来る人去る人
わが家には色々な人が訪れる。それは短い出会いなので、一つ一つ長く書く事ができない。なので短文で残そうと思う。
・軍人
作業中、肘に冷たいものが当たった、直視で見ることは出来ないので、意識を視界外に向けると、そこにいる人が見えてくる。
それは軍刀だった。海軍刀と言うのか、サーベルの形状で、柄の部分がドーム型に綺麗な鍍金が施されている。持ち主は初老の男性、軍服と一緒に携行銃が懐に光って見えた。じっと彼は私のパソコンのモニターを眺め、物珍しそうにしているのだが、躰の動きにブレはなく、不要に話しかけるのは不敬に当たると思った。
彼はしばらく眺めると、そのまま去っていった。
・美容師
わが家の住人は、お洒落に着飾ることが好きなようで、時折着替えや髪型をいじっている。
何度かそういう場面に遭遇したことは有るが、先日は銀色のハサミを携行している男が、散髪に来ているのを見た。何人かの散髪を終えた後、また切りたい時に呼んで下さいと言って、彼は去っていった。
・女将
美容師と同じように、時折来る人なのか、彼女は着付けにやってきていた。黒い和装で腰帯をしっかりと着付けキリッとした印象が強い女性だ。普段、部屋ではゆるい格好で居る私をじっと見つめ無言で去っていった。あの視線は冷たかった。ある程度割り切っているが、だらしなくしている所を指摘されることが多々有り、気を抜けない自室である。
今回はここまで。