侵攻 -不意打ち-
アズマールの夜の闇に紛れて走る二機の機人の姿があった。一方は全身のツヤを消したダークグレーで、装甲を薄くした機動性重視。もう一方は黒い外套を纏っているような機人で、中がどうなっているのか分からない。二機は外部スピーカーを使わず、アズマールの城下街へ向かって走り続けた。
その姿を捉えたアズマールの街道、グラス街道の関所の兵士長はアズマール城へと通信機を繋いだ。
「こちらグラス街道関所。応答願います」
すると間もなく城から通信が返ってきた。
『どうした?何か問題があったか?』
「はい。グラス街道からそちらに向かって二機の機人が走っていきました。片方はダークグレー、もう片方は外套のようなものを纏っていてどのような機人か把握できませんでした」
『なんだと!?奇襲か!?だがたった二機でどうやって…』
「分かりません。しかし、おそらく友好的な内容ではないでしょう」
兵士長がそう言い終わったところで、背後から爆発音が聞こえた。兵士が振り返ると先ほどの二機とは違う機人が一機、いつの間にかかなり近い距離にまで接近していた。
「もう一機いただと!?おい!何故接近に気づかなかった!応戦するぞ!」
兵士長は部下に指示を出してから通信機へと走った。
「こちらグラス街道!先ほどの二機に加え、もう一機出現!これより交戦します!」
城からの応答を待たずに兵士長は自らの機人へと走った。愛するアズマール国を守るために。




