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お姫様転生  作者:
一章
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小瓶

 私はチムナター家の長男としてこの世界に生まれ落ちた。

 チムナター家はそこそこ地位の高い貴族で、男爵位を持っている。

 私もそれにふさわしくなるために両親からは様々なことを教えられてきた。

 元々、商業を取り扱っている家で、そのために私は魔法の才能はあったが、ほとんどせず、護身術も捨てて、経営学を学び続けた。

 そのおかげで私が成人するころには、親から全てを授けられ、結果は大成功と言ってよかった。

 順風満帆。何も卑下することのないほど皆が羨ましがる、そんな生活を送ってきた。

 私が中年と呼ばれるような年になるころだった。

 その頃には流通ルートも増えてきており、私が市場を独占することはなくなっており、他の貴族と争うことも多々あった。

 そのせいか、私は焦っていたのだろう。早くしなければ、どうにかと。

 ちょうどそのくらいの頃合いにパーシは購入した。

 専属の従士として、目の保養にもなるし、孤児を取ることは教会のためにもなるからだ。


 そして、それから少し経った時からだったと思う。

 私の行ってきたことを全て覆されるような、そんな事件が起きた。

 様々な市場から私のところに卸すのを止めるという申請がほぼ同時にきたのだ。

 目を疑った。

 なんども理由を問い合わせて、それでは困ると直接頭を下げに行った。

 だが、結果は半分以上の取引先との関係を切るというものだった。

 なんでいきなりこんなことにと、頭を抱えたよ。


 落ち込んでばかりではいられないと、すぐさま私は再び現在の経営を学びなおし、全力を尽くした。

 けれど、駄目だった。

 ちょうど私が落ち始めたころに台頭してきたところがあったらしい。

 そこが私のところと縁を切った人達との新しい契約先だった。

 不正も何もしていない、そんなことは調べればすぐにわかった。

 だからこそ私は何かに縋るしかなかった。

 出会ったのはとある路地の裏。

 私がそれでもなんとかしようと奮闘している時だった。

 ふと声をかけてきたのは、フードを深くまで被った人間。

 怪しいし、近づかないのが普通だったが、その時に掛けられた声のせいで私は立ち止まってしまった。


「やぁ、大変そうですね、経営がうまくいっていないんでしょう?」


 聞いたこともないような女の声だった。

 何故だが私は立ち止まって、その話を聞くことにしてしまった。


「いいものがあるんですよ。おひとついかがですか?」


 そう言って渡されたものは、一つの小瓶だった。

 何か聞いても、答えることはなく、その女は立ち去って行った。

 怪しいとは思いながらも、一度その小瓶の中身をのんでみることにした。

 それが間違いだった。

 そこから全てが崩れていったんだ。

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