道を辿って
目が覚めると、時計の針は九時を指していた。
いくら昼寝をしたからといって睡眠が足りてないのは明白で、私は眠い目を擦りながらに、クローゼットへと足を運び、ドレスから、わざわざ仕立ててもらった何の変哲もない服に着替えていく。
ドレスは最初のうちは、一人で着替えるのに苦労したけど、今ではすんなりとまではいかなくても、苦労するほどではなくなっていた。
黒地のシャツに、短パン、灰色の猫耳フード付きのパーカーという、私の趣味満載の服を着て、とりあえずの準備は完了。
もう、他の皆はあそこについている頃だろう。
「その前に、書かなきゃ……」
私は、机へと歩を進めると、引き出しのなかに入っていた便せんを取り出してペンで字を連ねていく。
習字も幼いころから、ずっと勉強させられていて、綺麗に書く練習もたくさんしてきた。そのおかげで、地球に居たときは平凡だった字も、今ではすっかり一級品となっていた。
丁寧に書かれたその便せんを四つ折りにした私は、そのまま部屋をの扉をくぐる。
向かった先は、普段、アーリャがお城に来るときに使っている部屋。
と、いっても、恥ずかしいから手紙にして渡すとかそんなのではなかった。
私は、音を立てないように、便せんを扉の下から投げ入れると、そのまま来た道へと戻る。
「さて、そろそろいかないと……」
小物を入れる布袋を持って、コトリとネコに行ってくるね。とだけ伝えると、昨日と同じように、私は暗い夜の中、いや、昨日はお祭り騒ぎでもっと明るかったけど、今日はそれ以上に暗いから昨日とは雰囲気がまったく違ったけど。
ともかく、暗闇で先が見えないその街並みへと羽ばたいていくのだった。
何回味わっても、落ちながらに風を感じるこの時間はとっても気持ちがよかった。
嫌なことを忘れさせてくれそうな、そんな感じがしてくるように思えた。
「えっと、確か待ち合わせは、昨日いた、あの部屋でいいよね……?」
急いで飛び出したがために、あまりしっかりとした道を覚えていなかった私は、ひとまず、大体ここらへんの位置だった気がする……。というのを頼りに、そこらへんの周囲を飛び回っていた。
適当に見渡していると、ようやく、見覚えのある景色であることが分かった。
「あ、ここらへんだ……えっと確か、こっちのほうだったはず……」
屋根の上へと、降り立ち、そのまましばらく覚えのある方向へと歩き出す。
「あ、あった! 確かこの扉だったよね……」
それらしき扉を見つけ、中に入ると、どうやら合っていたようで、見覚えのある階段のあるエントランスがそこには広がっていた。
あまり見てはいなかったけど、スラムなだけあって、ここの建物も内装はとても綺麗とは言えなかった。
それでも外より幾ばくかマシだと思い、そのまま中へと進む。
そのまま階段を上っていき、たくさんある部屋の扉から声の聞こえる部屋へとたどり着く。
「ここ、で間違いないみたい……かな」
覚悟を決めて、扉にノックをし、ドアノブを回す。
「お待たせしてごめんなさい。少々、準備に手間取ってしまったの」
今回で、この作品の連載を始めてから一か月がたちました。正直、未だに毎日投稿が続けられていて、驚きが隠せないです。
これも読んでくださっている皆様のおかげです。ありがとうございます。
ついでに、不肖、私のモチベにつながりますので、感想、評価など随時お待ちしております。
これからも頑張るので、応援よろしくお願いします。




