act.3:銃撃戦
「おい」
片瀬は部屋の隅っこを陣取って、銃の手入れをしている索を呼んだ。
「何してる」
「見て分かんないスか?銃の手入れです」
ギロッと片瀬は索を睨んだ。しかし索は全く気にする風が無かった。
「何の為に?」
「……片瀬さん、またオレを置いてくつもりでしょ」
「……」
「だから勝手に付いてくって話です」
ドカッと片瀬は索の隣に座った。索はそれを少し眺めてから、再び作業に戻った。
「仕方ねェな、バレてんなら」
「バレバレです。で、今日は何しに行くんスか?」
「女の取り合いだ」
ニヤッと楽しそうに笑う片瀬を見て、索はガクリとうなだれた。
「毎度毎度、命を懸ける理由がくだらないッスね」
「うるせ。男にとっちゃあ、大事な理由ばかりだぜ?」
「女、借金、賭博……そんなばっか」
「いンだよ」
索の隣で片瀬も銃の手入れを始めた。索よりも慣れた手付きだった。索はそれを少しの間、ぼぉっと見ていた。
「……一人で突っ走らないで下さいね」
索は独り言のように呟いた。それに片瀬も返事をすることは無かった。
――ドンッ
――ガシャ
銃声が響き渡り、周りの物が崩れ落ちる。激しい銃撃戦が暗い路地裏で繰り広げられていた。
「索! ここは任せた!」
「ちょ……待って! 片瀬さんは!?」
「オレは女のトコに行く」
「女って……人間ですか!?」
ニヤッと笑ってから、片瀬は駆けて行った。索は追いかけようとしたが、激しい銃弾の為に出来なかった。
「クソッ!!」
索は乱暴に銃に弾を入れ、積み立ててある箱を狙って撃った。弾は見事に当たり、箱は崩れ落ち、敵の攻撃を阻んだ。索はスッと立ち上がり、片瀬が行った方向へ向かった。




