付くまで三分ぼど加熱し、ハンバーグにかけて完成!! 

 今回は大きめに作ったから焼き加減にかなり気を使った。でも、その労力に見合う食べ応えのあるハンバーグが出来た。


「おお! 美味しそう」

「早く食べたい!」

「まだー?」


 そうこぼす三人。まあ少し待て。何か忘れてないか? そう。米だよ米。米が無いと始まらないだろ? 俺は全員分のお茶碗にご飯を山盛りに入れた。

 これで準備は万端だ。


『いただきます!』


 早くハンバーグを! 全員が一斉にハンバーグを食べた。


『んぅ~!!』


 ヤバいめっちゃ美味しい。切る時もそうだが口の中に入れた瞬間に広がる肉汁にジューシーな肉、肉、肉!! 噛めば噛むほど出てくる旨みに肉汁。

 これはヤバい。デミグラスソースが更にハンバーグの美味しさを加速させている。そしてすかさず米をかきこむ。


『んぅ~!!』


 ああ、最っっっっっ高! 美味しい。美味しすぎる。ハンバーグと米の組み合わせ考えた人天才。何かの賞を贈りたい。

 その後、無我夢中でハンバーグを食べ、米を何回もおかわりしてとても満足な気持ちでご飯を食べ終えた。


 ○●○●○●○●○●


「はぁ、食べた食べた」


 とりあえず今は三人に洗い物を任せて俺は一人ソファーで座っていた。結局炊いていた米を俺達は全部食べた。四合炊いてたのに凄いな。


「夏姉ちゃん」

「ん?」

「弟子にして下さい!」

「どうした急に」

「俺も夏姉ちゃんぐらい料理を美味しく作れるようになりたい!」

「優君、それはかなり頑張らないといけないぞー? 私も夏日に料理の腕で勝てないから練習してるけど何かが決定的に違うんだねー」

「兄ちゃんの料理は世界一」

「はは、それならいつでも遊びに来たらいいよ。歓迎するから」

「分かった!」


 俺に弟子が出来た。


「こんな時間だし今日泊まっていくか?」

「うん! 泊まりたい!」

「そうか、分かった」


 親御さんに連絡しとけよー

 許可してくれるかは知らないけどな。

書いている最中、何度もハンバーグが食べたくて悶えてました。

最高ですよね、ハンバーグ。誰が考えたんだろう。尊敬する。

書くためだけにハンバーグのレシピ調べたり豆知識調べたりしました。

結構知らない事がいっぱいあって楽しかったです。また気が向いたら、今回のような料理を作るだけの話を書きたいと思います。

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