お冷
私が自室でパソコンを操作している時の事だった。
突然後ろから女性の声で「水、置いてもいいですか」と声が掛かった。
あまりにもいきなりの事だったので、ついどうぞと答えてしまった。
すると今まで置いてあった水入りのグラスと全く同じものが2つ、合計で3つ机に置かれていた。
その後は何も言わずとも机に決まって2つグラスが置かれるように為った。
あの水を飲んでいたらどうなっていたのだろう?
黄泉戸喫になってしまうのだろうか?
幸いにもそのグラスは水彩画を描く際に使用していた物なので、とても口を付ける気にはなれなかった。
グラスを撤去してからは、水を置かれることが無かったが、そのかわりパソコンまわりを水浸しにされるようになってしまった。
今は去ってもらったので実害は無いが、精密機器のある場所でこのようなことは辞めてもらいたいものだ。
黄泉戸喫と言うのは日本書紀に記されている事柄で、天照大神を産んだ神である伊邪那岐と伊邪那美の別れのエピソードである。火の神である迦具土神を伊邪那美が産み落とした後、彼女は火傷で亡くなってしまった。
それを嘆いた伊邪那岐は黄泉の国まで伊邪那美に会いに行くが、伊邪那美は黄泉の国の食べ物を食べてしまったために黄泉の国から帰ることができなくなってしまった。
有名な話では有るが補足として記述させて頂きます。