風
私の前に佇む桃色の入った白髪をした少女は笑顔で自分たちのことを語るとそう言う。
気のせいか、その顔はなんだかすごく、物憂げに見えて仕方がなかった。
「何から話そうか、作戦に関係あることの方がいいかな」
すぐにいつも見せていた笑った顔に戻ると、うーん。と考え始める。
「今回のペアだし、私の魔法について教えようか、とはいっても、チーニヤにもルフィナにも魔法では敵わないんだけどね」
すると、アルヴィナは人差し指と親指をくっつけて、弾く。
周りにぱちん。という音が響き渡ったと思うと、ふわりと、部屋の端っこに置かれていたベッドが浮かび上がる。
「こんな感じで、私は風の魔法を使えるの」
「なっ……えっ……」
「あれ、どうしたの、風魔法はそんな珍しくもないよね?」
違った、そうではなかった。私が驚いているのは、内容ではなく、唱え方だった。
今、目の前の少女は指を鳴らすことで、魔法を発動させた。こんなもの異例以外のなんでもない。
|唱えない(無詠唱)どころか、魔法を練ることさえせずに、いとも容易く、ベッドを浮かび上がらせるだけの風を作り出し、維持しきってみせていた。
私でも、到底、できるはずのないことだった。
「一体、どうやって、そんな魔法の発動方法を編み出したの……!?」
数々の本を読んできた。色んな人から、色んなことを教わってきた。
しかし、そんな偉業を成し遂げた人なんていなかった。
だからこそ、目の前の少女が信じられなかった。
「ああ、これだったか……」
彼女は「ははは……」と笑いながらに説明を始める。
「多分イリーナは何か勘違いをしてるよ」
「勘違いも何も……」
「私は無詠唱ができるんじゃないんだ、ただ、無詠唱しかできないだけ」
「……え」
彼女がなにを言っているのか私には理解できなかった。
「生まれつきでね、魔法を唱えても発動してくれなかったんだ。まぁ、色々あってね。練習するうちに、手か、足に力を込めるのと同じ要領で魔法が使えるようになった」
上げていた手を降ろすと、ベッドはふわりと、その場に音もなく落ちる。
彼女の言っていることはきっと嘘ではないのだろう。
見せられてしまった以上、それ以上何か言う気は起きなかった。
「そう、とってもすごいと思う。期待してるね、アルヴィナ」
だから、私は、彼女の笑顔に合わせるようにそう言うのだ。
「そんな大それたものじゃないけど、期待に応えれるように尽力するよ」
そう笑う彼女の姿は、とても頼りがいのある、だけど、どこか折れてしまいそうな、そんな風に見えた。
キャラたちの設定をやっと出せるようになってウキウキな作者です。




