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諦め
「着いたぞ」
そう言われ、まるで壊れ物を扱うかのように優しく降ろされた。
赤色のメッシュの入った長い黒髪や女物の服。メイクなど完全にヴィジュアル系の見た目だったので少し驚いた。
人は見かけによらない。
「ありがとうございます」
降ろしてくれた事にお礼を言い。(自分を勝手に連れ去った人物にお礼を言うのも変な話だが)
その場を立ち去ろうとするが、手を掴まれておりどれだけ足に力を込めてもピクリとも動くことが出来ない。
どんだけ力強いんだよ、ゴリラかよ。
心の中で舌打ちし、大人しくすることにした。
理由?抵抗してゴリラに殴られたら死ぬからだ。
「英断じゃな」
そう言い、イケメンは掴んでた手を離し、今度は私の手に指を絡ませてきた。所謂恋人繋ぎと言うやつである。
羞恥心が大きいが、命が惜しいので大人しく従い、玄関の方に歩き出したイケメンに黙ってついて行った。