協力者
「えっと、それで説明してくださるんですか姫様?」
アーリャを椅子に座らせ、私もベッドの上へと腰かけると、しばしの沈黙が続いた後にアーリャが口を開いた。
「うん、まぁアーリャには説明してもいいかなって思ってたんだ」
流石にお父様、お母様にこんなこと言ったらどうなるかわからないからね……。
二人とも私のことを心配するあまり色々とやりすぎるっていう前例があったから、あまり心配させるようなことは言いたくない。
その点、アーリャは黙っていてくれるし、相談にもきっと乗ってくれると、そう思ったのだ。
「まぁ、そうは言っても、私もまだよくわかってなくってね?」
「ご自分で理解されていないのですか……」
アーリャは少し驚きながらも、ため息を吐くようにしながらそう答える。
そりゃ、私は守るべき対象だろうし、アーリャからしたら問題が増えただけなのだから、それが普通の反応なんだろうということはわかるけど、本人が目の前にいるのだから、もう少し隠そうという意思を持ってくれてもいいんじゃないかと思う。
「しかたないじゃん、この間なったばっかりだし、私だって驚いてるんだからさー」
これでも、冷静に考えて、色々とわかるようになってきた方だと思うよ……?
「そ、そうですね。すみません、姫様が一番大変だというのに、考えが足りず……」
「まぁ、いいや、現状わかってることを教えるから、アーリャも色々と手伝ってよ」
「はい、そういうことでしたら、勿論、協力させていただきます」
そうして、わかっていることを簡単にまとめて、伝えると、アーリャはこんな現実味のない話をしっかりと聞き入れて、真剣に考えてくれている様子だった。
あ、流石にあの不思議な空間でのことは話してないよ?
「と、まぁそんな感じかな」
「……とりあえず、信じがたいお話ではありますが、現にこうして目の前に俺の姿をした姫様がいるわけです。どうやら、信じるしかないみたいですね……」
さっきよりも重く、深いため息を吐きながらアーリャは私のことを見つめていた。
アーリャはこういったことを結構重く捉えそうだし、苦労かけちゃいそうだよね……。
「とりあえずの目的としては原因解明と実際、どこまでできるのかを見極めること、ですかね」
「多分、そうだね。とりあえず、人間にも変われることは確定したし、次はなんだろっ」
こんな状況ではあるけど、実は私は少し楽しくなっていた。だってこんなこと普通はないし、アーリャに話してからは特に、謎解きみたいで面白いと思うようになってきたんだよね。
「姫様がそんな楽しそうにされてどうするんですか……」
「だって、こんなの楽しいに決まってるじゃん? アーリャだって、顔がにやけてるよ?」
「いやっ、これはそうではなくて、姫様の……いえ、なんでもないです」
アーリャは焦ったかと思うと、すぐに口を塞ぎ、すぐさまいつも通りのテンションに戻る。
私の、なんなんだろう?
「当面の目標として、他にもいろんな動物で試してみたいから、協力よろしくね、アーリャ」
ものすごく進行が遅いのはどうにかしたいんだけど……癖だなー。