表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

act.1:拾われた少年

 「おい」

 赤茶色の髪の目付きのキツい男が、暗い路地で靴を磨いている少年に呼び掛けた。

「……片瀬さんか。今まで何処に行ってたんスか」

少年は溜め息混じりに呟いた。片瀬と呼ばれた男はタバコを取り出し、ケッと悪態を付いた。

「生意気な口きくんじゃねェよ。お前こそ何やってんだよ」

「借金取りに追われてます」

質問した片瀬はただ、ふーん、と反応した。そんな片瀬を少年は恨みがましく睨んだ。

「……誰の借金だと思ってるんだか」

ブツブツ文句を言いながら、少年は靴磨きを続けた。

「片瀬さんは、片瀬さんは何してたんですか?……オレを置いて」

少年は今度は片瀬の方を見ないで尋ねた。片瀬はすぐには答えることはしなかった。暫く沈黙が訪れた。

「女んトコ」

「どんだけ凶暴な女性なんですか」

「……」

「女性の所に行って、どうやったら片腕血塗れなんだか」

「うるせッ」

片瀬の左腕からは大量の血が流れ出ていて、黒いスーツは染み込んだ血で汚れていた。

「ムチャし過ぎですよ」

「お前にゃ、関係ねェ」

「……よく言うよ」

ふぅ、と少年は溜め息を付いて立ち上がった。パンパンと膝に付いた埃を払う。



 片瀬さん。

あんた、オレを拾った時に言ったセリフ、覚えていないのか?

“オレの為に死ねる奴しかいらねェ”

オレは、あんたの為に死ねるのに。

あんたはどうしていつも一人で突っ走る?

どうしてオレを置いていく?

オレはあんたに付いて行きたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ