第1話 見た目吸血鬼の美少女になった。
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ジリリリリリ……バシッ。
頭の上で大音量を流す目覚まし時計を叩いて止める。
「ふぁぁぁー」
昨日夜更かししてたせいで眠い。でも朝ご飯を作るために起きなければいけない。
授業がある日ならここで起きるが、今は中学校を卒業した後の中学生とも高校生とも言えない時期にあるため時間的には余裕がある。
あと少しだけあと少しだけとさらに数分間布団の中で眠気と格闘した後、二階にある自室から朝ご飯を作るため一階へ降りた。
「ん?」
なんかフライパンがいつもより重いような……気のせいか。
「ふーんふふふんふーん」
鼻歌を歌いながら作った料理は、だし巻き玉子にウィンナー、野菜炒め。
これこそthe 日本の朝ごはん。それぞれを皿に分けて置いておく。
朝ごはんを作った所で、冬火と春木を起こすか。冬火は俺の双子の妹で春木は一個下の弟だ。
今この家に住んでいるのは俺たち三人だけだ。
父さんと母さんは海外出張で行っていて帰ってくるのは稀。そんな事情もあり、家事はだいたい全部長男の俺がやっている。家事は好きだし得意なので別に苦ではない。
下りてきた階段を上って俺の部屋の隣にある冬火の部屋に入った。
相変わらずぬいぐるみがたくさんあるな……
「おーい起きろー」
布団の上から冬火の体をゆする。ゆさゆさ。
「うーん」
起きない。
「朝だぞー」
「むにゃむにゃ……」
……めちゃくちゃ気持ち良さそうに寝ている。
次は手の先でほっぺたを叩く。
「うにゃー」
まだ起きない。今度は引っ張ってみる。
「はひほはひ」
起きないので、最終手段の鼻をつまむ。
「……んぐ!? こほっ! こほっ!」
流石に息が出来ず辛かったのか、咳き込みながら勢いよく起き上がった。
「やっと起きたか。おはよう冬火」
「こほっ! こほっ! 夏日おはよ――うぇ? 誰?」
「は?」
「え……?」
「誰ってお前の双子の兄だよ」
「え? でも夏日は男の子だと思うけどなー」
「そりゃそうだろ。俺男だし。寝ぼけてるのか?」
「うーん。話が噛み合ってない。ほら、あれ見て」
そこにあったのは全身が映る大きな鏡だった。
「そんなの見ても俺が映るだけだ…………え?」
そこに映っていたのは、だぼだぼの薄手のパジャマを着た銀髪赤眼の美少女だった。
その体は細くて白い。ジャマの下から強く主張する二つの胸に十人中十人が二度見するであろう整った顔、そして明らかに日本人にはいないだろう赤い目に、太ももの辺りにまで伸びる銀髪が特徴的だ。
見た目を一言で分かりやすく言うと吸血鬼。試しにほっぺたを引っ張ってみる。
むにゅっ。あ、柔らかい。
「痛っ!」
痛い。鏡の中には涙目になりながら赤くなったほっぺたを抑える美少女の姿が。
……どうやら夢ではないようだ。
ということはもしかして……恐る恐るさっきから少女の姿でも特に主張している「それ」を触ってみる。
……ムニュン。……おお。
……ムニュンムニュンムニュン。おおお。
「すげぇ……」
「何してんの。一人で」
「ひゃあ!」
急に話しかけられたせいでびっくりして変な声がでた。
「で、あなた誰?」
「だからお前の双子の兄……ふむ。じゃあお前、最近お菓子の食いすぎで太ったろ?」
「な!? なんでそれを!?」
信じさせるには身内しか知らない事を言うのがいいだろう。
「体重計乗ったときの履歴で。詳しく言うと確かさn「言うなあ!」
「信じてくれたか?」
「はあ……はあ……まあ。家族しか知らない事だしね……じゃあ、夏日は何でそうなったの?」
「分かってたら苦労しない」
「それもそうだね。というかその髪で気づかなかったの?」
「そうだな、言われて気づいた。何か頭重いなーとは思ってたが、あと胸」
「何で気がつかないの……それで……」
「寝ぼけてたから?」
「そう……」
朝ごはん作る時なんて眠気で何も考えていないのだ。
変な人を見る目で見ないでほしい。
「まあいいや。春木起こしてくる」
「その格好で行くの?」
「ああ」
春木がこの格好を見たらどうするか気になるじゃないか。
「ああそう……。ほどほどにね……」
双子の持つ力か何かで俺のしようとしている事を察したのか、ものすごく呆れられた。