転生
改めてよろしくお願いします
パキパキ、ペキペキ。普通、卵の殻を壊し孵化する雛の様子をイメージをするのならこのような音を思い浮かべるかと思う。
しかし俺の場合は、バキバキ、ボキボキボキっと鈍く低い音を響かせながらこの世に誕生した。理由は簡単、単純に雛である俺の身体が大きかったのだ。その分だけ卵は大きくなり殻も厚くなった。
もともと成仏するはずだったこの俺、未神 天人という魂を気まぐれで転生させてやると言ったユピヤという神様は、タブレットのようなものを俺に渡し転生特典を選ぶように言って姿を消した。
特典はポイントを消費しながら取得していく方式だった。その内容も様々で、日本の百均に売ってる商品から漫画にでてくる能力まであった。強力な特典ほど消費するポイントが増えるようだった。
俺は10000ポイント持っていて、取り敢えずこういう場面で手に入れたいと考えていた特典を探すとやはりあった。
種族【東洋龍】
前世の頃から竜というか龍が好きだった俺は転生もののチート特典を考えると必ずと言っていいほど龍、それも東洋の龍になりたいとおもっていた。
しかしこの【東洋龍】という特典は消費するポイントが高かった。どれくらいかというと他の特典にある、種族【魔王】や、種族【亜神】の各種など。ポイントに表すと5000ポイントほど消費する様で、尚且つ【魔王】や【亜神】などと違い【東洋龍】は初期状態が白蛇で龍ですらない。
これには流石に【東洋龍】になるべきか悩んだが、転生の機会なんて滅多にあることじゃないと思って結局は【東洋龍】を取得した。
そのあと余った5000ポイントを使ってお馴染みの鑑定の最高ランクである【鑑定(上位)】や【気配察知(中位)】、【気配遮断(中位)】などのとりあえず間違いのないスキルを取得した。
スキルを取得し終わるとユピヤが出てきて、「じゃあ、頑張ってね〜。」と軽い感じで謎の光を当てられて転生といった感じだ。
卵の中から這いずりでて周りを見てみるとそこは森だった。生い茂った木々が立ち並び、枝や葉の隙間から光が差し込んでいる。
「ピヨピヨ」や「クルルクルル」といった鳴き声が何処かから聞こえてきて生き物の気配も感じる。【気配察知(中位)】を早速つかって周りをさぐると魔物つまりモンスターのようなどう猛な生物はおらず小鳥やリスの様な小動物ぐらいがの動物達がいる様だった。
(ひとまずの身の安全は大丈夫だな。)
命の危険はとりあえずのところ大丈夫な様なので今度は自分の身体を調べたい。考えてることは一見やばい様な感じだがそんなことはない。
今まで人間だった俺にとって白蛇の身体の動きや力を判断する時間が必要なのだ。
俺の全長つまり横の長さは20mほどあり縦の長さは50ほどもある超巨体だ。
(それにしても本当にデカイ身体してるな。地球で発見されたら大騒ぎだ。)
普通の蛇と同じ様に身体中がバネのある筋肉に覆われ、自重に負けず身体をある程度まで起こすことができる。
どれくらいの力があるのか近くにある木に巻きついて締め付けてみると簡単に折れてしまった。今度は尻尾の方を違う木に向かって薙ぎ払う。そうすると木は「く」の字のように曲がり、折れてしまった。
(身体が大きい分とんでもない力があるな。)
【東洋龍】の特典の詳細を見たとき随分とケチだと思ったがそんなことはなかった、充分チートだ。
そうして体感的に1時間ほど動きや力の確認、途中から攻撃技の研究をしていると、お腹がすいた。
(周りにいい感じの小動物はいないかな〜。)
そう思いながら【気配察知(中位)】を使いながらあたりを散策する。このスキルは常時発動しているが能動的に使用することで効果範囲が広くなるのだ。
しばらく俺の卵の残骸がある位置より南に進むと小さい気配がたくさん固まっているところを察知した。そこへ向かって【気配遮断(中位)】を使いながら進む。そのおかげで向こうは気づくこともなく近づいて行けている。丁度目的地が見えるほどまで近づくとそこには湖が見えた。
(魚の類か、ウサギなんかを締めるよりかは幾分マシかな。)
白蛇になってしまった以上避けては通れないと思っていたこともしばらく先になったようだ。
水面に近づくとたくさんの魚が泳いでいる。肉食の魚はあまり見受けられない。口をパクパクしてる魚が多いのでプランクトンを食べる魚が多いのだろう。
(この湖は淡水だろうか?極力なら淡水魚は避けて寄生虫などを身体にいれたくないな。)
そう思って湖に下を伸ばすと塩気を感じる。どうやら淡水ではないようだ。
(では早速漁を始めよう。狙いは30cm以上を10匹だ。)
水面に狙いを定め、その魚たちを尻尾の先端で薙ぎ払い、陸に打ち上げる。
(いーち、にーい、さーん、よーん、ごーお、ろーく、しーち、はーち、きゅーう、じゅーう!)
テンポよく尻尾を払って魚をゲットする。今まで外敵らしい存在はほとんどいなかった魚達は大混乱だ。
打ち上げられた魚達はほとんどが尻尾の攻撃によって気絶しているようで静かなものだ。
漁も終わったので魚を食べたいが流石に踊り食いは嫌なので、特典で取った【雷魔法(中位)】を利用して感電死させる。生物に対しては攻撃方法になるので取得しておいたのだ。
そのあと便利な【生活魔術】の火をつかってじっくり焼いた。生で食べるよりは幾分マシだろう。
そのあと湖の近くにある木々を折って、いい感じ巣を作った。今日のところはこれで良しとしよう。
寝ていても【気配察知(中位)】は意識するようにし、こうして俺の転生1日目は終わりを迎えた。
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《ステータス》が公開されました
名前:アマト(未神 天人)
種族:魔性生物 “白蛇”
Lv. 1
状態:正常
HP:102/102
MP:85/85
スキル
上位スキル:【鑑定】
中位スキル:【気配遮断】【気配察知】
魔法
中位魔法:【雷魔法】
魔術
下位魔術:【生活魔術】(点火、浄水、温風、光源)
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ありがとうございます