~魔学師の弟子たち~ 雑談
僕たちは、先生に連れられ、体育館を出た。
「さて……、着いたぞ。」
先生は、僕たちを第3棟に連れてきた。
天王大には主に3つの棟に分かれている。第1棟は大きめの教室で構成されている。第2棟には小さめの教室、自習室などがあり、ここ第3棟には実験室が多い。
「ん……?」
先生はドアノブを回すと首をかしげた。
「どしたん?せんせぇ?」
まいこちゃんが聞くと先生は、
「いや、さっき露姫の奴が――」
『鍵は開けておきましたので、そのまま教室に行かれて結構ですよ。』
「――って、言ってたんだがな、開いてないもんでな……。」
と、学長の声真似を完璧にしながら言った。
「どうしましょうか~?」
朝日ちゃんの質問に先生は、
「……、よしっ!蹴破るか!!」
と、答えた。僕たちは先生の答えに唖然とした。
「……、冗談だよ冗談♪」
(冗談に思えなかった……。)
「まぁいい、とりあえず鍵をとってくるから、お前たちは雑談でもしてろ。」
「せんせぇ~、そないなめんどくさいことせんでも魔学で、パパ~っとされたらええんやないんですか?
」
「……、あいにく、錬金術は管轄外でな。」
けらけら笑いながら先生は鍵を取りに行った。
(……、さて、これからどうしたものか……。)
僕は、女の子たちと置いてきぼりにされるのは慣れていない。
(雑談してろって言われてもなぁ……。)
と、考えていると、
「ねぇ、真君。ちょっといい?」
「……へっ!?あ、はい!なんでしょうか!?千歳ちゃん!?」
僕は、いきなり呼ばれたので驚いてしまった。
「ふぇ!?そっ、そんなに驚かなくても!?」
「あ、いや、その、考え事してて……。」
「そっ、そうだったんだ。……あ、それより、ちょっといい?」
「あ、うん。なになに?」
「あのね、みんなが真君のこと知らないから、紹介しろって……。だからこっちに来てもらえないかな?」
「あ、うんわかった。」
僕は、千歳ちゃんに連れられみんなのところに行った。
「お待たせ。みんな♪」
千歳ちゃんが言うと、
「待っとったで~、真くん♪」
「えっと、確かキミは、まい『こ』ちゃん……。」
「ちゃうわ~!!ま・『い』・こ!!『い』にアクセントつけんかい!!『こ』にアクセントなんか付けられたん初めてやで!!」
と、ツッコミの手をしながら叫ぶまいこちゃん。
「あ、ごめん……。」
(……、アクセント意識し過ぎて間違えた……。)
「まぁ、そんなことより、真君。聞きたいことあるんやけどええ?」
キラキラと目を輝かせるまいこちゃん。
「う、うん。」
「ほな聞くで。……、なにカッp――」
その時、
「何聞いてるのよ!!」
「あいたぁー!!!」
すごい速さで、まいこちゃんの頭をはたいた人がいた。それは……。
「何すんねん!!ユッキー!!」
なんと、『ユッキー』こと、雪ちゃんだった。
「『何すんねん!!』じゃないわよ!!あんたなに聞いてるのよ!!」
「ええやん別に!!ちょっとした戯れやん!?--って言うかまだ聞ききっとらんで!!」
雪ちゃんは、まいこちゃんを無視すると、
「……、ごめんなさい、真君。あの子が変なこと聞いて……、気を悪くしないでね?いつもあんな調子の馬鹿だから。」
「無視すな!!――って、誰が馬鹿やねん!!」
ギャーギャー言いながら、まいこちゃんは雪ちゃんにかみつくが、雪ちゃんはガン無視を決め込んでいる。
「……、え、えっと、大丈夫です。気にしてないですから。」
「……、そう。良かった。」
二コリと、僕に微笑む雪ちゃん。さっきの体育館とはだいぶ雰囲気が違うように思えた。
「……、雪ちゃんも二重人格なのかな……?」
「へっ……!?私は違うけど……?」
ポツリ、と、僕が呟いた言葉に雪ちゃんは驚いていた。
(……しまった!!思っていたことを口に出してしまった!!)
「あ、いや、その、……体育館と雰囲気が違って見えて……。」
「……、あぁ、ユッキーの魔学師嫌いやね。」
「へ?魔学師嫌い……?」
その時、
「いやぁ、悪い悪い。待たせたなお前ら。」
先生が、鍵を持って帰ってきた。
「おそいでぇ~、せんせぇ。」
口を膨らますそぶりをしながら、まいこちゃんは言った。
「すまんな。鍵を取りに行くときについでに煙草を買っててな。」
「買いに行くなら後にしてぇな……。」
「悪い悪い♪
――お前らも吸うか?」
『未成年です!!』
口をそろえてみんなで言った。先生はケラケラ笑いながら教室の鍵を開けた。
(……ん?)
この時、何か違和感を感じたのを僕は無視したのだが
――それが間違いだった――
いかがでしたでしょうか?
ご感想等ございましたらお願いいたします!!
ではでは(^^)/~~~