授業はじめ
今日から本当に授業がはじまる。
後輩の指導と似たような感じでやれば大丈夫だ。うん。
なんか今更不安になってきた。
果たして子供に教えられるのか。
今までは基礎は知っているやつに教えているからな。
気にしても始まらないか。
俺は教室に入る。
生徒達が俺を見る。
「授業を始める。みんな速やかに着席するように」
そういうと、生徒達はまばらに着席し始める。
よし、全員着席したな。
「今日学ぶのは戦術と戦略についてだ」
そう言うと、一部の生徒がイヤそうな顔をする。
戦術と戦略に苦手意識を持っている奴らだ。
「戦術は、兵の戦地での動かし方などのことをいう。一方で戦略は、計画の手段のことだな。この時点で違いは明確だ。戦術は上級騎士が指揮する。騎士はそのへんのことも習うからな。戦術が苦手なやつはしっかり復習するように」
そう言うと、黒い板に白い棒を使い文字を書く。
それにしても不思議だな。こんな黒い板に文字が書けるなんて。
この棒に不思議があるのか、板が不思議なのか。
それにしてもこの棒、文字を書いていると粉がでるんだが。正直手が汚れるからイヤだな。
俺が騎士学校にいた頃は、こんな便利なやつ無かったな。
教官の言ったことをただただ写していた。
途中聞き逃して後から質問したっけな。
文明って偉大だ。
と、そんな事を考えているうちに生徒達は全員転写し終えていた。
「さて、この時点でわからないところはあるか。わからなかったら手を挙げろ」
そう言うと、1人の生徒が挙手した。
イゼィアだった。
「はい、教官殿は戦略を手段と言いましたが、具体的にはどのように任務を遂行するのでしょうか」
え、そこからか。