教官になった男
初投稿です。
俺の名前はコーディエ。
3年前致命傷を負い、騎士団を退職した。
そんな俺に手紙が届いた。
差出人は騎士学校理事長?
そんな偉い人が俺なんかに手紙を書くなんて……。
その手紙にはこう書かれていた。
コーディエ様
*
初めまして。騎士学校理事長インスと申します。
今回手紙を送ったのは、元騎士団団長である貴方を教官として雇いたいと思ったからです。
致命傷を負い、体が思うようにならないという話は聞き及んでおります。
ですが、教官と言っても、座学を教える教官です。
是非とも騎士学校に雇わせてはもらえないでしょうか。
こちらの望む返事が来ることを期待しています。
*
騎士学校理事長インス
あ、これ断れないやつだ。
元騎士団団長と言えど、今はただの一般人だ。
騎士学校は、王家とも繋がりを持っている。
俺はこの話を受ける事にした。
学校に行き、諸々の準備をして今日初めて授業を教える。
俺の担当は初級生だった。
この騎士学校は3年制で初級生、中級生、上級生の順で学年が上がっていく。
騎士団で後輩の指導はしていたが……俺にできるのだろうか。
不安を抱えながらも教室の中に入った。
「うわぁーーー!!!」
「コーディエ様ーーーー!!!」
なんかすごく歓迎されてる。
なんかこう、もっと侮蔑の表情で出迎えられると思ってた。
だって俺座学を教える教官だもん。
元騎士団団長がこんなザマなのに歓迎してくれるなんて。
なんかムッとしている男の子がいる気がしたけど気のせいだな。うん。
歓迎されてるって嬉しいなー、と思っていたその時だった。
泣いている男の子がいた。
「どうしたんだ?俺が何かしたか?」
俺が声を掛けると、男の子の肩はビクッと上がった。
「い、いいえ!コーディエ様は何も悪くありません!僕は騎士に憧れてこの学校に来ました。コーディエ様は素晴らしい方だと聞いています。騎士団団長として最後まで敵を足止めしたと!な、なので、感極まってしまったんです!」
お、おう。
でも俺はそこまで褒められることはしていない。
足止めしたと言っても、実際はひたすらに剣を振り回していただけだったし。
「ありがとう。俺はお前たちを立派な騎士にしてみせる!生憎とあまり体が思うように動かないが、剣の型や、簡単な指導はしてやれる。騎士団団長になるために学んだことの全てをお前たちに叩きこんでやる!」
そう言うと、生徒たちは感動した様子で俺に体を向け、元気に言った。
「「よろしくお願いいたします!教官!」」
こうして、俺の教官ライフは幕を開けた。