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偽りの復活  作者: ペーパードライブ
2/10

変動

 アメリカ、ホワイトハウスにて


「おい、この騒ぎはなんだ! 一体、何が起こっている‼ 」

「大変です! 核が、核兵器が使用されました! 」

「なんだと、どこからだ! 」

「それが、我が国、アメリカからです! 数は無数に全世界へ、そして、ここアメリカにも! 」

「なぜだ! 」

「わかりません! ケルビン大統領! 今は、一刻も早くお逃げください、核シェルターへ! 」


 その後、全世界は核の炎に包まれた。金持ち、国の上層部などのごく一部を除けば、人々は死に絶え、文明は崩壊したも同然。人類は壊滅状態に陥った。



「はい……」

 アナウンサーが突如、紙を受け取り、しばらくの間、それに目を通している。そして、一通り読み終えたのか、カメラの方を向き、話し出す。


「速報です。現在入った情報によりますと、現アメリカ大統領ケルビン氏が死亡、現アメリカ大統領のジョージ・ケルビン氏の死亡が確認されたとのことです」


 アナウンサーの表情には動揺が見られ、テレビ局の方も対応に追われてドタバタしている様が、テレビ越しにも見受けられた。


「えー、ケルビン氏の死因についてですが、直接的な死因は、毒が全身に回ったことによる毒死とのことですが、近くに護衛がいながら、急に倒れたとのことで、その手段は現在調査中とのことです。え、あ、はい、中国の……」


 その後、各国首脳の訃報は続いた。アメリカに続き、中国、ロシアと、主に世界で強い影響力を有している国の大統領、さらには、それに準じるものなど、途絶えることはなく、そのどれもが、毒死で、しかも、手段が不明なものであった。

 

 それから一か月、世界は混乱状態に陥った。


 本来、国のトップが死のうとも、政治が滞らないように、その他の人間に権力を移すことができる。しかし、リーダー個人だけではなく、行政組織そのものがやられてしまったのでは、話は別だった。


 人類史上このようなことは、前代未聞の事例であり、いずれの国も、迅速に対処することができなかった。


 それだけならまだよかった。問題は、超大国の実質的な機能麻痺に乗じて、テロ、そして、問題を抱えていた国家同士の武力衝突が多発したことである。

 超大国の抑止力が、一時的とはいえ、麻痺していることが引き金となっていたのは明らかだった。


 幸い、強大な武力を保有する国家は、身動きが取れなかったので、大きな衝突とはならなかった。しかし、それと同時に、行政機関を失った超大国は対抗策を素早く取れるはずもなく、治安の悪化を招き、結果、民衆の混乱を引き起こす事態となった。


 同時に起こった、国家重要人物の謎の死、テロ、戦争、紛争の多発、治安の悪化。これらは、世界の人々になにを与えただろうか?恐怖、不安、不満、不気味さ……。


 人類はこれからどこへ向かっていくのであろうか?大半の人間が負の感情とともに胸に抱いたことである。


 これまで保たれていた世界の秩序はこんなにももろく崩れ去ってしまうものなのか。

 現生人類、ホモサピエンスの誕生から約二十万年、ようやく手にした世界の平和。その平和すらも、武力という抑止力によって支えられてきたのだ。


 地球、もしかすると、宇宙中で最も高度な知能を持つとされる人類。幸福を願い、科学を発展させてきた。だがしかし、争いはなくならない。人類史を鑑みたとき、科学とは、手段に過ぎない。行動の根本にあるもの、それは、いかなる時も例外なく、人間の感情なのである。そして、これは時がどれほど経とうと不変の真理である。


 そして、魔の手は日本にもついに及ぶこととなる。


 日本の首都、東京、突如その上空を巨大な浮遊物が覆いつくす。そして、町全体に響き渡る声で何者かが声を発する。


「日本政府よ、聞こえるか。我が祖国、ヘビスタンの地を奪いしお前たち。報いの時はきた」


 そういうと、ある建物に何かを投じた。それは上空で炸裂し、建物を木っ端みじんに破壊した。爆弾だ。


「よいか、これから更なる被害を出さないためにも忠告しておく。今から、一切の移動を禁じる。逃走を図るものを見つけ次第、爆撃していく。さて、日本政府よ、我々の祖国、ヘビスタンの土地の返還を約束せよ。これより三十分後、今からいう番号にかけ、返答を聞かせてもらう。四四四、いたずら電話も敵対行動とみなし即座に攻撃に移る。これさえ叶えば我々は何も望まない。お前たち含め、日本の一割の命運が我々に握られていることを忘れるな」

 


 国会議事堂にて……


「あんなことを言っているがどうする!」


「しかし、内閣不在の現在、どう対応しろというのだ。それに、この問題には当事者であるアメリカなど、各国が複雑に絡んでいる。三十分で決定など不可能。ましてや、勝手に許可すれば、間違いなく国際問題は免れんだろう!」


「しかし、それでは国民の命が……」


 国会はざわついている。絶体絶命、まさしくこの言葉がしっくりくる状況である。


 ドカーン!突然鼓膜を突き破るかのような音がした。そしてしばらくすると、暗かった空から太陽の光が差し込み、明るさを取り戻す。


 皆は何事かと窓から空を覗き込む。すると、先程まで空を覆っていた巨大な浮遊物が消えており、空中には一人、黒のマントを羽織った人間が浮いていた。



 連日のように続く、テロとその犠牲者に関する報道。それは今日とて例外ではない。

 淡々と報道をこなしてゆくアナウンサー。


 突如、テレビの画面にノイズが走る。しばらくすると画面が切り替わる。そこには、先程までの報道特番ではなく、仮面をかぶった何者かが、空を背景に、映りこんでいた。


「全世界の諸君、我が名は、ソフィラス。各放送局が報道していることからもうわかると思うが、世界各国の首相、もしくは、それに準じる政治運営組織は何らかの理由で同時に消失してしまった。そして、治安の悪化を招き、諸君は不安な毎日を送っていることと思う。現に、今、東京で、テロが発生していた。しかし、案ずることはない。この私が、たった今、非道な彼らを追い払った。私は、力を持つ者の横暴を許さない。そして、必ずや、全世界を平和に導いてみせる。皆、我についてきたまえ」


 全世界にどよめきが起こる。


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