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インパルシブ・コンフリクト  作者: 肉付き骨
6/19

初陣 -衝突-

 アインが戦場に着地したとき、既に隊列が組まれていた。作戦会議で指定された位置に着くと、通信が繋がれた。


『アイン、聞こえるか?』


「ああ、父さん」


『もし陣形を変更するようなことがあれば、この回線で連絡する。不測の事態が起きた場合はこちらに連絡してくれ。私もすぐに合流する』


「了解だ」


 アインが回線を切ると、今度はディーグから通信が繋がれた。


『アイン、準備はいいな?』


「大丈夫だ、師匠」


『では行くぞ!』


 ディーグがそう言うと、ディーグ専用機人、ダークレイヴンが赤い信号弾を空に向けて打ち上げた。それを合図に戦場の全機人が、各々に与えられた指示に従い行動を始めた。

 作戦会議では大まかな指示しかされなかったが、皆自分のできることを考えて来たようであった。

 前線の2グループとディーグは真っ先に敵が来る予定の方向へ一斉に走り出した。

 サポートをするように言われた後方支援組は左右に広く展開し、射撃班と索敵班、そしてそれらを守る護衛班へと別れた。


「じゃあ俺は護衛に回るか」


 今のアーセナルは近接格闘型なので、後方支援組を守る護衛に向かった。他の護衛役は射撃班のもとへ向かってしまったので、索敵班―同色の機人三機編成―の護衛に着き、近距離通信回線を開いた。


「こちらアイン・ノーツ。そちらの護衛に着くのでよろしく頼む」


『こちらサーチャー傭兵団。感謝する』


 アインは敵にすぐ気付けるように近くにあった岩の上に乗った。できるだけ高い位置から辺りを見回すためだ。そうして辺りを警戒していると、近距離通信回線が再び開かれた。


『敵機人全9機が前線組と接触、戦闘を開始したようだ。射撃班に伝えるためにY信号弾を打ち上げてくれ。こちらは索敵に集中する』


「了解。Y信号弾、発射!」


 アインは黄色い信号弾を空に向けて打ち上げた。直後、射撃班による遠距離射撃が開始された。しかし、索敵班から驚いたような声が聞こえたので、何かあったのかと思い通信を繋いだ。


「どうした?まさか誰かやられたか!?」


『いや、依然戦闘は続いている。だが……!?まずい、伏兵だ!』


「なんだって!?」


 サーチャー傭兵団は通信を広範囲に広げ、他の後方支援組へと一斉連絡を始めた。一度索敵を止めたのだろう。


『後方支援組の左右から三機ずつ、こちらへ向かっている!近距離型三機、遠距離型二機、あと一機は判別不能!右側にいる黒い外套のようなものを纏っている機人だ!護衛班は迎撃に向かってくれ!』


「俺はその黒い外套の機人の迎撃へ向かう。他は頼んだ!」


 アインは足に力を込め、黒い外套の機人がいるらしい方向へと跳躍した。






 索敵班のもとから跳躍し、着地してからガロンへ通信を繋いだ。


「父さん!やばいことになった!後方支援組を狙うように伏兵の機人が六機潜んでた!」


『なんだと!?予想より多かったか!早急に迎撃してくれ!』


「もう向かってるよ!」


 アインは走りながら先程からまったく喋らないゼロックへと呼び掛けた。


「おい、ゼロック。例の判別不能機人について何かわかるか?」


『近くで分析しない限り、なんとも言えません。ですが、通常の機人ならば外套などで身を隠しても索敵レーダーによって、型は判別可能です』


「じゃあそれすらできないってことは…」


『はい、おそらくアインが考えていることは合っているでしょう。奴はおそらくOシリーズです』


 味方にいれば頼もしいOシリーズも、敵側にいればこちらの勝率が一気に下がる。だが、今回はアインが駆るOシリーズ、アーセナルがいるので戦力は五分五分だろう。


「でもまさか一日で二機もOシリーズを見ることになるとはな」


『敵、来ます』


 アインがゼロックと話していると、黒い外套の機人が急接近して長剣を振りかぶった。


「っ!速い!」


 アインは咄嗟に脚部バインダーからウェポンブレイクを取りだし、長剣を受け止めた。ガガガガと耳障りな音を立ててウェポンブレイクが相手の刃を削る音が聞こえる。それに気づいたのか、敵は後方に大きく飛び上がり、つばぜり合いから逃れて武器をしまった。相手はこちらを敵と認めたのか、黒い外套を脱ぎ捨て、その下の姿を現した。

 機体色は赤く、型は機動性重視の近距離型と見られる。武器は背中に背負った大剣と、腰に備えた二振りの長剣。一撃必殺を目的とした機体だったのだろう。また不意打ちをされてしまえばこちらが不利になってしまう。


「逃がさねぇ!」


赤い機体が再び後方に跳躍して離脱しようとしたので、腕のバインダーを広げてプラズマピックを三本投げつけた。しかし、赤い機体は背中に背負った大剣を前にかざし、これを全て防ぎきった。赤い機体は後方に着地すると、紫色の信号弾を打ち上げて戦線離脱した。


「待て!」


 アインが赤い機体を追おうとした瞬間、城からの通信によって足を止められた。


『敵全機人、紫色の信号弾を見た途端、急に侵攻を止めて戦線から離脱しました。追撃はせず、こちらも全員撤退してください』


「どういうことだ?いや、了解だ。これより撤退する」


 こちらにもOシリーズがあると気づき撤退したのだろうか。謎が多かったが、ひとまず指示に従い撤退することにした。

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