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お姫様転生  作者:
一章
73/78

代償

 話題を持ち出したのは私。

 それは避けては通れない話、私が話さなくてはいけないお話。

 アーリャがどう言おうとも、まるで関係がないのだから。


「その様子だと、流石にわかっているみたいだね……?」


「そりゃまぁ、そうでしょうとも」


 互いに探るように、けれども探らせることはない。

 決して、表情を崩さずに話は続いていく。


「それじゃあ、まぁ早速聞こうか、私の処分は?」


 それ以上もそれ以下もない、全てが乗った問いだった。

 聞く必要はないとも思った。けど、今この場で聞いておきたかった。


「自由時間の廃止、常に護衛の配備、魔法の結界による守護、大多数の人員による監視、及び身体が治るまでの療養と、俺による説教を毎日くどくどと……」


 ずらっと並べられたそれは、まるで自由なんてない。

 分かっていたことだけど、やっぱりそれは間違いなかった。


「と、言いたいところですが。そんなことはありません」


「――――えっ……?」


 それだけのことがあっても仕方がないと、そう思っていたからこそ、私の口からは素っ頓狂な声が漏れる。


「なんで……」


 しかし、その問いに答えることはなく、アーリャは軽く微笑みながらに続ける。


「実際は、身体の療養と、説教。それと護衛が付きます」


「それ―――だけ……?」


 どう考えても足りない。おかしいじゃないかと、そう思う気持ちが沸き上がってやまない。

 だって、国を守る最重要な兵器とさえ呼ばれたことがある。

 だって、私と国民なんて秤にかけるまでもない。

 だって、許されるだなんて思ってなかった!!


「――――はい、これで全てです。……ってすごい顔してますよっ、姫様」


 そりゃそうだ。自分でもわかっている。

 でも、どうしようもないでしょ、そんなの一体どうしろっていうの。


「なんで……? どうやって……?」


「さぁ? まだ確定してないですしわかんないです」


 その言葉の意味が分からなかった。

 アーリャは一体何を言っているのさ。


「確定してない……ってどういうこと……?」


「簡単です。まだ報告してないんですよ、上に。なのでまぁ、どうなんでしょう?」


 しっかりと説明してもらっても、本当に言っている意味が分からなかった。

 なんでそんなことに至ったのか、見当もつかない。


「はい……?」


 私が今どんな顔をしているのか考えたくもなかった。

 多分、よっぽどひどい顔してるんだろうなぁ。


「ええ、本当に俺はどうやら甘いようです」


 そう微笑むアーリャの顔は、いつものとおりで、何も変わらない。

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