自由時間
その後も、見つかった時の対処、子供が見つからなかった時どうするかなど、色々な説明を聞いて、時間は大体、十時半。
作戦決行は十二時だけど、準備を含めて、十一時には出るとのことだった。
そんなわけで、時間も刻一刻と迫っている中、やることも終えた私たちに、チーニヤは。
「そんなわけだから、十一時までは好きにしてていいよ、この部屋に十一時にいてくれれば、それで」
言いながら「そういうわけだから」とチーニヤは、部屋の扉を開けて外へと行ってしまう。
そのすぐ後にシーニーも「俺も、外の空気でも吸って来るわ」とチーニヤの後に続いてしまった。
結果、部屋に残ったのは、私と、アルヴィナ、ルフィナの三人だけだった。
シーニーが出て行ってからしばらく、静寂が続いて、なんとも言えない空気になってしまっていた。
正直、私から話しかけるにしても、話題がなさすぎて……。
何を話せばいいの……!?
こうなったら、私も適当に席を立つしか。
そうは思うけど、この空気のなかでそれを行うだけの度胸は私にはなかった。
「イリーナ、あなた貴族なんでしょう? それじゃあさ、もしかして、スキルの検査とかってやってたりする?」
そんなこんなで、ぐーるぐーると悩んでいると、アルヴィナが話しかけてくれる。
「うん、まぁ、やってるけど……」
「やっぱり!? ねぇねぇどんな感じなの? 教えてよっ」
アルヴィナが言うに、スキルどころか身体検査さえ、ここ、スラムでは行うことがなく、そういった話を聞いた時から、一度、どういうのなのかを聞いてみたかったのだという。
とは言っても、そんないいものではない気がする。
中身はあまり他言するようなものでもないし、あの機械の話でもしようか。
「えっと、まずなんだけど、アルヴィナはどうやってスキルを確認するか知ってる?」
「……確か、水晶みたいなので映し出すんだったっけ?」
「半分正解、かな、貴族はその上位互換みたいなのでね、ものすごく大きな機械を使って、確認するの」
「機械……っ!? それって、どんな!?」
とても気に入ってくれたみたいで、目を輝かせながら、質問を止めどなくされる。
やっぱりこういうのを見ると、まだ子供なんだ、ということを思いだす。
順番に質問に答えていくと、アルヴィナはとても満足してくれたようで、恍惚とした表情のままだった。
「そんな面白い内容じゃなかったと思うけど、満足してくれたみたいでよかった」
「そんなことないよ、とっても面白いお話をありがとう。それじゃあ、今度は私たちの話をしようか」




